更新履歴・日記



似非文学少女とお髭の教授
萌え 2018/09/10 23:14


・コナン視点
・魔術師麻衣兄さん
・GH+コナン世界のダンブルドア教授が来日
・inポアロ
・とてもぶつ切りの話。書きたいところだけ。





「よっしゃいた! 江戸川大明神様!」

 そんな声にコナンが入口の方を見やると、麻衣がサンタクロースを連れてきていた。……ちなみに12月にはまだ遠い季節である。しかしその背の高い老人は、真っ白な髪と口髭を長く伸ばしており、サンタクロースでなければ仙人のような風体だった。さらに付け加えると、しわが刻まれた顔立ちは彫りが深く、青くキラキラと輝く双眸からも彼が西洋系の人種であることは明らかだ。仙人でもないだろう。だがどこか時代がずれているような感覚は仙人らしいかもしれない。半月型の変わった眼鏡はレトロ調でお洒落なのかもしれないが、茶色のくたびれたスーツは随分と型遅れで、彼にはあまり似合っていなかった。

 そして今更だが、コナンはいつから大明神に転職したのだろうか。江戸川コナンは小学一年生であり、強いて言えば探偵のつもりなのだが。急募、ツッコミ。

 オレンジジュースにさしたストローから唇を離し、コナンは子どもらしく小首を傾げて「どうしたの、麻衣姉ちゃん?」と問いかけた。すると彼女はこちらにツカツカと迷いなく歩み寄りながら「コナン君、英語できるよね」と確信を込めて尋ねる。いや、尋ねてすらいない、事実の確認に聞こえた。

「できるけど、どうして知ってるの?」

「この前、ここで英語の本読んでただろ?」

 その言葉を聞いたコナンは、内心で「目敏い」と呟いた。小学生を対等に扱ってくる彼女相手だと、そもそも隠し事が得意ではないコナンは気が抜けやすい傾向にあると自覚はしていた。彼女はコナンの小学生らしくない部分を重要視しないし、周囲に吹聴もしないからだろう。しかし、小学生どころか大学生でも手を焼くような海外の推理小説を、ここポアロで読んでいたことを指摘されるとは思っていなかった。梓はコナンが本に集中している時点で気を遣ってあまり近寄らないし、安室も今更どうこう言ってくるような相手ではなかったため、ポアロは毛利家に近くて蘭の目も気にしなくていい意外な良スポットだったのだ。

「後生だからさ、通訳してくれないかな?」

 通訳、というのは麻衣が連れてきたサンタクロース染みた老人との会話だろう。彼女が今までどこにいたのかは知らないが、わざわざポアロまで連れてきたのだから単なる通りすがりの間柄ではなく、何らかの関係があるのだと思われる。そうでなければ知人を通訳に会話を試みようとは思わないのが普通だ。

「確かに読んでたけど、会話できるとは限らないんじゃない?」

「あ、そういうのいいんで」

 建前とか駆け引きとか結構です、と言外に身も蓋もなく示された気分になった。実際、そのつもりなのだろう。江戸川コナンは英語が堪能、という認識が彼女に強く根付ているのは明らかだ。

「コナン君みたいな知的好奇心の塊が、英語を読めるだけで話せないとは思えなかったんだよなぁ。その反応だと、本当に喋れるんだろ?」

 その言い草にはぐうの音も出ない。こちらの言い訳など意味をなさないだろう。仕方ないか、とコナンは腹を括った。特段、用事もないからポアロで読書を嗜んでいたのだ。開いていた国産の推理小説にしおりを挟んで閉じると、コナンは体ごと麻衣に向き直った。

「それで、このおじいさんと麻衣姉ちゃんはどういう関係なの?」

「初対面」

 ……コナンは少し帰りたくなった。



+ + +



「マイネームイズマイ! ナイストゥーミーチュー!」

 店内の隅にあるボックス席に場所を変え、会話を切り出したのは麻衣だったが酷い日本語発音であった。小学生、あるいは中学生が一番初めに習う自己紹介の定型文を、ガチガチに緊張しながら朗読したとしか思えない。梓は共感の眼差しを麻衣に注いでいる。麻衣は、そしてついでに梓も本当に英語が苦手なんだな、とコナンは納得した。彼女の友人であるリドルが流暢に日本語を操るのは、案外彼女のためだったりするのかもしれない。

 コナンは隣に座る麻衣の残念さ加減に口元を歪めたが、すぐに笑顔を作って向かい側の老人に話しかけた。

「Hi! Great to meet you. I'm Conan Edogawa. Please call me Conan!」

「天才か」

 コナンが緊張する麻衣に続いて子どもらしく元気に自己紹介すると、麻衣が慄くような眼差しをこちらに向けてきた。自分から頼んでおきながら、コナンの会話能力にビビっているらしい。……自己紹介しかしていないのにこの反応とは頭が痛い。いや、小学生がここまで流暢に英語を話すのは珍しいのかもしれないが、彼女は別にコナンが工藤新一のままでも同じような反応をしそうな気がするのだ。藁ではないが小学生に縋る程度の英語力なので。

 ――ふとコナンは疑問を覚えた。だが今は通訳を優先しよう、と老人の青い双眸を見上げる。会話しながらだって推理はできるのだから。

 老人は落ち着いた優し気な声色で返してきた。

「Same here. I'm Albus Dumbledore. I'm called Dumbledore.」

「今のは分かる。ダンブルドアって呼んでくれって言ってるんだよな?」

「……そうだね」

 嬉しそうに確認してくる女子高生を見て、コナンの中に何とかしてやらなければならないという使命感が生まれた。

「I'm an elementary school student. What do you do for living? Is she your friend?」

「I am a university professor. I'm not her friend, but My pupil is her friend.」

 すっ……と麻衣の表情が菩薩のそれになる。理解を諦め、空気になることを受け入れたらしい。早すぎる。彼女の英語力は中学生程度で止まっているのだろうか。そう頭が悪そうには見えないのだが。コナンは半眼になりながら彼女に話しかけた。

「ダンブルドアさん、大学の教授なんだって。教え子が麻衣姉ちゃんの友達だって言ってるよ。もしかして、それは辛うじて理解できたからここに連れてきたの?」

 すると、麻衣はうんうんと頷いた。

「なんかさ、リドルがどうとか言ってるのは分かったから。リドルの知り合いなんだろうなーと。で、自分に話しかけてくるくらいだから、リドルのことで何か聞きたいことがあるんじゃないかと思ってさ」

 にこにこしている麻衣から悪意は感じられない。だが何か引っかかる。嘘をつかれているというよりも、全てを言っているわけではないというような、中途半端に煙に巻くような妙な印象を受ける。麻衣は常からコナンのことを好奇心が強く頭の良い小学生探偵と扱っているので、思わせぶりな言動はこちらの興味を惹くと分かっていそうなのだが。まさか、それも織り込み済みでポアロに来たのだろうか。ポアロにコナンがいる確証はなかっただろうに。

(疑わしいけど悪意がないっていうのは、この人らしいっちゃらしいんだけどな)

 人を騙す人間は数多く見てきた自負がある。谷山麻衣にもその一面があるだろうことは何となく感じることもある。けれど、彼女にそれほど警戒心を持たないのは、根本的な人柄が善良でしかないし、なにより優れた頭脳を持つわけでも権力のあるバックを持つわけでもないただの高校生だからだ。実際、彼女がコナンやその周囲の害になるようなことをしたことは一度もない。時と場合によっては、少年探偵団の子どもたちをそっと事件現場から遠ざけることすらあるという、現場をうろつくコナンに拳骨を落とす毛利小五郎と通ずるところのある“良心的な大人”だ。

(リドルの先生だっていうなら、むしろリドルに何かあるのかもしれねえ)

 あの青年には苦い思いをさせられた覚えがある。ちょうどいい機会だ、とコナンは内心で舌なめずりをした。コナンは好奇心旺盛であるが、付け加えて負けず嫌いなのである。やられっ放しは性に合わないのだ。



+ + +



 会話の途中から麻衣とダンブルドアの通訳というより、コナンと彼のやり取りになりつつあった。その中でコナンが感じたのは、ダンブルドアという老人は非常に頭が切れる男だということだ。友人を通して教え子の様子を知りたいのだろうかと予想していたコナンは、しばらく話を続けてようやく、本来の目的が教え子の友人の人となりを知ることだと理解した。ある程度会話を続けなければ、コナンでもその目的に気付くことが難しかった。それほどダンブルドアは巧みに会話の方向を操り、ウィットに富んだ話題を提供しつつも、好々爺然とした微笑みを湛えながら青い目でコナンと麻衣を探っていた。それでいて温厚な紳士という態度を一切崩さない彼は、コナンを取り調べを受ける容疑者のような気分にさせない。あの生徒にしてこの教師ありということかもしれなかった。何より、コナンは老人のキラキラと輝く青い目が嫌いではなかった。真実を見通すような眼差しは、真実を追求する探偵としては気分が良い。後ろめたい面がある者にとってはそうではないだろうが。

