更新履歴・日記



女子高生の楽しい人質ライフ
萌え 2018/05/14 22:09


・麻衣兄さん視点
・クトゥルフ三人組×コナン
・スーパーに強盗が現れ人質に取られる兄さんの話
・唐突にぶち込まれる変態未遂の童貞要素
・兄さんは碌でもない相手に限ってモテる
・親友の名前は***
・中途半端に終わる





 黄金の蜂蜜酒というアイテムがクトゥルフ神話の中には登場する。ビヤーキーという神話生物の召喚に必要とされるが、それ以外にも肉体から精神を分離させてテレパシーや予知夢のようなものを見られるようにしたり、知覚が非常に鋭敏になったりする効果がある。そして最も注目すべき効果は、宇宙の真空状態においても、肉体と精神が静止状態になるため生き残れるようになるのだ(ビヤーキーという俗名星間タクシーに乗るための必須効果でもある)。例えば、黄金の蜂蜜酒を飲めば一時的に硫酸風呂に入浴することも可能となるスゲーやつである。だが神格に丸呑みにされたら辞世の句を詠め。なお、錠剤にしても効果が持続するので便利だ。便利だが、個人の力で錠剤にするのは結構難しいと言っておく。現実では粉末や結晶が精々だ。

 実はこれ、ご家庭でも気軽に作成できるアイテムでもある。五種類の異なった材料を使い、最低でも一週間以上の醸造期間を必要とし、仕上げにたっぷりの魔力を注ぐことで完成する酒だ。たっぷりの魔力というのは、全快状態の俺がすっからかんになるまで注いでもまだ少々足りない程度の量だ。分割して注いでも問題ないので、醸造期間を除けば俺一人でも最短二日、複数人なら一日でどうにかなる。そのため、探索グッズにおける常備薬的なものとしてストックするようにしている。

 通常の蜂蜜酒の材料に加え、ちょっとした魔術的スパイスを調達するため、俺は***とリドルと一緒にナチュラル嗜好スーパーを訪れた。何故通常のスーパーでないのかと問われれば、単純に品揃えの問題である。それと、半値で叩き売られているものよりはちょっとばかりお高めの素材の方が効き目がいいかもしれない、という気持ちの問題だ。なお***は荷物持ち、リドルは財布である。両手にイケメンを侍らせる女子高生の図は微妙だが、リドルが荷物持ちをするはずもなく、なおかつ色々と買い足すと最終的にかなりの重量になるので、細腕と化した俺には文字通り荷が重い。仕方がなかった。

 名状し難いアイテムの材料を買うついでに、夕飯の材料も(他人の金で)買ってやろう。どうやってリドルに牛肉を要求しようか、と邪なことを考えていたのが悪かったのだろうか。いや、悪いのは俺の思考ではなく犯罪率が高い世界のせいだろう。蜂蜜コーナーで俺が大瓶を抱えたところで、スーパーに強盗が押し入ったらしい。何でだよ。銀行に行けよ。リドルが咄嗟の判断で職員用の通用口に俺たちを誘導しようとしたが、そこからも犯人グループ数人が登場したため諦めざるを得なかった。計画的かよ。しかも成り行きで大瓶を抱えたままで目立ったせいか、はたまた見た目が無害で抵抗できなさそうな少女だったからか、俺が犯人グループ自ら引き摺る人質にご指名された。チェンジでお願いします。***があからさまに反抗的な目で犯人グループを睨み付けようとしたため、察したリドルが素早く彼を抑えてくれたのがせめてもの救いである。とりあえず俺も大人しくしていよう。

 手放しそびれた蜂蜜の大瓶が何とも間抜けだ。俺は瓶を抱えたまま、背後から首と腰を太い腕で拘束される。俺を抑えているのとは別の男が、横から俺のこめかみに銃口を押し付けた。ゴリッと音が鳴った気がする。禿げるからもっと優し目にして欲しい。こちとら、銃を向けられることが初めてでなければ、もっとやべーやつに追い回されることもあった身である。命の危機があるのは変わらないが、怯え損ねてしまったような気配を感じた。素直に可哀想に思われる女子高生プレイができなくてすまん。だが慌てふためき過ぎて殴られるよりはマシだろう。ふと鼻についた臭いが脳の奥で引っかかりつつも、俺は大人しく腕に収まったまま眼球だけを動かして周囲を窺った。

(アーアーお客様ー! お客様の中に警察官や探偵はいらっしゃいませ……いたわー……)

 見つけたのに気分は妙に落ちた。探してみれば、物陰に隠れてこちらを窺う小学生探偵がいた。蘭ねーちゃんにお使い頼まれたのかな? ついでにその隣に公安警察もいた。こっちはポアロの買い出しかな? なんでだよ。お前ら、お買い物はあと一時間後とかにしてくれよ。そうしてくれたら多分、俺は人質にならなかった。だが手遅れだ。一歩間違えば俺の脳みそがお買い上げされる、あの世に。ここまで来たらいっそのことデート中の高木刑事とか佐藤刑事がいないだろうかと探してみたが、残念ながら店内にはいなさそうだった。いるとしたら店外だろうか。パトカーが集まり出しているようなので。そういえば刑事二人は付き合っているという認識でよかっただろうか。フラグが立っていたのは知っているが、いかんせんうろ覚えであった。多分そのうち結婚する(適当)。さらに付け加え、残念ながら優秀な狙撃手(スナイパー)な工藤家居候もいなかった。どうしてここにあのハイスペックFBIがいないんだよ! 赤井絶対殺すマンがいるから!?

 犬も歩けば棒に当たるように、小学生探偵が出歩けば事件にぶち当たる。これはそのぶち当たった事件のうちの一つなのだろう。運がない。実に運がないし間が悪い。俺が殺された哀れな被害者にならないことを切に願う。

 ……少年探偵とお巡りさんコンビと思いっきり目が合ったのだが、すーっと逸らしたのは正解だろうか。彼らは目立ちたくないだろうから、あまり注視しない方が良いとは思う。しかし残念ながら彼らとは顔見知りの間柄ではあるので、俺の反応のおかしさには気付いているだろう。例えば落ち着き過ぎている貫禄の人質っぷりとか。コナン大明神様、サッカーボールをシュートするときは誤って俺に当たらないようにお願いします。え? 主人公様のコントロール力を舐めるな? そうですねすみません。

 犯人グループは店外から直視されるのを避けるためか、入口から遠い場所にある精肉・鮮魚コーナー辺りのスペースに客と従業員を集めていた。ちらりと見えた入口は什器等を用いてバリケードが作られていた。要求を聞く限りでは金目当てらしいが、この中規模スーパーの資金力を期待し過ぎではなかろうか。だから銀行にしておけよ。ともかく俺はそのコーナーの従業員用出入口の前で取っ捕まっていた。

 なるべく犯人グループに悟られないように、ちらりちらりと知人の様子を窺う。いつの間にかコナン君と安室さんの位置が変わっていた。コナン君が***とリドルの背後にいる。彼のことだから、***たちに何か話しているのかもしれない。この状況下でその行動力は半端ないなと感心する。

(……う)

 不意に安室さんと目が合う。気まずい。何か企んでいそうな眼光の鋭さは頼もしいが居心地が悪い。その時、頭のから「どこをみている?」というくぐもった声が振ってきたため、俺は咄嗟に手の力を抜いた。

「いって!」

 我ながら間抜けな声を上げる。蜂蜜の大瓶が俺の足の上に直撃したからだ。ゴトンと派手な音が鳴り、視線が一気に俺に集中する。「何してんだ」と隣の男にまた銃口でこめかみを抉られたので、俺は「すみません、手が滑りました」とテンプレな回答をして誤魔化した。その間に安室さんが再び場所を移動して完全に姿を消し、コナン君や***たちも位置を変えていた。恐ろしく手際がいいですね皆さん。

 瓶がすっぽ抜けて手持ち無沙汰になった俺の体を、背後の男がしっかりと腕で捕まえる。首に回っていた腕が肩の辺りまで下り、腰に回された手の指が脇腹に沈む。他人に掴まれてようやく、俺は自分の今の体の柔らかさと頼りなさを実感した。腹筋も上腕二頭筋も家出した体は、背中に当たる感触から結構大柄らしい男の腕の中にすっぽり収まっていた。こりゃ逃げられないな。掴む瓶をなくした手で男の太い腕を握ると、背中に触れている体がピクリと反応したのが分かった。何だろうか。

