長居して体調が悪化する前にと土方さん達が帰ったのは数時間前。
『なんか…暇。』
“晩飯はもっと美味い粥作ってやるから大人しく寝てろ”
そう言って銀さん達が部屋を出て行ってからこの部屋に私は一人…あれ、ヤバイ…なんか泣きそう。
大分やられてるなこれは…あー…ダメ、ダメだ。
『ぐす…っ』
一人が寂しくて泣くとかどんだけよ…いや、さっきまで騒がしかったってのもあるんだけど…。
これはダメだわ、本当…あー…ヤバい。
布団に顔を埋めてみればまたこれは…ナニコレ…あれだわ…弱ってるから思考がマイナスなんですけど…。
『銀…さ…』
「桜ー、ちゃんと寝てるかー?ってあれ?え!?桜ひょっとして泣いて…えぇ!?何だ、どっか痛ぇの!?」
『銀さ…』
あー…見られた…見られた…。
どうしようなんて考えて言葉にしようと思うのに銀さんに手が伸びる。
「ん?どーした?」
そう言ってそっと手を握ってくれる銀さんの顔が少し慌ててるような焦ってるような…そんな顔を見てつい笑いそうになる。
『銀さ…側、に居…』
「…っ…わーってる、ここに居んだろ。ちゃんと居てやるから。」
クシャリと頭を撫でられる感覚が気持ち良くてついウトウトする。
『銀さ…ん…あったか…』
困ってるのかな…なんとも言えない顔してるな…あぁ、困らせたく、ないのに…本当。
何でこんなに暖かいのかな…この人は。
「桜…────」
何か言ったのが聞こえるのに言葉が聞き取れなくて私は意識を手放した。
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