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審神者ゾル兄さん本丸に見習いが来た系の話
萌え 2017/10/23 00:27


・ゾル兄さん本丸に見習い審神者少年少女が来た設定
・見習い側視点
・こんなことがありそう的な短すぎる文章
・ゾル兄さんと見習いの初対面





「あなたはどんな刀剣の付喪神なんですか?」

 彼女は好奇心を込めて尋ねた。すると、青年は困ったような表情になる。一方、その反応を見た少年はわくわくと顔を輝かせた。

「もしかして、新しく顕現されたばかりの刀剣男士!? それじゃあ、政府もまだ内緒にしてるよな!」

「いや……」

 しかし、青年は苦笑して首を横に振る。

「残念ながら、俺は刀剣男士じゃない。審神者だよ」

「――は?」

 奇しくも、少年少女の声が被る。

「俺はこの本丸の主で、審神者名を柊という。しばらくよろしく頼むよ」

 一瞬の空白の後、二人の人間の叫び声が本丸に響き渡った。



+ + +



・政府職員が見習い審神者の受け入れ頼もうとしたらちょっと困った話
・ゾル兄さん本丸の面倒な設定は気にしない方向で
・ぴくしぶ神様の虎徹JKちゃんネタあり





「おかしいですね」

「はあ」

 政府職員の男性の端的な言葉に、俺は生返事をする。それ以外にどうしろというのか。

「おかしいです。というより、こんなはずではなかったんです」

「そうですか」

「そうです」

 彼は深々と、それはもう深々とため息をついた。

「柊様。あなたはそこそこ目立っています」

 自分の審神者名にあまり馴染みはないので、少しだけ反応が遅れる。だが言いたいことはよく伝わったので、俺は神妙な面持ちで頷いて見せた。

「……薄々気づいてはいました」

「ネット上では刀剣男士のような審神者だとか、三条様だとか、2.5次元審神者だと言われていますよ。ご存知ですか?」

 2.5次元と言われるのは仕方がないと思う。実際、ハンター世界は(俺にとって)二次元である。だが話題にされると言っても、人気ユーチューバー並みの知名度では全くない。知る人ぞ知るというか、そんなレベルだ。寺生まれのTさんくらいの知名度だろうか。つまりはネタっぽい。多分。ちなみに俺自身は、寺生まれのTさん並みのハイパー霊能者ではない。全くない。なさ過ぎて初期刀に散々迷惑をかけた。

「三条様と呼ばれているのは知っていました」

 審神者スレで騒いでいた少女をリアルタイムで弄り回したし、と内心で付け加える。あれはちょっと楽しかった。だが言葉にすると犯罪臭いので黙っておく。女の子いじめるの楽しいとかどこの変態だ。

「いやあ、俺ってばイケメンで困っちゃいますね」

「困ってませんよね」

「言ってみたかったんですよね、こういうセリフ。イケメンのコスプレみたいな」

「何言ってんですかあなた」

 実際、俺の意識のどこかにそんな認識があるのは間違いない。なにせ、“元々の俺”はフツメン代表格だったのだ。それが望まぬ異世界転生でイケメンになったからといって、心までイケメンに転生できるほど簡単ではない。今の顔には慣れたが、それでも恐らく一生付きまとう感覚だろう。

「あなたが三条派の刀剣男士を演練に連れてこなかっただけで、“三条様が浮気した”だの、“三日月宗近がフラれた”だの巷のネットで話題になるんですよ」

「その話題の仕方には悪意が見えるんですが」

 他所は知らないが、我が本丸の三日月宗近はかなりハートが強い。普段はおっとりしているように見えるが、興味があればグイグイ来るし、なければあっさりしている。今のところそういう話は聞いていないが、場合によっては自分から本丸を離れることもあるのではないかと思うくらいだ。というか、いくつかの本丸の栄枯盛衰を見てきた刀剣男士だ。フラれただのなんだのでグラつくようなメンタルではないだろう。いや、そもそも俺はフッた覚えがないし、そうするだけの間柄でもないが。だが、同じく三条派の小狐丸に関しては除外する。奴の構って欲しい攻撃を受け流した結果、つい投げ飛ばしてしまったのは忘れていない。正直、すまんかった。

「ともかく、あなたの知名度が予想外にあるので、あなたの本丸に見習いとして行きたがる審神者が少なくないんです」

「来てくれても大したことは教えられませんが」

 特に、霊力を使う仕事なんてダメダメなので。むしろその辺りに関しては、見習いの方が俺より有能だろう。こんのすけから報告を受けているので知らないわけではない政府職員の男は、しかし首を横に振った。

「大切なのは、これが内戦であるという認識です。柊様にはその認識がきちんとおありになる」

 ……まあ、二次元張りのイケメンを従えて、彼らを過去の世界に送り込んで戦うなんて現実離れしている。技術が発達すればするほど、戦争は命を奪う感覚を遠ざけて数字と向き合うようなものになっていくが、それでもこれはれっきとした内戦だ。審神者として生きていくうえで、それを忘れてはならないだろう。

「それはそうでしょうね」

 否定する部分がないので頷くと、政府職員の男は「ですから」と話を続けた。

「認識の薄い者が悲惨なことにならないよう、お力添えをいただきたいのです。……あ、ただの見習いでない者もお相手いただけたらという気持ちもありますが」

「おい後半」

 思わず突っ込んだ俺は悪くない。ただの見習いでないって、それ審神者に紛れ込んだ敵じゃないですかやだー!



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