1
「お妙さぁぁあん!!!」
今日も私の好きな人は私じゃない人にアタック中…。
毎度毎度フラれてるのに何でめげないんだろう…そういえば以前似たような事を聞いた時にはあれはお妙さんが照れているだけだと大きく笑っていたっけ…。
『こんなに好きなのに…』
猛烈アタック中の近藤さんを見つめながら小さく小さく呟いた。
確かにお妙さんは凄くいい人で…こんな私にも優しくしてくれる。
近藤さんの何処がダメなのか…前に真剣に聞いた時は凄く困ったような呆れたような顔をしながら曖昧に答えられたのを覚えてる。
今回もお妙さんにスッパリ綺麗にフラれてボロボロの近藤さんに近付いてハンカチを渡しながら、何とも言えない気持ちのまま笑えば近藤さんはハンカチを受け取りながら立ち上がって私を見つめる。
「も…もう桜ちゃんでいい!付き合ってぇぇえ!!」
そう大声で叫んでくるのもいつもの事…。
高鳴る鼓動を抑えながらいつものように笑って流した。
私の気持ちを唯一知る土方さんは何とも苦々しい顔でそれを見ていた。
戻::進
栞
先頭