「な、なあ……」

 頭の上で、ぼそぼそと男が何かを言っている。隣の男は呆れたようにため息をつくと、顎をしゃくって俺のこめかみから銃口を外した。何が起きたと思っていると、いきなり俺の足が宙に浮いた。

「え?」

 思わず呆けた声が出る。視界の端で***がまたヤバい目をしたところを、リドルがすかさず首根っこを掴んで黙らせていた。爪先が付いたりつかなかったり、という状態で俺の体は引き摺られ、背後にあった従業員用の出入り口の中に吸い込まれた。

 通路の両側にある精肉加工室・鮮魚加工室を素通りし、もう一つドアを潜る。そこは広めの倉庫で、来た通路の反対側の壁には恐らく外へ通じるシャッターがあった。倉庫の片隅には部屋があり、俺はそこに連れていかれた。どうやら従業員の控室の一部らしく、簡素なテーブルとイスやテレビが置いてある。そこで俺はようやく下され、パイプ椅子に座らされた。

 正面から見た男はやはり大柄だった。***よりも縦横でかく、圧迫感がある。全身黒尽くめの格好で、頭部は目出し帽で覆われていて顔が分からない。しかし、俺の目の前を陣取ってパイプ椅子に座った彼は、図体に見合わないどこか小心そうな声で俺に話しかけてきた。年齢不詳だが、声の感じだと意外と若いのかもしれない。

「き、きみ、すごく、大人しいんだね」

(オメー、人質相手に何言ってんだ)

 大人しくして当然だろうが、と馬鹿正直に答えるわけにもいかず、曖昧な苦笑いで濁す。それをどう受け取ったのか、男の声色が何かの期待で上擦った。

「おれ、女の子にこわがられないの、はじめてで」

(……んんん?)

「きみなら、もしかして……」

 話の方向性に疑問を覚えた時、大男が自分の顔を覆う目出し帽を掴んだ。おいおいいいのかよ、と思っている間に、大男はあっさりとそれを脱いでしまった。そして――黒い目出し帽の中から現れた顔。まだ人間らしさが残ってはいるものの、魚のようなのっぺりとした独特の面貌には覚えがあった。俺の脳から冒涜的な知識が強制的に引っ張り出される。

(す……素敵なインスマス面ですね……)

 俺は内心で白目を剥き、外面で菩薩の如き微笑(アルカイックスマイル)を浮かべるしかなかった。俺を拘束していた大柄な男はディープ・ワン、すなわち深きものと呼ばれる神話生物であった。それも恐らく深きものとの混血で、人ならざる者に変異しつつある状態の。ここ、海沿いじゃないし千葉県某所でもないのだが。道理で磯っぽい生魚の臭いがするわけである。あとミサワではないが目が離れ過ぎている。目出し帽を被っていた方がAPP(容貌)値が高い辺り、業が深い。

 唐突にぶち込まれた神話要素への反応に困った俺が固まっていると、黒い手袋をした分厚く大きな両手で右手を包み込まれた。

「おれの顔、見てもこわがらないの?」

 人型だからセーフセーフとは言わないが、この程度のお顔は余裕であった。しかも態度が悪意的ではないのでまだ落ち着いていられる。通常ならSANチェック案件ではあるが。

 ……などと落ち着き払っていたのが勘違いの元だったらしい。目の前の彼には、俺が修羅場を潜った図太い探索者ではなく、誰でも分け隔てなく接するヒロイン()に映ったようだ。ぎょろりとした目を薄っすらと涙で湿らせた彼は、感極まった様子でため息をついた。

「こんなところに、理想の人が……! 強盗、してよかった!」

(馬鹿野郎、強盗は合コンじゃねーんだよ!!)

 語感が似てなくもないが、全くの別物である。幹事は主犯か? 叫びたくなるのを堪え、下唇を噛む。急募、ツッコミ要員。

「きみ、なまえ、なんていうの? 彼氏はいる?」

「いや……その……」

(なんで俺は深きものにナンパされてるの? 超展開すぎませんかねぇ?)

 俺は片足を無心の境地に突っ込みつつも、曖昧な引き攣り笑いを漏らしつつ話を逸らそうとした。今日は快晴で絶好の強盗日和ですねっていや雨天の方が足跡やタイヤ痕、視界の悪さ的に強盗に向いてるのか? いや逆だったか? と考えてさすがにその話題はないなと考え直す。さすがの俺でも野郎からナンパされた時のかわし方は知らないし経験がない。とりあえず目の前で魚顔の大男がもじもじするのはやめてもらえないだろうか。視界の暴力である。

(つーか顔が近い! 近すぎ!)

 見るからに全身から漂うコミュ障故に距離感の取り方が致命的に分からないのか、おどおどもじもじしながらも俺の方にグイグイ体を寄せてくるので思わずのけぞる。別の世界線で妹だった麻衣のシャイニーな可愛さは認めるが、初対面の魚面の嫁にやる気はないし、俺も嫁になる気はない。お触りダメ絶対。お巡りさんに別件逮捕させるぞオイ。

「かわいい……」

(なんで息荒げてんだよ!?)

 何と言うことだ。犯人の一人の童貞力がカンストしている。涙が出そうだ。これコナン君補正じゃないわ。俺の不運補正だ。真実を照らし出す少年探偵にそんなパッシブスキルはない。あってたまるか。出先で遭遇した強盗の一人が童貞の神話生物とかどんな状況だ。こんな状況だよ!

 寄せられた体を避けた拍子にパイプ椅子からずり落ち、床に尻餅をついたままズリズリと後ずさる。下校途中にスーパーに寄ったため、履いたままのスカートが地味に捲れるのが凄まじく嫌だ。スパッツを装備していても嫌だ。男の視線が顔と胸と太腿を行き来しているのが分かる。非常に残念ながら同じ男として視線の動きはよく分かる。分かるがお前、もうちょっと隠せよ!

「あの、距離が近すぎるので離れてもらえませんかね……? 会話をするのに適切な距離が欲しいというか」

「だって、にげるから」

「パーソナルスペースは大事ですよね」

「わからない」

 あかん。童貞拗らせて暴走した野郎には言い包めも説得も振るわない。オーケー落ち着け、クールダウン。まずは会話のキャッチボールをしよう、全てはそれからだ。

「まって、にげないで。何も、しないから……」

(嘘つけぇぇぇぇぇ!! お前の何もしないは信用できない!)

 現にこうして迫られているのはどう説明するつもりだろうか。ボールを投げたら捨てられた気分である。

 ――その時。カチカチ、と何かの音がした。次いで大男の後頭部でガツンとイイ感じの打撃音が鳴る。一瞬の間をおいて大男が頭を押さえてうずくまったので、俺は慌てて立ち上がって彼から離れた。

「麻衣お姉さん、大丈夫!? こっちに来て!」

 部屋の入口に立っていたのは小柄な少年――江戸川コナン大明神様だった。どうやらキック力増強シューズのダイヤルを回し、倉庫にあった冷凍の食肉を蹴ったらしい。カチコチに凍った凶器は見事、大男の後頭部にヒットして隙を作りだしたと。神かよ。主人公様だったわ。小さな声で叫ぶコナン君に、俺は迷わず駆け寄った。

「コナン君、どうやってここに?」

 俺は小学生に腕を引かれるまま走り、倉庫内の荷物の陰に身を隠す。コナン君は俺を奥の方へ押しやりながら、「ボク、体が小さいから隠れながら来たんだ」と言った。君の隠密(スニーク)スキルは素晴らしいね。まるで某ホラーゲームのしほうでんしゅんかい殿である。お陰で俺の貞操は守られた。しばらくは彼が居候する毛利家に足を向けて眠れない。

