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冷静に考えて怪盗キッドがヤバいという話
萌え 2018/12/22 02:21


・麻衣兄さん×コナン
・親友の名前は***
・怪盗キッドの話





 現代日本におけるコナンファン、あるいは怪盗キッドファンなら結構な確率でご存知と思われる設定がある。それは怪盗キッド――黒羽快斗君(17)のIQが驚異の400ということだ。アニメや漫画のキャラでIQがクソ高いことはまあよくある現象なのでスゲーの一言で済むが、その設定持ちがリアルに存在するとなると話は変わる。正確に言えば、関わりを持たざるを得ない状況になると、だ。

 詳しい話を割愛してざっくり言うと、IQの平均は100である。間違いなく一般市民の俺もその辺りの数値だろうし、クトゥルフ的探索者のINT(知性)で表すなら10とか11くらいだろう。これがリドルなら当然のように高値を叩き出すのだろうが、Wiki先生にも彼のIQなど載っていなかったので推測の域を出ない。だが快斗君は400。通常の4倍。高すぎて意味が分からない。INTに直すと40とかだろうか。お前それはどんな神格だ。正直に言ってとてもこわい。なお、クトゥルフ界におけるトリックスター・ニャルラトホテプの化身の一つ、古代エジプトの王のINTは86である。おまけに長身で浅黒い肌のイケメンである。さらにPOW(精神力)に至っては驚異の100ときた。色々と高すぎて語彙力が死に絶える。一般人<快斗君<ニャル様という構図がとても怖いと思う俺の気持ちがお分かりいただけただろうか。

 そんな怪盗キッドと互角に対決する小学生探偵(中身は思春期)も、IQがとてつもなくアレなんだろうなという想像は容易だ。そんな彼に頼られるFBIや公安もヤバそうであるし、彼の父親(と書いてラスボスと読む)たる工藤優作なんてスカウターが爆散するほどのIQだろう。コナンの周辺はスペックが高すぎる。そもそも工藤新一世代の人間のスペックが高水準すぎないか。

 主人公周りのスペックが恐怖でしかないのは今に始まったことではないので、ひとまず置いておく。問題はそこではない。その高スペックの代表格が、今、俺の目の前にしれっと立っていることだ。

 女子高生の姿に身をやつす俺の隣で、傾国の笑顔を浮かべるとびきりのイケメン。見た目はどこからどうみても間違いなくトム・リドル。だが中身が別人とくれば、ここが鈴木財閥の所有する美術館であることも併せて別人の正体が特定できる。

(こいつ怪盗キッドじゃねーか! リドルと入れ替わるなんて聞いてねーぞ!?)

 時折、自然な動作でこちらの肩を抱いて見せるイケメンに笑顔が引き攣りそうになりつつ(怪盗キッドの中の俺とリドルの関係性はどうなっているのか)、俺は今後の自身の動きについて考えた。というのも、怪盗キッドがこの場にいる理由によっては、血の雨が降る可能性がなくもないからだ。

@怪盗キッドが不意を突いてリドルを気絶させた。
Aリドルが面白がって怪盗キッドと入れ替わった。

 このどちらのルートを辿っているかで、主に怪盗キッドの盗みの難易度が変わってくるはずだ。Aなら面白がったリドルが高みの見物と称してコナン君の奮闘を見ているだろうが、@なら怒りの反撃が怪盗キッドに襲い掛かるだろう。IQ400の怪盗と平成のホームズと反社会組織の元首魁の混戦など見たくない。なお、警察と鈴木治郎吉に雇われた警備員はそっと添えるだけになる。しょうがないね。

 場合によっては悪いことしかないリドル入れ替わりだが、実は彼に変装すると一ついいことがある。それは、笑顔を浮かべて視線を向けるだけで、コナン君が嫌がって距離を取ることだ。以前、リドルが合法的にコナン君の捜査の邪魔をするという嫌がらせをしたことが地味に効いているらしい。小学生に避けられる青年というのはアレな絵面だが、リドルは過ぎるほどのイケメンなのでそれで帳消しにされている。イケメン無罪はずるいと思う。ちなみに、イケメンパワーが一番効いているのは鈴木園子嬢である。そもそも俺とリドル、***の三人は、俺が園子ちゃんと友人であることと、彼女がイケメン二人に目が眩んだことが要因で、怪盗キッドの大捕り物という結構な無関係イベントに招かれたのだ。表向きはリドルの頭脳と***の腕っぷしを買われたらしいが。あれ、俺が一番いらない子じゃね? うん、知ってた。

「麻衣、もっと近くで宝石を見に行こうよ」

 またしてもさらっと肩を抱かれ、リドル(の変装をした怪盗キッド)に耳元で囁かれる。……お前、俺とリドルが恋人同士だと勘違いしてないか? あるいはそういうおふざけをしてもスルーしあえる関係性だと正確に掴んでいるのか? せめて後者であって欲しい。ただ、俺が彼が偽物であると気づけたのは、やたらとベタベタしてきたからなのだが。何しろ、奴が俺にベタベタすることがあるとすれば、必ず何か意味があるからだ。この場においてはその意味は存在しない。怪盗キッドは俺を出汁というか隠れ蓑にして色々と探りたいのかもしれない。笑顔と視線でコナン君を牽制できるというオプション付きだしな。凡人の俺としてはそんなんで窃盗計画がどうにかなるのかと疑問だが、頭良すぎる連中はどうにかするのだろう。

 なお、一緒にいる***はリドルが偽物であることに気付いていないと思われる。うっそだろお前……。彼のことなので、「いつもと違う気がするけど、どうせ何か企んでるんだろ」とか、「変だけどリドルだから放置でいいか」とか、相変わらずの大雑把な判断で完結しているのかもしれない。あり得る、十分にあり得る。

「近くで見ただけで警備システムの穴が分かるものなのか?」

 怪盗キッドの邪魔をするつもりはないが、意地の悪い言葉の一つくらいはいいだろうと投げかけてやると、彼は少し驚いたような顔で俺を見下ろした。彼の正体の断定はしないが、匂わせるようにも受け取れる発言だから当然だろう。しかし、俺が騒ぎ立てる気がないことをすぐに察したらしく、どこか悪戯っぽい気配のするリドルらしくない――怪盗キッドらしい笑みをこっそりと浮かべて見せる。

「それはどうでしょうね?」

 悪戯っぽいだけでなく気障な雰囲気すら漂わせたが、リドルもイケメンなので似合うのがとても腹立たしい。俺はフツメンの悲しさに浸りながら、せめてもの抵抗として「恋人でもないのにベタベタすんな」と軽く青年に肘鉄をかましてやった。



+ + +


怪盗キッドのIQやべーぞということが書きたかっただけです。探索者のステータスで考えたら完全にやべー奴。
トリプルフェイスの技能振り分けポイントが足りなかったのは、高すぎるINTを再現できていなかったから……?
自分で書いておきながら、リドルに対するコナン君の警戒具合よ。


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