更新履歴・日記



ジョジョ兄さんと親友エリナの災難
萌え 2017/05/17 00:27


(親友がアマゾネス)

・ジョジョ一部
・ジョジョテロの方のネタ含まれる
・BLではない
・親友→エリナ
・兄さん→ジョジョ
・リドル→SPW(未登場)
・例のズギュウウウンシーンをジョジョ兄さんがうっかり目撃した場合
・親友の名前が***
・BLではない(二回目)





 エリナ・ペンドルトンは美少女である。毛先が緩やかに波打つ金髪は美しく、長いまつ毛に縁どられた大きな碧眼は宝石のようだ。本来ならば、それに優しさと気高さが加わっていたのだろう。恐らくは。

 しかし今はその美少女の体に俺の親友の魂がぶち込まれている。俺の親友が優しくないとか気高くないとは言わないが、女性らしさは全くない。喋るときは喋るが、黙るときはひたすら黙る。普段からにこにこしていることなどなく、基本的に無表情。……本人としては何も考えていないだけだが、周りからは不機嫌だとか怖いだとか勘違いされるタイプだ。そんな男が美少女の体を持ったらどういう事態になるか。結果は俺の目の前にあった。

 服は俺から借りた男物のズボンと白いシャツ。長い髪はさすがにエリナの両親を気にしたのか切りはしなかったが、うなじで無造作に結っている。そして何も考えていないだけの無表情を標準装備。率直に言えば益荒男(ますらお)、控えめに言っても戦闘女族(アマゾネス)のオーラが全開だった。原型どこいった。見た目だけなら男装美少女なので宝塚の男役(お耽美ではない)に思えなくもないが、漂うオーラがそんな煌びやかなものではないのである。普段ならともかく、機嫌の悪い彼に睨まれたら八つ裂きにされそうな気分になれる。だから原型どこいった。

 ――ともかくだ。そんな美少女戦士(ただし月に代わっておしおきはしない)の胸倉を掴んだディオが、彼(女)の唇を奪っていたのだ。うっかり目撃してしまった俺が戦慄せざるを得ないのは仕方がないだろう。

(うわあ)

 感想はそれしかない。それしか言いようがなかった。***の目は見開かれ、茫然としているように見える。さすがに男にキスされるなんて想定外だったのだろう。俺も想定していなかった。

 俺は必死にジョジョの奇妙な冒険第一部の記憶を掘り起こす。掘り起こすとは言っても、俺に備わっているのはさらりと見たアニメ知識やネットでよく使われるネタ知識程度だ。大したことは分からない。ただ、ふと思い出したのがディオの「ズギュウウウン」ネタである。確かディオはジョジョを孤立させようとして、当時ジョジョと仲が良かったエリナをNTR、もとい略奪しようとしていたような気がする。言い換えたが同じ意味だった。……あれ。俺、そこまでディオに孤立させられるような行動していたか? 確かに俺はジョースター家の嫡男だが、ライバル心を煽るようなことなど一切やった覚えがない。口にしてはいないが、内心では「家督? どうぞどうぞ」の心持なのだから。

 ディオは俺に気づくと一瞬だけ瞠目し、それから意地の悪い笑みを浮かべた。どや顔というやつである。

「悪いなぁ、ジョジョ。エリナの唇を貰ってしまった」

「え、大丈夫か?」

 微塵も悪いとは思ってなさそうなディオに、俺は思わず即答した。何が大丈夫かと言えば、男にキスされた親友であり、野武士と知らずキスしてしまったディオである。俺はただ親友の心の平穏と、ディオのファーストキスが野武士ではなかったことを祈るのみだ。

 ディオ、お前よくそんな奴にキスしようだなんて思えたな。

「あ」

 呆けた声が出る。***の拳が綺麗にディオの顎に入ったのだ。脳震盪でも起こしたのか、ディオは呆気なく倒れる。***は仁王立ちのままディオを見下ろす。***の目は死んでいた。目から光が失われていた。俗にいうレイプ目である。状況的に激しく間違ってはいないのだが、違う姿とはいえ親友のそんな目など見たくなかった。そして彼は、倒れたまま立ち上がれないディオに馬乗りになろうとした。……ん?

「お前が、泣いても、殴るのを、やめない」

「やめたげてぇぇぇぇ!」

(俺、知ってる! それ、名言に近いような気がする!)

 しかしエリナさんのセリフではなかった気がするし、名言と近いようで真逆のことを言っている気もする。

「それ以上はオーバーキルだから! お前の気持ちは痛いほど分かるけど、相手は子どもだから落ち着け!」

「大人の領域に手出しをしたマセガキに大人の鉄槌を下す」

「まずいって!」

「手加減して殴るだけにする。蹴らない」

「最初の一発だけで十分クリーンヒットだからぁぁぁ!!」



+ + +

大惨事(確信)。
いきなり野郎にキスされたらキレざるをえない。成人ディオ様ならこんなにあっさり負けるはずはないですが、時代が追いついていなかった。



prev | next


×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -