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ブクブク…
ストローからグラス中のジュースに空気を入れる。
「もう、桜ちゃんはしたないわよ」
そうお妙に言われて私は苦笑いを浮かべた。
女が集まれば会話の内容は大体決まってる。
とても男に聞かせられない内容のエグい話か…
恋の話。
所謂ガールズトーク。
「それで片想いはどうなの?」
『ん…?あぁ、うん…』
もっと優しい人を好きになれば良かったとか、もっとあんな人をこんな人をと思う事は死ぬほどある。
『まぁ…相手が相手だし、ね』
「…そうね」
私の言葉に今度はお妙が苦笑いを浮かべた。
私は完全に恋する相手を間違えた。
「なんだぁ?こんな所で何やってんの?」
何度も聞いてる大好きな声に頭は冷静なのに心臓はトクリと跳ねた。
『あぁ、銀さん。見て分からない?お妙とデート』
心音がバレないように気をつけそう言いながら食べかけのケーキを口に運んだ。
「オイオイ、なんでお前そんなにモテるわけ?」
なんてお妙に言ってる銀髪の男を殴ってやりたいとか考えながらズズッとストローを吸った。
「つーか桜美味そうなモン食ってんじゃねーか…銀さんにも頂戴」
『えー…間接キスですか?(あぁ、本当に殴りたい)』
「今更間接キスなんざ気にする歳でもねぇだろ」
『(あーあ、人の気も知らないで)』
いっそ告白してやろうかなんて思うだけで実行出来ない私は今日もいつもの笑顔で銀さんと言葉を交わす。
[お題配布元:確かに恋だった]
→後書
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