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審神者ゾル麻衣兄さんと変態
萌え 2018/06/10 23:19


・コナン視点
・審神者ゾル麻衣兄さんの本日の護衛が盛大に事故っている
・沖矢さんが突っ込まれた話とリンクしてるけど兄さんの設定が違う謎(リドルと親友がいない)





 工藤新一、ひいては江戸川コナンは事件体質だ。出先で事件に出くわすことはしょっちゅうであり、悲鳴を聞き付けて現場に駆け付けるのは当たり前。事件が寄ってくるのであり、コナンもまた事件に気付けば目を逸らせない。コナンが探偵を自称し続ける限り、その体質は変わらないだろう。

 一方、コナンに最近できた知人も事件体質、ではある。しかし彼女の場合は完全に事件の原因が吸い寄せられている。事件が勝手に寄ってくるのだ。彼女自身は少々……いやかなり神経が図太いだけで至って常識的であり、事件に首を突っ込もうとはしない。避けようとするし、コナンと違って目を逸らすこともするだろう。それでも二本の足が生えた事件は、彼女の目の前に容赦なくやって来る。その体質はどうすれば変わるのか誰も分からない――事件の原因以外は。

 コナンはその日、少年探偵団と一緒に公園に遊びに来ていた。ベンチに座り、妙に母親めいた眼差しで歩美たちを眺める灰原哀の近くでリフティングをしていたコナンは、不意に木々の向こう側で知った人間が通り過ぎるのを見た気がした。少しだけ気になったため、コナンは哀に断ってからそちらに向かった。

 道路脇を通り、木々の合間を抜けた先にいたのは谷山麻衣という少女だった。コナンとは別種のトラブル体質の彼女は、一人で公園のベンチに腰かけている。誰かを待っているのだろうか。通常ならばそれだけで終わるが、彼女に限っては不用心だなという感想を抱く。声をかけてみようかとコナンが迷っていると、コナンよりも先に彼女に誰かが声をかけた。

「可愛いお嬢さん、アクセサリーに興味はない?」

「ないです」

 周囲に誰もいないので二人の声がよく聞こえる。どこか鼻息の荒い様子で声をかけてきた初老の男性に、小気味よくバッサリと断りを入れる麻衣。どこかで見たような光景だと思いながら、コナンは小さな体を木で隠しながら様子を窺った。男性は身も蓋もなく断られながらも、全くめげることなく少女に話しかけ続けている。

「そんなに可愛いんだから、素敵なネックレスで着飾るともっと素敵だよ」

 開運の壺を売りつけるインチキ占い師並みの胡散臭さだ。詐欺師の類だろうかとコナンは疑心を持った。少なくとも宝石商やアクセサリーショップの店員ではないだろう。それは、男の持っているスーツケースが傷だらけだからだ。本当に商品をスーツケースに入れているのなら、鞄に傷がつくような雑な持ち運びなどしないはずである。コナンは視線の質を変えて男を観察した。

 一方で、そんな怪しい男に話しかけられている麻衣は、動揺一つ見せなかった。平然とした声で答える。

「素敵なネックレスは質屋で生活費にする派です」

(なんつー言い草だ)

 もしコナンが、いや新一が蘭にそんなことを言われたら一ヶ月は落ち込む自信がある。俺のプレゼントは質屋行きかよ、と。自室でこっそり泣くかもしれない。

「そんなこと言わないで、見てみてほしいな」

 そう言うと、男はスーツケースを地面に置き、中から何かを取り出した。鞄の中身が見えないだろうかと、コナンが追跡眼鏡のズーム機能を使おうと手を伸ばしたところで、思わず顔を引き攣らせた。

「ほら、素敵だろう?」

 男が誇らしげに掲げたのは赤い革製の――首輪だった。

「ネックレスじゃねーじゃん!!」

 コナンは叫んだ。きちんと小声に抑えたが、それでもつい叫んだ。コナンの脳裏で蘭がファイティングポーズをとった。そんなものを贈ろうとしたら蹴り殺されて当然である。

 あれは変態だ。コナンは確信した。また性懲りもなく変態が現れて麻衣に迫っている。コナンは麻衣に寄ってくる変態の年代層の幅広さに愕然とした。同年代から青年、中年、初老までストライクゾーンとは業が深い。一体彼女は何者なのだろうか。

 ……本人に尋ねれば、「審神者兼教師兼暗殺者兼ハンターで元男子大学生の現女子高生です」と頭の痛い答えが返ってくる可能性が天文学的確率であり得なくもないのだが、コナンが今後それを知る可能性はない。「これ以上設定盛るの恥ずかしいから異世界トリップやめて欲しい」という本人の切実な愚痴も聞く機会はないだろう。

「あの子は本当に変質者に事欠かないね」

 コナンが男にドン引きしていると、不意に背後から聞き慣れた声が掛けられた。ぎょっとして振り向くと、半ば呆れたような微笑を浮かべた褐色肌の青年が立っている。

「安室さん? いつの間に」

「公園で君がこそこそしているのが見えたから、また事件に首を突っ込んだのかと思ってね」

 どうやら彼はポアロの買い出しの帰りらしく、偶然コナンを見かけて追いかけたようだ。確かに、傍から見れば怪しげな動きをしていた自覚はある。さらりとコナンに釘を刺した安室透は、「実際は麻衣さんが変態に首を突っ込まれているけれど」と余計だが的確な一言を付け加えた。

「あの子も事件体質だな。内容が誰かさんと違って特化されているけれど」

「ええ〜? 誰のことかなぁ?」

「推理してみるかい、小さな探偵さん?」

 実に白々しいやり取りだ。コナンは「ハハ」と乾いた笑いを漏らすと、麻衣の様子を窺うことに戻った。彼女本人はとても……とても手慣れた様子で平然と不審者と話しているが、場合によってはどこかで手助けが必要になる可能性は十分にある。なにしろ、彼女に絡む変態は妙に行動力があることが多い。その行動力を日本のために使えと死んだ目で呟いていた安室の姿は記憶に新しい。残念ながら、彼らの力はその大半を性欲のために消費される運命である。頑張れお巡りさん。最近、その死んだ目リストに加わった工藤家居候は所属の都合上、日本のためには動いてくれない。日本の治安は日本警察にかかっている。

 初老の男はコナンと安室が見ているとも知らず、両手で首輪を差し出しながら女子高生に迫っていた。

「お嬢さん。不自由はさせないから、おじさんのお家で飼われてください」

「飼われる時点で人生に不自由してますよね」

「永久就職だよ。不自由どころか仕事も私生活も充実した人生だよ」

「一日三食首輪付きの人生は嫌です」

 ……何度見ても思うことだが、何故彼女はああも当然のように会話ができるのだろうか。あまりにも冷静過ぎて逆に正気を疑う。安室もコナンと似たような心境らしく、疲れ切った声で呟いた。

「あの子のすごいところは、どんな相手でも普通に会話が成立するところだね」

「成立し過ぎて、どこで助けに入ればいいのか分かりにくいのがちょっと困るなぁ」

 そう、困る。あからさまに困った顔をしてくれたり、会話に戸惑った様子を見せてくれれば介入の余地があるというのに。真顔で至って普通に(内容はネジが飛んでいるが)会話を続けているせいで、どうすればいいかとても迷うのだ。コナンは、「無理やりにでも口を挟んだ方がいいかな」という安室の提案に乗るべきか考えた。

 しかし、転機は唐突に訪れた。

 ゴキャ、とでもいうのだろうか。そんな音が少し離れた場所から響いてきた。そちらに目を遣ると、白い男が立っていた。少し長めの髪は銀に近い砂色で、眼鏡の下には知的に整った美貌がある。黒いワイシャツの上に白いベストを着込み、すらりとした長い脚を白いスラックスが包んでいる。品のある白い靴は爪先まで磨かれており、彼の清潔感を補強している。首元の赤いネクタイが良い差し色になっているのが憎い。しかし全体的な印象を挙げるとすると、白いスーツが目立つホストの男だろうか。二十代くらいに見える白菊のような美しい容貌は、まさにその印象の裏付けである。軽薄さよりも上品さが前面に押し出されているのが特徴と言えば特徴だ。

 その青年の方から聞こえたのが先ほどの異音だ。コナンが目を凝らすと、黒い手袋を嵌めた青年の右手に缶が握られていた。ボタボタと茶色い液体が零れているので、中身はコーヒーだろう。コーヒーならばスチール缶である可能性が高い。つまり青年は、中身がたっぷりと詰まったスチール缶を、無意識で握り潰すほどの途轍もない握力の持ち主と推測される。何故無意識と言えるのか。それは青年が、呆然とした様子で麻衣と変態を見つめて立ち尽くしていたからだ。

 青年の登場で完全に出鼻をくじかれたコナンは、一体どうする気だろうと青年と麻衣たちの動向を見守った。今にも出て行こうとしていた安室も同様らしく、コナンの隣で三人を注視している。すると、最初に動き出したのは白い青年だった。

「――イケないなぁ」

 無残な姿になったスチール缶が地面に転がる。右手からコーヒーの雫を落としながら、青年が薄い唇で弧を描いた。ゆっくりと少女と男に歩み寄る姿に何故か気圧される。優し気な態度を装って獲物を威嚇しているような、異様な雰囲気がそこにある。

「そんなものでぼくのご主人様に取り入ろうだなんて、イケない人だ」

 コナンは耳を疑った。白い青年を見つめ、隣にいる私立探偵を見て、もう一度青年を見た。安室もほぼ同じ行動を取っていた。自分の耳を疑い、隣にいる探偵に真偽を問いたかったのだろう。誠に残念ながら、耳は正常らしい。

「………………は?」

 コナンの口から思わず素で声が出た。小学生と思えぬド低音であった。あいつ、麻衣のことご主人様って言ったぞおい。

 麻衣が無言でそっと頭を押さえていた。頭痛がするのだろう。可哀想に、とコナンは素直に同情した。コナンが同じ立場だったら全員蹴り飛ばしたい衝動に駆られる。おーい、サッカーしようぜ! お前らボール役な!

 そして安室は死んだ目をしていた。最早正義の怒りを通り越して安らぎすら感じさせる死の眼差しだった。どうしよう、とコナンは不安になった。トリプルフェイスの激務をこなす安室さんの精神が、変態に不意打ちを食らって永眠しそうになっている。貴重な潜入捜査官をこんな形で失うのは国の損失だ。

「アレが二段オチというやつなのか……?」

「待って安室さん。二段オチって何」

「彼女がこの前言っていたんだ。変態から助けてくれた人が変態だったこともあると」

「ウワァ」

 コナンは震えた。理屈の通じない変態の波が米花町に押し寄せてきている。蘭、気を付けろよ。世の中意外と変態が多いらしいぞ。

 ご主人様発言にショックを受けたのは初老の男も同じようだ。男は愕然とした表情で青年を睨み付けた。

「こ、この子が君のご主人様? そんなの認めないぞ。おじさんがこの子のご主人様になるんだ!」

「残念だけど、もうぼくは彼女に身も心も縛られているのさ」

 白い青年の指が自身の首元をなぞる。黒い二本の指先が頸動脈の辺りから鎖骨まで結ぶように下り、そこからさらに二手に分かれるように動く。自然と開いた手の平で心臓の辺りを押さえた青年は、白磁の頬を上気させて恍惚と笑んだ。……美形だから様になると言いたいところだが、美形っぷりを超える気持ち悪さを感じる。あの指の動きには何らかの意図を感じる気がするが、探る気が失せそうになるという探偵にあるまじき事態に陥った。

「コナン君」

 その時、不意にコナンの頭に大きな手が乗せられた。もちろん安室の手だ。彼はぽんぽんと二度ほど軽く頭を撫でると、その優しい仕草とは裏腹のどこか頑なな声色で告げた。

「推理はしなくていいからね」

 安室はコナンの視線の先に気付いていたらしい。そう言うからには安室には指の動きの意図が理解できたということであり、そもそもやはり何らかの意図があったという証左でもある。しかしこの場面で安室が止めるということは、碌でもない意図なのだろう。コナンは少しだけ悩んだが、珍しく年上の警察官の忠告に従うことにした。彼の薄青い目が淀んでいたからだ。

 いよいよ麻衣の顔が小さな両手で覆われた。

「シンプルに言うぞ。お前ら口を閉じろ」

 少女らしさを完全にかなぐり捨てた男らしい口調であった。変態二人が口を閉じたところで変態性は変わらないが、鼓膜が汚染されることは防げるかもしれない。希望になっていない希望をコナンが淡く抱いたタイミングで、白い青年が熱いため息をついた。おいやめろ。

「ご主人様の命令なら喜んで。白昼堂々縛りプレイだなんて興奮するよ……!」

 安室の両手が、コナンが知る中では過去最高に行き場を彷徨って上下している。小学生の耳を塞ぐべきかどうか迷っているのだろう。コナンは「いいよ、安室さん。ボク平気だから」と気遣う声をかけると、安室は「そうかい……?」と消え入りそうな声を上げて手を下した。真面目な大人は大変だ。

 そしてもう一方の変態男は、何故かドヤ顔で白い男を見た。

「君は分かっていないな。これは生意気な女子高生を調教するおしおきプレイのお誘いだ!」

 安室の両手が再び持ち上がりかけたのを察したコナンは、そっと彼の手を押さえた。ひどい。何だかもう、何もかも酷い。

 するとその時、またしても新しい人物が彼らに走り寄ってきた。もう変態が増えるのはやめて欲しいという切実な思いを込めてコナンがそちらに目を遣る。走って来たのは一人の青年だ。澄んだ水面に沈む若草のような不思議な色の短髪は染めているのだろうが、地毛のような艶やかさを持っている。柔和に整った顔立ちは清廉潔白そうで、ラフなパーカーを着た姿は見るからに好青年だ。見た目は変態ではない。いや、白い男も見た目はそう見えなかったが中身が酷かった。ここでさらに変態が増える可能性もなくはない。コナンが戦々恐々としながら見つめていると、パーカーの青年は少女たちにさっと視線を走らせた。それからベンチに座る彼女のすぐ傍で立ち止まり、膝を折る。細く白い手をそっと取り、上目遣いで少女を見上げる様はまるで物語の王子のようだ。園子が騒ぎそうだ、とコナンは思った。

「申し訳ありません。やはり一人にするべきではありませんでした」

「いや、勝手に気を遣ったこっちの責任だ。面倒を増やして悪い」

「それこそお気になさらず」

 青年に応じる麻衣の様子は随分と柔らかい。どうやらこちらは変態ではなかったようだ。コナンが胸を撫で下ろすと、安室も同じような雰囲気でため息をついていた。

 礼儀正しい様子で麻衣に詫びた青年はすっと立ち上がると、突然の乱入に口を挟めずにいた二人の変態に向き直った。青年は腕組みをすると、毅然とした態度できっぱりと言い放つ。

「お二方。年端も行かぬ女子(おなご)に言い寄るなど、恥を知りなさい!」

 まともだ。すごくまともだ。コナンは安室と共に感動に打ち震えた。世の中変態ばかりじゃないという当たり前の事実が身に染みる。パーカーの青年に後光が差しているように見えた。

 先ほどまで目が淀んでいた麻衣も、満面の笑顔で青年を見上げた。

「当たり前の発言がすごく、イケメン……!」

「ありがとうございます。ですが当然のことですよ」

「ここに来たのが千子だったら、変質者の玉突き事故を起こすところだった」

「……否定はできませんな……」

 まだ変態の知り合いのストックがあるのかよ! コナンは麻衣の引き出しの多さに愕然とするしかなかった。世の中変態ばかりじゃないが、いるところにはいるのであった。

 何はともあれ、この様子ならば麻衣も大丈夫だろう。どうやら変態と言えども白い方は知人らしいし、本当に警戒すべきはとりあえずは初老の男だけ。コナンと安室の出番はなさそうだ。コナンはようやく方から力を抜き、安室と共にその場を離れようとした。

 それで終わったはず、だった。



「――みぃーつけた」



 蜂蜜のような甘い声。それが唐突に背中に投げかけられ、コナンばかりか安室までが弾かれるように振り向いた。

「お兄さんたち、何見てるの?」

 コナンたちの背後に立っていたのは、腰まで届く長い金髪と空のような青い目をした少女だった。ふんわりとしたパフスリーブのブラウスに、イチゴミルクの色のミニスカート。たっぷりとしたフリルからすらりと伸びる白い脚は二―ソックスに包まれている。女の子は砂糖とスパイス、それと素敵な何かでできている。マザーグースの詩を思い出すような少女だ。ここまで少女めいた格好の女性が知り合いにいないコナンは、自分の母親が喜びそうだなと思いながら目を瞬かせた。彼女の存在に全く気付かなかったことに警戒した安室が、その表情を瞬時に隠したことに気付いているのかいないのか、少女はじと目でコナンと安室を見つめた。

「もしかして、ストーカーさんかなぁ?」

「ち、違うよ! ボクたち、あのお姉さんのことを心配して様子を見てたんだ!」

 コナンが慌てて否定すると、少女は「もしかして」と小首を傾げて見せた。あざとくて可愛らしい仕草だ。中学生と高校生の過渡期くらいの年頃の彼女によく合っている。

「麻衣ちゃんのこと?」

「麻衣お姉さんと知り合いなの?」

「そうだよ! 君たちもそうなんだね」

 少女はぱっと表情を明るくした。コロコロと変わる表情はまるで気まぐれな子猫のようだ。「麻衣ちゃんのこと、心配してくれたんだね」と彼女は嬉しそうに笑う。

「麻衣ちゃんは僕たちが守るから大丈夫だよ」

「それは頼もしい」

 えっへん、とでも言いたげに腕組みをして胸を張って見せる少女に、安室が苦笑した。

「お嬢さんもとても魅力的ですから、気を付けてくださいね」

 あの初老の男が言うと変態的な言葉も、安室が口にすると当然のように似合っている。それに妙に釈然としない気分になりながら、コナンも続けて口を開いた。

「お姉さんも襲われないように気を付けてね」

 少女は安室とコナンの言葉に、大輪の花のような笑顔を咲かせた。

「ありがとう! でも二人とも、勘違いしてるよ?」

「勘違い?」

 何のことか分からずに首を傾げるコナンに、少女はふと笑顔の質を変えた。

「だって僕」

 そこで一度言葉を切ると、少女はその場でくるりと横に回転する。少女の動きに合わせてスカートがふわりと浮き上がり、白いドロワーズがちらりと見えた。見てはいけないものを見てしまった気分になり、コナンは少し頬を赤らめる。そんなコナンと平然としている安室に対し、少女は立てた人差し指の先を唇に当ててウインクした。

「――オトコノコ、だもん」

 コナンは硬直した。恐らく安室も固まった。二人の探偵に衝撃を置き土産した少女は颯爽とした足取りで、いつの間にかベンチから離れた麻衣を追いかけて消えた。なんだあれ。なんだあれ。

「……あの人の知り合い、濃くないか?」

「濃いね」

 素がはみ出るコナンに安室が頷く。今時の女子高生の交友関係に大きな謎が生まれた瞬間だった。



+ + +



ゾル兄「今時の女子高生じゃねーから」

本日の刀剣男士:亀甲貞宗・一期一振・乱藤四郎

スチール缶を握り潰す刀剣男士:刀剣男士ならみんなできる。可憐な乱ちゃんも普通にできる。恐らく公安ゴリラもできる。降谷零が刀剣男士の二次創作があるらしいのでそのくらい余裕余裕。

亀甲貞宗の指の動き:服の上から例の赤いアレをなぞっているだけです。コナン君は怪しんだだけでやめてますが、安室さんはしっかり気づいてしまって「うわ……」となりました。あいつガチのドMじゃねーか。お巡りさんは小学生に緊縛プレイとか言って欲しくない。

乱ちゃんはコナン君たちの監視です。誰かが物陰から主を見ているなと思ったら探偵だった。ゾル兄さん本丸の最古参短刀なので練度すごい。様子を見てたら純粋に主を心配しているのが分かったので姿を現しただけです。なおゾル兄さんもばっちり気付いてますが、女子高生が気づいたらおかしいので気付かない振り。

寄せられた拍手コメントではもっと亀甲さんが頑張ってしまったのですが、そこまで書けませんでした。すまぬ。

没セリフ:石切丸パパ「そこの君、不浄のものをしまってくれないかい? 彼女の目に毒だ」



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