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『…近藤…さん…』
「や、やぁ…久しぶり」
久しぶりに会った彼女の雰囲気は少し変わっていた…。
それは良い意味で…どこか大人になった気がした。
「ハンカチを返しに来たんだよ」
『あ…わざわざ…?』
「かっ、借りたものは返しなさいって…あの、言われたから」
しどろもどろになる俺に桜ちゃんはクスクスと笑い出す。
そんな彼女を見れば自然と笑みを溢れる。
「こ、この間はその」
『いいんです、妹でもしょうがないですよ』
「ち、違うんだ!話を聞いて欲しい…!」
『…話…?』
少し頬を赤くする桜ちゃんを俺は真っ直ぐ見つめる。
「俺は確かに君の事を妹のような子だと思っていた」
『っ…』
「けどこの前桜ちゃんが泣いた時の顔が忘れられなかったんだ…!君の笑顔がどれほど大切か…君がお妙さんより大事な人だったか…気付いた」
『…え…?』
「君が今でも俺を好きでいてくれているのなら…!ずっと俺だけの君でいて欲しい…!」
全てを言い終わった時には俺の顔も桜の顔も赤く染まっていた。
『こ…近藤さん…』
「…ダ、ダメだろうか?」
『…ダメな訳ないです』
「そ、それじゃあ…!」
「…はい…っ」
クスクスと笑う桜に安心しながらぐっと引き寄せる。
知らなかった、人を抱き締める事がこんなに温かい事だったなんて…
小さな体を抱き締めながら俺は彼女に言った。
(す、好き…です…!!)
(声、裏返ってますよ?)
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