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わーい!
萌え 2018/10/21 23:35


・麻衣兄さん×コナン
・リドル視点





 トム・マールヴォロ・リドルという男は殺人者である。そもそも、存在自体がマートル・エリザベス・ワレンという少女の死を起点としている。つまり、少なくとも分霊箱の一つであった彼は生まれながらの殺人者と言える。そして彼の本体であり未来は、魔法界で悪逆を尽くし歴史書に大きく名前を載せた男である。世間から根っからの悪、と評されるのも当然だった。学生時代と卒業してしばらくの頃は、むしろ類まれな好青年として認識されていたが。

 ともかく、広義的な意味でも狭義的な意味でも悪とされる性質のリドルは、その対極に位置する人間と相性が悪い。この世界においては、主人公とされる江戸川コナン――工藤新一がその筆頭だ。彼の精神性を表す言葉の一つに「人が人を殺す動機なんて知ったこっちゃねぇが、人が人を助ける理由に論理的な思考は存在しねぇだろ?」が挙げられるが、リドルにはそれが受け入れられない。人が人を殺す理由など山ほどあるし、人を助ける理由など打算的な何かがあるとしか思えない。少なくとも、リドルはそう考えて生きてきた。近頃できた友人というカテゴリーの人間にはまた違った思いがあるものの、根本的なそれに変化はなかった。リドルの幼少期に、自分を絶対的に受け入れてくれる人間が存在しなかったこと、一方のコナンは両親の愛を一身に受けて育ってきたという違いがその決定的な齟齬を生んだのだろう。

「犯人は――あなたですよ!」

 毛利小五郎越しに謎を解く少年の声を聞きながら、リドルは内心で舌を打った。今回の犯人を見付けるタイミングも、コナンとほぼ同じだった。……いや、少しばかり遅かった。謎を解く探偵と、謎を作り出す犯罪者側の差だろうか。こうしてリドルが水面下で一方的に探偵と張り合っているとは誰にも告げていない。谷山麻衣の姿を取る男にも、その親友にもだ。リドルがこんな推理勝負をするようになったのは、自身の友人と言い張る男が最近、コナンを褒めてばかりいるからだ。

 曰く、賢い。頭がいい。さすが平成のホームズ。スペック高い。云々。コナン本人にはその1/10程度しか伝えていないが、彼はやたらと誉める。頭のいい正義の味方の主人公様だから当然なのかもしれない。なんなら、安室透も褒めるし沖矢昴も褒める。服部平次と会うことがあれば恐らく彼のことも褒めるだろうし、灰原哀に関しては「哀ちゃん可愛い」の一言もつくし、世良真純だと「八重歯の僕っ子正義すぎる」という余計な感想もつく。リドルはそれらが気に喰わない。何となくだが腹立たしい。お前の隣に頭も顔も殺傷能力も高い男が立っているのが見えないのかと言いたい。そしてその言葉はプライドがエベレストよりも高いリドルに言えるはずもなく、結果として胸中で溜め込むことになる。



+ + +



付け加えるならば親友も江戸川教信者である。
リドルは頭いいキャラの位置づけで兄さんたちに頼られてる自覚と自負があるので、自分以外の頭脳系キャラに兄さんたちがホイホイされるとムッとしているかもしれない。プライド高いし。
地の文に出てきてないですけど怪盗キッドもスペック半端ないし、阿笠博士もある意味レジェンドクラスの発明家。みんなスペック高すぎんよバーロー。


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