麻衣兄さんと真砂子ちゃん
萌え 2016/02/12 00:23
・真砂子を襲っていた霊を麻衣兄さんが追い払った場面
・真砂子に対する兄さんの好感度が高め
・場所を強引に決めるとしたら緑陵高校
リンさんから(勝手に)拝借した中国剣の切っ先とオーラを向けられると、いびつな人型をした白い霊はゆっくりと後退して消えた。念能力はゴーストバスターにも使えるようで何よりである。実際はそんなことに役立てる生活をしたくないのだが。
剣を下ろして背後に振り向くと、床に座り込んだ真砂子ちゃんはぽかんとした顔で俺を見上げていた。やがてゆっくりと綺麗な顔が歪む。
「どうして来たんですの。危ないでしょうに」
「どうしてって」
俺はわざとらしく肩をすくめて見せた。
「俺、真砂子ちゃんがいないと困るんだって。知ってるだろ?」
「ええ、知っていますわ。知っていますけれど、でも」
「だからさ、あまり俺から離れないでよ」
未だに座り込んだままの真砂子ちゃんに左手を差し出す。
「傍にいてくれたら、真砂子ちゃんは俺が守るから」
俺は幻影旅団のような実力者ではない。どうにか自衛をするので精一杯な男(外見は少女)だ。それでも、真砂子ちゃん一人くらいならある程度守れるし、いざとなったら小脇に抱えて逃げることも出来る。そう、真砂子ちゃんだけなら。
(誰か一人しか守れないなら、俺は真砂子ちゃんを選ぶ)
そんな独り善がりなことを考えている男だと知らない真砂子ちゃんは、俺が差し出した手を戸惑いながらも握った。“俺自身”の手を握り返されることがどんなに嬉しいのか、彼女は知らない。“俺自身”の姿を認知されることがどんなに救われるのか、彼女は知らない。
それでも俺は、彼女の力と優しい心に報いたいのだ。
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