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「酢昆布ー、一緒にサボりやしょう、なぁに土方コノヤローにはバレやせんよ。バレても俺のせいにすりゃあいい」
『いや、私サボれる程暇じゃないんだけど…』
天使の顔をした目の前の魔王は私に酷い囁きを掛けてきた。
あんたのせいで仕事溜まってんですけど…。
『私の仕事量が多いのは誰のせいだとお思いで?』
「そりゃあ、勿論土方さんでしょう 」
…なんだろう、この清々しい程の…あぁ、何て言うか怒りというか…はぁ…。
『君のせいですよ、沖田クン?』
「え、そうなんですかィ?」
なーんて、惚けて言う総悟に思わず乾いた笑いが出る。
「まぁ、いいじゃねェですか。たまには」
まぁまぁと私の手を掴んで私をズルズルと引きずるように総悟は歩き出す。
『っていうか、何で白昼堂々サボるの付き合わそうとしてんの…一人でサボればいいじゃないの。ねェ、聞いてる!?』
「ダメでさァ…酢昆布が居ねェとつまんねェだろィ?」
『つまんないとか私には全く関係ないんですけど!?』
あー…こんな所土方さんに見つかったりしたら…
「何やってんだァ…?んな所で」
『ひっ…!』
バッと振り返れば青筋立てて今にも物理的に襲ってきそうな土方さんの姿。
「揃いも揃ってサボりたァ…良い度胸じゃねェか…」
『や、ひ…土方さん、これは総悟、が…あれ?』
チラリと視線を動かせば、そこに居たはずの総悟が居ない。
『あ、のドS野郎…!』
「で?総悟がなんだって?後いつも言ってんだろ、口が悪ィ」
パキパキと手を鳴らしながらにっこり笑った土方さんに私は顔を引きつらせた。
総悟がケロッとした顔で戻ってきたのは私がこっぴどく土方さんにしごかれてダウンした後だった。
(ダメじゃねェですか、ちゃんと逃げねェと)
(裏切りは良くないよ、ね?嘘吐きドS野郎め…)
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