いきてます&クトゥルフ三人組ポタ世界の話
萌え 2016/09/10 22:40
・クトゥルフ三人組がポタにトリップした設定
・ポタ一巻の飛行術の授業でドラコがネビルから思い出し玉を取るシーン
・グリフィンドールとスリザリンの合同授業=ポタ兄さんと親友がいる
・親友の名前は***。表向きはアルファルド。友人にはアルと呼ばれている。
ネビルが落として行った思い出し玉を拾い上げたドラコは自慢げな顔だ。正義感の強いハーマイオニーが「返しなさい」と要求するが、いじめっ子の才能溢れるドラコが素直に返すはずがない。箒から落ちて怪我をしたネビルに付き添ってフーチ先生が医務室に行っているため、この場を仲裁する教員も居ない。元から仲の悪いグリフィンドールとスリザリンの生徒同士なので、あっという間に生徒全員の睨み合いが始まった。さて、この状況を一体どうしようか。
しかしながら、俺以外にも睨み合いに参加しない例外が居る。その例外である***は、ドラコの手から思い出し玉をさっと取ると、ハーマイオニーに差し出した。ハーマイオニーは驚きながらも受け取る。
「あっ、ありがとう……」
「ネビルに渡しとけ」
まさかスリザリン生がグリフィンドール生の利になることをするとは誰も思っていなかったのだろう。その場に居る全員が***とハーマイオニーを見つめた。すると当然ながら、ドラコが怒り出した。
「アル! 何てことをするんだ! どんくさいロングボトムの肩を持つ気かい!?」
「たかが物一つで何騒いでんだ」
***は珍妙な生き物を見るような目をしてドラコを見つめた。おい、その目はやめてさしあげろ。確かに、傍から見たらものすごく下らない争いにしか見えないが。
「僕らは誇り高きスリザリンの寮生だ! グリフィンドールの味方をするべきじゃないだろう!」
「だから、物一つで何を騒いでいるんだ」
騒ぎ立てるドラコに、***は心底不思議そうな顔をして言った。
「誇り高いだの何だの言ってるなら、他人の物を掠め取っていい気になるな。みみっちい」
「な、な……」
ドラコは***の言い草に絶句する。そんなことを言われるとは思わなかったのだろう。しかし***に悪意はなさそうだ。それどころか、ドラコに対して情があるように見える。ドラコを諭すような言葉が続いたからだ。
「名家の人間だってなら、それらしい言動をしろよ。ナルシッサさんはそういうことしねえだろうが」
母親を出されたドラコは、困ったように眉を八の字にした。俺の知る限り、ドラコは両親が大好きだ。そしてマルフォイ家に預けられていた***は、間近でマルフォイ一家を見ている。そんな彼の言葉は信憑性があるし、彼も何だかんだと言ってもドラコやナルシッサさんがそれなりに好きなのだろう。ルシウス氏は知らない。
「それみたことか!」
すると、まるで鬼の首を取ったかのようにロンが叫んだ。……何となく、こうなることを予想はしていた。
「おいロン、やめろよ」
俺はロンを止めようとしたが、お調子者の彼が止まってくれるはずもない。
「嫌味なスリザリンにも、少しは話せるヤツがいたんだな!」
「ウィーズリー……!」
挑発的な言葉のせいか、もしくは***がロンに取られるとでも思ったのか。ドラコはギリギリと歯軋りをしながらロンを睨み付けた。
だが安心しろ、ドラコ。***は良くも悪くも空気を読まずに思ったことを発言する傾向がある。
「お前も調子に乗るな」
「へっ!?」
予想外の言葉を投げつけられ、ロンは素っ頓狂な声を上げた。
「俺は持ち主に返しそうな奴に渡しただけだ。無駄に煽るだけなら黙ってろ」
あ、はい、そうですね、としか言えない。***の中では、別に誰の味方をしたわけでもなく、単純に持ち主の友人に落し物を渡しただけなのだ。それだけなのにお前は何を文句を言っているのか、と言いたいのだろう。確かに、最初にネビルの持ち物を奪い取ろうとしたドラコが悪いが、ハーマイオニーに渡した後のロンの挑発も褒められた行為ではない。大雑把に「うるせえ黙れ」と***に言われなかっただけ、実は優しい対応だったのかもしれない。
しかしロンに通じるはずもなく、彼は瞬間湯沸かし器と化した。
「何だって!?」
「わーわーわー!」
俺は慌てて2人の間に割って入った。***は既にあまり興味のなさそうな顔をしているが、ロンは今にも***に掴みかかりそうだったのだ。掴みかかったところで***がどうこうされるはずもないが、そろそろ誰かが無理やりにでも止めておかないと話が終わらない。
「とりあえずこの話は終わりにしよう! 思い出し玉は返ってきたし、もういいだろう?」
「でもハリー! こいつは僕に黙れって言ったんだぜ!?」
正確には「ドラコを挑発するな下らない」という意味だろうが、ロンにはやはり全く伝わっていない。またグリフィンドール生とスリザリン生の睨み合いになりそうだったので、俺は苦し紛れに自分の腹を押さえて背中を曲げた。
「うおお! 腹が痛い! 脇を締めて捻り込むように痛い!」
「それはパンチの極意」
***が冷静に突っ込んだが、俺は聞こえなかったことにした。
「痛い! 痛すぎて腹がシックスパックになっちゃう!」
「もっと腹筋しないと割れないだろ」
だから聞こえない。
「というわけでロン、俺と一緒に医務室に来てくれ。あ、来てくれるのか? さっすがー」
「僕、何も言ってない」
それでも聞こえない。俺はロンの腕を掴むと、さりげなくハーマイオニーから思い出し玉を渡してもらい、医務室に逃げ込むことにした。ドラコは***が何とかしてくれるだろう、多分。
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