「〜・・ー……!!」
「ーー・・ー!!」
玄関から聞こえる声からするになにやら言い合いをしている様子。
あれ?二人以上の声が聞こえるんだけど…。
声はどんどん近付いてくる。
「だァから!桜はテメェらとは会いたくねぇって言ってんだよ!」
「さっき眠ったままだって言ってたのはテメェだろうが。寝てる奴にどうやって聞いたんだんだ!あ!?」
「う…ね、寝る前に聞いたんですぅー!」
「嘘吐きやがれ!適当言ってんじゃねェぞ、この天パが!!」
うーん…土方さんが来てくれたって事は話からするに総悟くんもいるのかな…。
「てんめーこのドSチワワ!!」
うん、居るな…つかなんつー組み合わせよ…。
犬猿の仲とは言うけど犬と猿より達が悪いと思う。
聞こえる声に苦笑いしながら土方さん達に風邪が移らないようにと救急箱にあったマスクをつけた所で新八くんが漸く重い腰を上げた。
「全くいい歳して何やってんでしょうね」
と溜め息をつきながら新八くんは戸を勢い良く開けた。
「あんたら五月蝿いですよ!!桜さんの体調が悪化したらどうすんですか!?」
新八くんがそう怒鳴れば四人はピタリと口論をやめてそろりと私が居る部屋を覗いた。
『銀さん神楽ちゃん、おかえりなさい。土方さん総悟くん、いらっしゃいませ。布団からで申し訳ないです。』
頭を下げながらそう言えば土方さんが小さく溜め息を吐いた。
「今回は俺にも非があるからな…」
そう言いながら土方さんは私に近付いて私の頭を撫でてくれる。
「そうですぜ、土方さんが桜を送らなかったのがいけねェんでさァ…」
総悟くんの足が土方さんの頭を思い切り踏んずけた。
「!?なにしやが…!」
勢い良く土方さんの頭が床に叩きつけられる。
所謂土下座の体勢である。
「そりゃあちゃんと桜に謝罪しねェとなんねェですからねィ…このくらい当然でさァ…って訳で桜、許してやって下せェ」
『そ、総悟くん…(やりすぎだって)』
にっこり笑う総悟くんに何も言えずに居ると今度は銀さんが土方さんの背中を踏みつける。
「そうだぞー?うちの可愛い娘預かっといてどしゃ降りの中帰らせやがって…このマヨラーが。」
「テメェら…ッ…」
『銀さんまで…いや、そこまでしなくて大丈夫ですから』
「桜は優しすぎるんでさァ…あ、これどうぞ」
はい、と渡された綺麗にラッピングされた箱に首を傾げる。
『開けていいの?』
「勿論でさァ!開けて下せェ!」
土方さんの頭を踏むのを止めたと思えば総悟くんは私の横にちょこんと座る。
んー…可愛いな…ちくしょう。
破れないようにラッピングを取れば中から出てきたのは可愛い髪止め。
『わ…可愛い…』
「いいの?なんて言わねェで下せェよ?桜の為に買って来たんでィ」
チラリと土方さんを見ればいいから受け取れと言わんばかりの顔。
『ふふ、ありがとうございます』
銀さんの複雑そうな顔に全く気付かなかった私は少しニヤけながら髪止めを見つめていた。
(すっかり蚊帳の外アル。)
(いいんですか?このままじゃあの二人に負けますよ?)
(…関係ねぇよ、んなの。)
→後書
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