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お付きあいを始めて半年…
未だ僕は彼女の桜さんと手を繋ぐ事しか出来ていない。
そして今日は僕の誕生日。
『新八君、お誕生日おめでとう』
「あ、ありがとうございます!」
渡されたプレゼント、手作りの料理にケーキ。
今年の誕生日は言うこと無しだ。
ただ誕生日と言う大きなイベント…せめてもう少し進展したいと言うのが本音だったりする。
「あ…あの…桜さん…!」
『ん?なぁに?』
僕より年上の桜さんはいつも冷静。
「も…もう一つ我儘聞いて貰っても…良いですか…?」
『え…っと…それって』
そう言いながら少しずつ近付く桜さんの顔…。
みるみるうちに顔が熱くなるのが分かる。
そっと重なった唇に僕の頭はショート寸前だ。
「なっ…な…っ!」
『こういうこと…かな…?』
「っ〜…!」
小さく笑いかけてくる桜さんに言葉を失う…
はっ…恥ずかしい…!
キスってこんなに恥ずかしいものなのか…!?
しかもこういうのって男の僕がしなくちゃいけないんじゃ…!?
グルグルと回る思考に対して桜さんの笑顔はくずれない。
『あれ…違った?』
「っつ…」
言葉にならなくてブンブンと首を振れば桜さんはまた満足そうに笑った。
当分桜さんには敵いそうにない。
(好きだよ、新八君)
(ぼ、僕もです…!)
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