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『何しにって…アンタに会いに来たに決まってんでしょ!?』
「ここが危ねェのが分かってんのか聞いてんだよ…!」
『そんな言い方…っ…だって…気付いちゃったんだもん!』
「何を…!」
『アンタが居なくなってから…っ…』
顔を合わせれば喧嘩。
この距離はどうも変わらないのかと思えば次第に涙が溢れる。
『どれだけ…寂しかったなんかアンタに…っ』
ボロボロと流れる涙を止める術なんて私には分からなくて顔を見られたくなくて手で隠す。
「…ガキ」
『だ…誰が…っ!』
そう言われて総悟を見れば突然抱き締められた体に思わず体が固まる。
『な…に…?』
「俺だって桜が居ねェとダメでしたよ」
『嘘…っ』
総悟の言葉に驚きを隠しきれずにそう言えば総悟は溜め息をつく。
「んと…とんだ誕生日ですねェ…」
『あ…!』
「挙げ句忘れてたんで…?」
呆れたような総悟の声に苦笑いを浮かべる。
「で…覚悟出来てんでしょうねェ…」
『か…覚悟って…』
「こんな所まで来たんだ…これから先…何があっても離れねェ覚悟でさァ」
『っつ…そんなの…出来てるに決まってんじゃない…』
「ならいいでさァ」
強く抱き締められながらそっと目を閉じて小さく呟いた。
(私だって総悟が居ないとダメなんだから)
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