 ダンブルドアと麻衣がそれぞれ注文した紅茶とコーヒーが尽きた頃、ポアロのドアベルが鳴った。

「いらっしゃいませー。あ、リドル君! 麻衣ちゃんはあっちよ」

「お久し振りですね、梓さん。ありがとうございます」

 相変わらずのイケメン、と梓がホクホク顔で出迎えたのはトム・リドル――麻衣の友人だった。その姿を見たコナンは、反射的に背筋を伸ばした。

 コナンはリドルが苦手だ。油断ならない安室とは別種で、彼も油断ならない。切れ味のいい弁舌を振るい正論で周囲を誘導し、合法的にコナンの捜査の邪魔をしてくるのは正直とても困る。安室のようにこちらに探りを入れる様子はないものの、純粋に妨害してくるのが厭らしい。どうして彼のような捻じ曲がった男が麻衣や***と友人関係にあるのか、コナンほどの探偵でもさっぱり見当がつかなかった。そして、だからこそ彼の恩師と思しきダンブルドアから色々と話を聞いてやろうと企んでいたのだが、それも上手くいった気がしない。むしろ情報の探り合いになり、コナンと麻衣の人柄を掘られたように思える。

 店内に急ぎ足でやって来たリドルは、その理知的な美しい顔に静かな湖面のように穏やかな笑みを浮かべていた。なお、麻衣がその評価を聞いていたらこう付け加えることになる――「その湖面の下には激おこぷんぷん丸なリヴァイアサンがいるんだぜ?」、と。

 リドルは朗らかに片手を上げて見せるダンブルドアににこりと微笑みかけた後、コナンと麻衣の目の前までくるとその表情のまま告げた。

「勝手によろしくするな」

 第一声がそれかよ、とコナンは美青年の寒々しい言葉に顔を引き攣らせた。幸か不幸か、発言の対象は麻衣一人らしく、コナンに応答する義務はないのでしれっとスルーする。麻衣は「えー」と面倒そうな声を上げた。

「そう言われても自己紹介なんて一つしか知らないし」

 だろうな、とコナンは心の中だけで頷いた。英語力底辺の彼女のことだ、自己紹介など全部「ナイストゥーミーチュー」と言っておけばいいと思っているに違いない。恐らく同じことを考えているであろうリドルの視線がやや冷たくなった。

「会話するな」

 麻衣への要求がもっと酷くなった。どうせ最初から隠せていないだろうが、コナンは最早しっかりとリドルに半眼を向けた。発言だけを聞くと嫉妬深い恋人のそれなのだが、彼にそんな意図は微塵もないのだろうし、麻衣もそう捉えてはいないのだろう。相変わらず不思議な関係だ。蘭も園子も梓も、「本当に麻衣は“どちらとも”付き合っていないの?」と事あるごとに気にする程度には不思議である。どちら、の一方はリドルであり、もう一方は日本人大学生だ。どちらも顔がいいので新一としてはあまり蘭と親しくなってほしくない……という点からすると、彼らの首根っこを掴めそうな麻衣の立ち位置はありがたくもあったりする。

「お前の名前出されたんだから仕方ないだろ。ちゃんとお前に連絡したんだから褒めろ」

 どうやら麻衣がリドルを呼び出したらしい。リドルは麻衣の返答に鼻を鳴らすだけで答えると、彼女の隣に座るコナンに目を向けた。

「君もありがとう。もう麻衣の通訳をしなくていいよ」

 コナンの耳には「しなくていい」ではなく「するな」と聞こえた。恐らく気のせいではない。たまに麻衣に「英語を勉強しろ」と言う割に、本腰を入れて学ばせる様子がない辺り、実は英語圏の人間と会話させたくないのだろうかと感じる。もしそうなら、リドルは大分面倒臭い男だなとコナンは思った。そうでなくても扱いづらい人種であるとコナンはよくよく身に染みて知っているが。

 そうしてようやくダンブルドアに向き直ったリドルは、最早うすら寒い笑みで彼に告げた。ボックス席のためダンブルドアの隣が空いているのに、腰かけようとする様子がない。傍らに立ったままだ。

