「急に誘っちゃってごめんなさいね?何か用事はなかったかしら?」
『へ?あぁ、全然!元々買い物行くつもりだったんで…!』
「ふふ、なら良かった」
あー…これは本当にいい体験…ちょ、ちょっと待てよ…
これ浮いて…ないよね?こんな美人に囲まれて一人地味なのが混じってるんだけど…え?これ大丈夫?
「それで桜ちゃんは何を買うつもりだったのか聞いてもいいかな?」
『あ、新しい着物と髪飾りとか…後は化粧品とかですかね…』
「あら、いいじゃない!折角だから私達にも選ばせてくれる?」
『も、勿論です!』
全力で頷いて見せれば笑い出した二人にきょとんとしながら首を傾げる。
「ねぇ桜ちゃん、敬語じゃなくていいのよ?」
『え?』
「そうだね、歳も近いみたいだし」
『あ…わ、わかった。』
満足そうに頷いた二人を見て思わず笑顔になる。
「あ!ほら、あのお店なんてどうかしら?」
『あ…可愛い』
指差されたお店に視線を移して頷けば店内に入る。
『い、色々あるな…どれがいいだろ…』
「これなんてどう?」
お妙ちゃんのその言葉を合図に買い物は始まった。
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『あー…ちょっと買いすぎた』
「あら、そんな事ないわよ」
『でも、これ持って帰ること考えると…ねぇ?』
「その点は心配しなくていいんじゃないかな?」
そう言う九兵衛くんの視線を辿れば銀さんの姿。
『あ…』
「やーっと、見つけた…ったくいつまで買い物してんだ?ほら、帰るぞぉー」
ひょいっと荷物を持ってしまった銀さんに少し慌てる。
『ぎ、銀さん!自分で持てますよ…!』
「いーから。ここで俺が持たねぇとそこにいるゴリラ女に何言われるかわかんねぇんだよ」
「…銀さん?何か言いました?」
「……イエ、ナニモ。」
にっこり笑ったお妙ちゃんの気迫にダラダラと冷や汗を流す銀さんに私は苦笑いを浮かべた。
(君も色々苦労しそうだな)
(いやいや、九兵衛くん程では…)
→後書
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