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真実は視えている
萌え 2018/05/02 22:09


・親友視点
・クトゥルフ三人組がコナン世界に突っ込まれたら
・事件が起こる→偶然居合わせる三人組→聞き込みコナン君の「ねぇねぇ」攻撃でリドルが静かにキレた模様
・リドルは子どもが好きではないらしい+詮索が嫌い
・安室さんはいるけど喋らない
・親友の名前は***、兄さんの名前は×××
・親友に悪気はないけどはっきり物を言いすぎる話




 男に興味はないが、トム・リドルの顔が恐ろしく整っていることは分かる。その顔が冷たい微笑みを浮かべると、相手は背筋を凍り付かせたように慄くことが多いことも知っている。俺自身はそうなったことはないが、会ったばかりの頃に何度か見たことがある酷薄な笑みは結構な迫力があったことを覚えている。

 そのリドルが周囲を丸め込み、あくまでも自然な流れで小学生の行動を邪魔したことに気付いた。いや、正確に言うと、それに気づいた×××が俺に教えてくれた。小学生に探られるのが非常に煩わしく、自分から遠ざけたかったらしい。×××はさらに「あいつの機嫌、クッソ悪いから気を付けろ」と付け加えた。リドルの機嫌が良かろうが悪かろうが俺への当たりは変わらな……くもないが、俺は大して気にしない。気にはしないが、そっとしておいた方がいいということだろう。先程遠目で見たリドルの顔は、妙に迫力のある微笑みだったので。

 妨害された小学生男子は俺でも知っている。国民的アニメとして有名な名探偵コナン、その主人公の江戸川コナンだ。つまりはまた異世界のキャラクターなのだが、最近の俺は目の前で繰り広げられる光景が現実であると受け入れられている。理由はもちろん、傍に親友という現代日本に生きる俺の実存を示す人間がいてくれるからだが、それは今はどうでもいいだろう。

 コナンは小学生だからという当たり前すぎる理由を盾に、周りの大人からやんわりと、しかし断固として聞き込み活動を取り上げられて困り果てていた。子どもは安全な場所で大人しくしていなさい、ということだ。全く持ってその通りだが、俺は数々の事件がコナンによって真相を明かされたことを知っている。コナンの邪魔をして大丈夫だろうかと考えたが、×××がこっそり「安室さんも大概ハイスペックだから大丈夫」と教えてくれた。どうして安室だと大丈夫なのか分からないのだが、×××がそう言うのならそうなのだろう。俺には物腰が柔らかいサーファーやってそうな奴としか見えないのだが。

 内実はともかく、俺の目の前で困り果てる小学生は何とも哀れだった。俺はほんの少し考えてから彼に声をかけた。

「気にすんな」

 そう告げ、気安くコナンの頭に手を置く。咄嗟に上を向いたコナンは、あどけない顔を情けなくしていた。×××なら助けたくなりそうな表情は素なのか演技なのか。もし後者だとすれば、小さな頭からは想像もつかない回転の速さに舌を巻く思いだ。ともかく中身は高校生なのだから、大して気遣いはいらないだろうと考え、はっきり教えてやることにした。

「リドルはお前のことが嫌いなだけだから」

「……へ?」

 コナンが眼鏡の奥にある大きな目を丸くした。隣で安室も瞠目している。何かおかしなことを言っただろうか。せっかくだから本当のことを教えて、変に干渉しないようにしてやろうと思っただけだ。

「あの、***さん、嫌いって……?」

「ああ。あいつ、間違いなくお前のこと嫌いだ」

「ど、どうして?」

「詮索する奴が嫌いだから」

 素直に答えると、コナンだけでなく安室からも微妙な笑みを頂いた。引き攣るような、曖昧に誤魔化すような。たまに周囲からもらうことがある顔だ。すると、近くで話を聞いていた×××が苦笑しながらこちらにやって来た。

「***お前……ストレート過ぎるって」

 リドルの作り物とは違い、本当の意味で物腰が柔らかい×××が俺の言葉を引き継ぐようだ。彼は困ったように笑いながら膝を曲げ、コナンと視線の高さを合わせた。

「リドルってさ、イケメンな上に頭もいいんだ。そのせいで昔から擦り寄ってくる奴が多かったらしくて、それで詮索されることが人一倍嫌いみたいなんだよ」

「へえ……」

 ようやくコナンの表情が納得したものに変わる。どうやら、俺の言い方が悪かったらしい。

 ×××は子ども好きしそうな人懐っこい笑みを浮かべてコナンを見つめた。この顔をすると絆される奴がそこそこいるので、それはすごい特技だなと思う。以前は自然と出ていたその表情は、どうやら異世界に何度も放り込まれた結果、自力で作ることもできるようになったのは良くないことかもしれない。本当は、そんな苦労をしないで生きていけるはずなのに。×××も、俺も。リドルはほったらかしても勝手に何かしているのでどうでもいい。

「色々気になることはあるとは思うけどさ、どうしても必要なとき以外はそっとしておいてくれないか? でないとお互いに嫌な思いをするだけだから」

 既にコナンがものすごく困っているのだが、そこは突っ込まない方がいいのだろう。手遅れという奴だ。リドルを怒らせると実害が面倒なのだと改めて学んだ。……俺にとって怒らせたら一番困る相手は×××だと思うが。普段怒らない奴が怒ると、とても、怖い。

「俺が知ってて話せることなら代わりに話すから。な?」

「ボクに話してもリドルさん、怒らない?」

 リドルを横目で窺いながら尋ねるコナンに、×××はにかっとした。

「大丈夫。怒らない範囲で話すからさ」

 俺ならともかく、×××ならできることだろう。早速始まった小学生とフリーターの間の事情聴取をぼんやりと聞きながら、俺は早く家に帰りたいと考えた。つい、何でもないような顔で女性と会話するリドルに目を遣り、すぐに視線を逸らす。ああ、殺人現場がすぐ隣にある場所など、長居したくない。

 ――幽霊が見える俺には、誰が犯人なのかなど一目瞭然なのだから。



+ + +



実のところ、リドルは兄さんが勝手にフォローに回ることまで計算して嫌がらせしていたりする。
リドル「ちょっとあのクソ眼鏡を思い出したからイラっとしてつい」
あのクソ眼鏡とはもちろん英雄様である。

兄さんがフォローする→リドルに苦労してるんだな認定→この人いい人じゃん→無意識に兄さんへの警戒が緩む→リドルへの直接的な詮索が減る&いい人フィルターが強化されて兄さんの秘密がバレにくくなる 感じで。

リドル的に一番バレちゃいかん秘密は兄さんの魔術なので、バレないように撒き餌はします。魔術師兄さんの場合、頭の中には冗談抜きで億単位の金が動くレベルの知識が詰まってる。

なお今回の殺人犯:リドルと話している女性


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