「Professor,What kind of intention is it?」

 意外と敵意が正直に剥き出しなんだな、と明後日の方向でコナンが感動していると、麻衣が静かに首を横に振った。

「教授しか分かんない……」

 最早哀れであった。通訳するなとは言われたものの、可哀想だったのでコナンはそっと小声で助け舟を出す。

「どういうつもりだって言ってるんだよ」

「江戸川様が電子辞書になったら売れる」

 表題を付けるのならば「その時、谷山に電流走る!」だろう。真面目な驚愕顔を作って見せる女子高生に、コナンは心底呆れかえった声で告げた。

「麻衣お姉さんは英語を勉強して」

「一生日本に引きこもるからいいんだよ」

 彼女の表情は決意に満ちていた。パスポートは一生申請しませんとでも言いたげである。気軽に海外へ渡るコナンとしては信じがたい。それに一人で鎖国をしようとも、現状で英語力が要求されているので無駄だ。

「今まさに困ってるじゃない」

「リドルと***に通訳してもらうからいいです」

「いなかったからボクを頼ってここに来たんだよね?」

「コナン君の追及が手厳しい……」

 ふっと麻衣が遠い目をした。

 コナン、ひいては工藤新一の英語力は両親と趣味によるものである。幼い頃から海外に連れ回され、シャーロキアン故に原文のシャーロックホームズを読むための努力をすれば、自然と英語力が備わる。ついでに、イギリス英語とアメリカ英語の違いも。そのため、コナンはダンブルドアとリドルの会話を容易に理解できたし、彼らがイギリス人であることに気付いた。リドルはアメリカの大学からの留学生と聞いていたが、イギリス系なのか、あるいはイギリスから渡米したのだろう。

 大体の会話の流れとしては、リドルの友人に興味があったという理由でやって来たダンブルドアに、リドルが勝手な真似をするなと怒っているといったところだ。



+ + +



 ゆったりとした優雅な所作で立ち上がった老人は、三人分の伝票を自然な仕草で掴むと、レジスターの前で立ち止まり大きな背を丸めて梓に話しかけた。

「Can I have a bill?」

 英語対応用のマニュアルを構えていた梓は、両手で冊子を掴んだままピシリと背筋を凍り付かせた。

「あう! び、ビル? この辺りにビルってあったかなぁ? お客様の中でビルをお手持ちの方はいらっしゃいますか!?」

「ビルを持ち運んだら人間じゃないよ!」

 何故そうなった。コナンは混乱する梓に思わずツッコミを入れた。この場に安室がいたら、さすがの彼でもフォローする前に肩を震わせて笑っていただろう。

「梓姉ちゃん、お勘定を頼まれてるんだよ」

「そうなの? でも、マニュアルの言い回しと違うわよ?」

「アメリカ英語だと“Can I have a check?”になるけど、イギリス英語だと“bill”になるんだよ」

「江戸川様スゲー」

 麻衣がキラキラとした目でコナンを称賛する。彼女はそろそろ黙った方が良いと思う。リドルの視線の冷たさが零度を遥かに下回っている。相手がリドルでなければ、妬心が過ぎるぞと笑えたのだが。笑ったが最後、今度事件現場で会った時に今まで以上に妨害されそうな予感がする。

 ともかく、コナンの助け舟もあり、無事に会計することができた。さらりと奢ってくれた老紳士にコナンが麻衣の分も含めて礼を言うと、彼は眩しいものを見るようにコナンを見下ろした。

「You're very excellent. ……He is an up-and-coming Young man.」

 よく聞く言葉だ。素晴らしい、将来有望だという誉め言葉は工藤新一が幼い頃から今に至るまで何度もかけられてきた。そのため今更照れることもなく、コナンは「ありがとう、おじいさん」と笑顔で答えようとした、が。

「That has nothing to do with you.」

 その前にうつくしい笑顔を浮かべたままのリドルが、ぴしゃりと言い放った。いや関係ないってオメー、とコナンは半眼になる。確かに外国の教授にコナンの将来など関係ないだろうが。リドルはどうせ麻衣には意味を理解できないだろうからと、表情を取り繕っただけで言葉を叩き付けたのだろう。もっとも、何かと気心が知れていそうな彼女は、言葉が通じずとも雰囲気で察しているようだ。麻衣は「しょうがないな」と言いたげな目でリドルを見つめていた。

「That's too bad.」

 手厳しく跳ね除けられたダンブルドアは、それでも半月型の眼鏡の奥で青い双眸をキラキラとさせた。面白いものが見られたとでもいうかのように。



+ + +



「――ねえ、麻衣姉ちゃん」

「ん?」

「ここに来たの、わざとでしょ」

「さっき麻衣姉ちゃんはリドルさんの知り合いだからダンブルドアさんを連れてきたっていうけど、それって不自然だよね。それなら、最初からリドルさんを呼んでその場所で待っていれば良かった」

「そうだな」

「リドルさん、結構近場にいたよね。それなのにここに来るまで少し時間が掛かった。つまり麻衣姉ちゃんはポアロに来てからリドルさんを呼んだことになる」

「あいつが用事にひと段落つけてから来たってだけの可能性は?」

「それならさ、麻衣姉ちゃんのスマホのメールと通話の履歴見てもいい? 時間、記録されてるよね?」

「降参しまーす。でも、不自然だからどうしたんだ?」

「麻衣姉ちゃんは分かってたんじゃない? ダンブルドアさんの目的が、リドルさんの友人を見ることだってこと」

「ダンブルドアさんとはリドルさんの話をしたけど、彼はリドルさんの様子というより麻衣姉ちゃんのことを知りたがってた。そして麻衣姉ちゃんはその希望に応える必要があると考えているから、わざとリドルさんのいない場所でダンブルドアさんと話す時間を取るためにポアロに来た。ボクがいなかったらどうするつもりだったのか気になるけど」

「その時は大人しく最初からリドルを呼んだよ」

「計画性があるようでないなぁ」

「策士になれない凡人なもので」

 彼女は「詰めが甘いって叱られるんだよ」と笑った。叱るのは恐らくリドルだろう。もう一人の友人はそんな余地のない脳筋タイプと思われるので。

「ま、本人抜きの保護者面談みたいなものだよな」

「それだけ?」

「というと?」

「ダンブルドアさんってさ、リドルさんの周囲の人間に気を配っているような感じだったよ。まるで、リドルさんが悪い影響を受けないようにとか……リドルさんが悪いことをしようとしたら止めてくれるようにとか」

「へえー」

「ねえ、麻衣姉ちゃん。リドルさんって……悪い人?」

「――闇の帝王」

「は?」

「って言ったら信じる?」

「……なにそれ、ボクのことからかった?」

「ふふ、どうかなぁ」

「もう、真面目に聞いてるのに!」

「それじゃあ、もしリドルが悪いことをしようとしているのを見付けたら」

「サッカーボールを頭にぶつけてやってくれよ。優し目にな。説教はこっちでやるからさ」





+ + +



すまない最後はほぼ会話のみです。

異世界産ダンブルドア教授のスペック

本家SPRに籍を置く超心理学の教授。孤児院時代のリドルの才能に気付いて拾った人。養子にしようとするも全力で拒否られる。その割にしっかり踏み台にされ(本人承知)てリドルがアメリカの大学に行くための足掛かりになる。ダンブルドアとしては、リドルの突出した才能と同時に人格の危険性も察していたため、自己をコントロールする術を身に付け、適切なストッパーが傍に居てくれれば問題ないと考えている。ダンブルドアはリドルの人格は犯罪行為へのハードルが異様に低いことを理解し、日本にいる友人が適切に歯止めを掛けられるのか知りたがっている。無理ならあらゆる手を使ってリドルを“保護”すべきと考えていた。もちろん“保護”しようとすればリドルは盛大にブチ切れるし、ダンブルドアもそれを察した。
異世界産ダンブルドアは原作と同じくマキャヴェリ的な策士。普段は知的かつ温厚でユーモアに富む、広く人に好かれる人物だが、目的のためには手段を問わず、ひとたび敵対すれば徹底的に叩き潰す。苛烈な、あるいは冷酷な善人。リドルはそれを体感して理解しているが、×××はその辺りがWiki知識のため、知識として知っていてもいまいち実感がない。ただ、見透かされることへの居心地の悪さは持っている。なお、親友は「なんかスゲーじーさん」程度の理解。興味自体がない。リドルはそれが愉快なので入れ知恵する気がないし、関わらせる気もない。
コナン君のことはギフテッドかな?と思っている。SPRの双子のことも知っているので、彼らと同類かなと。


ダンブルドアの青い目に対する寸感まとめ

兄さん→若干居心地が悪い。ポタ界だと目を合わせたくない。
リドル→見透かすつもりかクソジジイ。喧嘩は買うぞ。
親友→青い。
コナン→結構好き。探り合うの楽しい。

親友は、本当に、何も考えてない。




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