「まさか一人で?」

「うん。でも安室の兄ちゃんたちも動いてる」

「あの私立探偵のお兄さんか。……ん?“たち”?」

 微妙な表現に首を傾げると、コナン君は荷物の陰から様子をちらちらと窺いながら告げた。

「麻衣お姉さんと一緒にいたお兄さんたちも協力してくれてるんだ」

「あー……なるほど」

 俺もコナンの頭の上からそっと倉庫内を窺う。すると、後頭部を押さえながら大男がのっそりと立ち上がるのが見えた。どうやら俺とコナン君を探しているらしい。ふらつく様子もないので、大したダメージはないのかもしれない。脳震盪でも起こしてくれないかなと期待したが無駄だった。タフ過ぎないか。俺と同じことを考えたのか、コナン君が顔を顰めるのが見えた。不幸中の幸いは今のところ、大男が誰かを呼びに行く気配がないことだ。俺は頭を引っ込めながら、自分の顎に手を遣った。

「あいつ、どうにかして自首するように説得できないかな」

「……お姉さん、本気?」

 気付くと、コナン君が不可解そうな顔をして俺を見上げていた。

「お姉さん、あいつに襲われかけてたんだよ。説得なんて無謀だ」

「うーん。でも童貞拗らせてるだけで、頑張れば話が通じそうな気配もするんだよな」

「ど……」

 俺の隠す気のない発言に、コナン君がぎょっとして頬を薄っすらと赤らめる。君、中身は高校生だよな? あ、同年代の女の子(見た目)が発言したのが問題なのか。それに彼は蘭姉ちゃん一筋だから以下略だろうし。発言についてはまあ、諦めて欲しい。君の中身がイケメン高校生であるように、麻衣少女の中身はフツメン男子大学生である。発言はそれなりになるものだ。

 実際のところ、童貞云々要素もあるが、身体的特徴に由来する精神の不安定さも説得できそうな要素として挙げられる。彼の発言から、彼が自分の容姿に酷く劣等感を持っていることが分かった。SANチェックもののインスマス面だから当然だろう。深きもの本来の姿より人間らしさがある点で彼は混血児だろうし、深きものとの混血児は徐々に容貌が変わり、最終的には完全に半魚人のような悍ましい姿になってしまうのは遺伝的に定められた運命だ。この進行を止めて人間として生活させるのは、付け焼刃でない本物の魔術師にだって不可能に等しい。彼はこれからもさらに変貌を続け、いずれ完全に人前に出られない姿になるだろう。だから彼はそうなる前に、自分の身の振り方を考えなければならない。人目を避けつつ人間社会で生きるか、同じ立場のコミュニティの中で生きるか、――海へ還るか。

 少し見ただけだが、彼はそれが出来ていない。自分の変異に嘆くばかりで、そこまで考える余裕がない。その結果、刹那的な思考に走り今回の犯行に加担したのかもしれない。彼の今後の人生を決めようなどと大それたことは考えないが、指針のいくつかを提示するだけでも彼の苦しみを軽減できるのではないだろうか。俺はそう思うのだ。もちろん、こんな事情をコナン君には話せないが。

(本当は話せないけど、説得するならコナン君の前で話さないといけないよなぁ)

 話そうものなら完全に怪しまれる。それが組織云々の疑心に直結するとは思えないが、妙なカルト宗教の関係者と疑われるとか、生粋の探偵気質故の好奇心を刺激し、コナン君を彼の領域(テリトリー)ではない神話の世界に引き寄せてしまうかもしれない。それは良くない。ただでさえ事件誘因体質の彼をこちら側に引っ張り込むのは危険すぎる。黒の組織どころではなくなるし、早死にする原因になりかねない。俺は彼に根掘り葉掘り探られるのも困るが、それ以上に彼を必要のない世界に呼び寄せることが嫌だ。

 真実はいつも一つだけれど、暴かれてはならない真実も世の中にはあるのだ。



+ + +



頭を冷やせ(物理)攻撃の効果はいまひとつのようだ。

コナン君のシュートを後頭部に喰らっておいて普通に動いている辺り、耐久値が高い深きものとの混血児です。時計型麻酔銃でワンチャンありますが、麻酔の強さによってはPOT抵抗ロールで相手が勝つ可能性もあると思います。あれに勝ったのはジンニキくらいじゃなかったっけ?(銃で腕撃ってましたが)



prev | next


×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -