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日本を護るBL育成SLG
萌え 2015/03/08 14:52


・ニジマス戦隊モーホレンジャー(BLゲーム)に3人組を突っ込んだ話
・時間軸はGHクトゥルフの後辺り
・兄さんの名字が四ノ宮(名前は×××)
・親友の名前は***
・あちこち細かい部分を捏造





 目が覚めたら黄色い作業服の上着と黒いズボンを着ていた。意味が分からない。だが、いきなり意味が分からない状況に放り込まれるのは慣れているので、まあよしとしよう。良くないが。作業服の左胸には、肌色の芋虫のようなキャラクターの胸章が張り付いていた。やはり意味が分からない。よく胸章を見てみると文字が書いてあるようだが、何のことやらさっぱりだ。ついでに観察してみると、ズボンだと思っていた黒いそれは、肌にぴったりとフィットしたウエットスーツに見える。その感触は上半身まで続いているので、ウエットスーツの上に作業服の上着を着ているのかもしれない。

 そんな格好をした俺がいるのはあまり広くない寝室のようだ。部屋には真新しい二段ベッドとテーブル、ロッカーがあるくらいで物が非常に少ない。テレビすらない部屋にある窓から外を見てみると、朝日に照らされた海岸線が見えた。……本当にどこだここ。二段ベッドの下で目を覚ました俺は、ベッドに腰掛ける姿勢で呆然とした。最後の記憶では俺と一緒に***とリドルが行動していた筈だが、その2人はどうしているのだろうか。俺は2人をおいてまた別の異世界に飛ばされてしまったのか、それともここはクトゥルフ神話が関連している場所なのか。

「四ノ宮(しのみや)、いつまで呆けているんだ」

 その時、突然近くから声を掛けられた俺はぎょっとして顔をそちらに向けた。俺の傍らに立って見下ろしているのは、同じ年頃の青年だった。明るい砂色の髪はさっぱりと短く切られており、青縁の眼鏡をかけた姿は見るからにインテリ系である。細面のイケメンが不審そうな顔をしていると神経質に見えるのだが、予想に違わない性格なのだろうか。俺と同じ服装の彼は、無防備に見上げる俺を見て眉間にしわを寄せた。彼が口にした“四ノ宮”とは俺のことで間違いないようだ。

「朝食の時間に遅れる。急げ」

「……えっと、ごめん。分かったよ」

 軽く頭を下げた俺は、状況が分からないままとりあえず部屋を出る彼について行くことにした。





 青年――三板醤太朗(さんば じょうたろう)について行く形で辿り着いたのは広い食堂だった。ここもまた真新しい。俺がいる謎の施設はできたばかりなのだろうか。

 ちなみに彼の名前を知ったのは部屋の表札のお陰だ。俺がいた場所は宿舎のようなところで、部屋の入り口には三板醤太郎と四ノ宮×××という表札がかけられていた。四ノ宮×××というのが俺の名前らしい。道中で窓ガラスに映った自分の姿を確認したが、クトゥルフ世界から引き続いてやや色素の薄い髪と、いつも通りのフツメンだった。俺にイケメン補正はない。したがって、俺と同じような体格の三板に親近感を抱こうにも、彼と俺の間には顔面格差の現実という溝があるのだった。おまけに三板はあまり人と会話したがらない性質なのか、道中での俺との会話は弾まなかった。朝食のおかずの出し巻き卵の味付けについて語っても、普通に受け答えはするがにこりともしなかった。……これは俺の話題選びが駄目なのだろうか。

 食堂は、トレーを持って食事担当の人間(エプロンの下は俺達と同じ格好だった。当番制だろうか)から料理を受け取るシステムだった。和風の朝食が乗ったトレーを持って俺と三板がテーブルの方へ行くと、明るい声がかけられた。

「あっ! 三板に四ノ宮、おはよう!」

 声をかけて来たのは、栗色の短髪をした優しそうな面差しの青年だった。俺よりは年嵩に見えるが、まだ20代だろう。整った顔立ちで垂れ目が気弱そうにも見えるが、黄色い作業服に包まれた肩は決して薄くない。彼は人懐っこい大型犬のような笑顔を満面に浮かべてこちらを見ている。これはそっちに行けということだろうか。

 三板は少し足を止めた後、方向転換して青年の方に向かった。特に逆らう理由もないため俺も彼に続く。青年の隣と向かい側には他の人間も座っていた。三板は彼らのすぐ傍まで来ると、トレーをテーブルに置く前に直立のまま口を開く。

「……おはようございます、鈴村班長」

(テンション低っ)

 言葉遣いと呼び名から、青年――鈴村班長は三板の目上の人間だろうが、彼の声色はそんなこと知るかと言わんばかりの低さだった。剣呑さはないが、愛想もない。事務的に言ったと丸分かりである。だがそれを承知しているのか、鈴村班長はにこにこしたまま苦笑すらしなかった。

 俺も鈴村班長と残り2人の青年に挨拶すると、約一名を除き朗らかに返されたため、三板と一緒に席に座る。そして朝食を食べながら、状況を把握するために耳に神経を使った。

 分かったことは、鈴村班長を中心としたこの集まりと人員の名前だ。この施設は自衛隊のような組織が利用しており、鈴村班長はその中の1つの班を任されている。朝食を食べているメンバーは、鈴村班長の隣に座っている爽やかイケメンが二胡(にこ)。少し長めの茶髪の彼は、髪型を変えて目つきを少し悪くし、浮かべている微笑みを消したら俺の親友に似ているかもしれない。……***、お前どれだけ仏頂面なんだ。身長も***と同じか少し低いくらいだろう。羨ましい。そして鈴村班長の向かい側に座っているのが一節切(ひとよぎり)。こちらは羨ましく思う余地がないくらいにでかい。辛うじて2mはないだろうと思うくらいにでかい。整えている節がある二胡と違い、短いが無造作に下ろされている黒い前髪の奥の目は細く、無表情なため何を考えているのか分かりづらい。実はゴーレムですと言われたら信じるくらい、無口で読めない巨漢だった。それでも見た目はワイルド系イケメンってどういうことなの。イケメンしか入隊できない規則でもあるのか。いや俺はフツメンですが。

 一節切、二胡、三板、四ノ宮(俺)は鈴村班長率いる一班の隊員らしい。名前が番号順じゃねえか! と思ったのは俺だけではないだろう。ちなみに全員20代に見える。ともかく、隊員たちはここ桝川駐屯地で日々訓練をしつつ、海から襲いかかって来るモーホなる魚怪類と戦っているのだという。……魚介類ではなく、魚怪類である。誤字ではない。

(なんなんだ、この世界……)

 海から来るものと聞くと、先日まで居たクトゥルフ神話世界的に考えて、ヤバい神話生物との全面対決ですかやだー! と連想してしまうのだが、どうやらそうではなさそうだ。恐ろしい神話生物と戦うにしては、彼らに危機感が足りていないからだ。

 俺が朝食の席でそんなことを考えていると知らず、鈴村班長達は(主によく喋る班長と二胡が)会話に花を咲かせている。そんな中、俺の隣に腰掛けている三板は、時折振られた質問に敬語で簡単に答えるだけでほぼ無言だった。どうやら俺との会話はまだ会話として成立していたらしい。

(三板って、会話嫌いというより人見知りなのか?)

 そう思うと無口なインテリも可愛らしく思えるものである。だが俺の逆隣に座っているのはミスター岩こと一節切なので、両脇を無口キャラに固められた俺には、必然的に鈴村班長や二胡の会話がより多く振られることとなる。考え事に集中できない……。

 朝食を食べ終わる頃になると、また新たな人間がこちらに近寄って来た。俺より少し背が低い黒髪の青年は、口をへの字に曲げているもののまたしてもイケメンだった。いい加減にしてくれ。鈴村班長は、トレーを持ったその青年に声をかけた。

「おはよう! こ……松虫(まつむし)、班長」

 少し言い淀んだ挨拶をする鈴村班長に、青年――松虫班長は片眉を上げた。

「おはよう、鈴村班長」

 妙に“班長”を強調する言い方に鈴村班長は苦笑する。だがそんなやり取りより、俺は松虫班長の背後に居る2人に目が釘付けにされた。それは相手――特にその内の片方もそうらしい。彼も目を見開いてこちらを見ている。

 松虫班長と一緒にやってきたのは、隊服を着ている***とリドルだった。





 食事のタイミングが合わず、碌に***達と話すことができなかったが、昼食か夕食の時間に食堂で会うことを約束して別れた。

 ここは日本の本土の南に位置している孤島で、そこに駐在している部隊はニジマスと呼ばれている。正式名称は“第二次魚介類侵攻抑止部隊・桝川駐屯兵団”だ。現在、この島に居るのは兵団の関係者のみらしく、南国の自然と訳の分からない魚介類と男だらけの島になっている。これはひどい。

 朝食を終えた俺は、三板達と共に訓練をすることとなった。根っからのインドア青年である俺にまさかの試練であるが、今の俺の立場は鈴村班の一員でしかないのでやらないわけにはいかない。こうして俺は南国の島――にある施設のトレーニングルームで、ひたすら筋トレに励むのだった。

(暑苦しい)

 右を見ても半裸の男、左を見ても半裸の男、前後を見ても以下略。トレーニングルームでの筋トレは実に暑苦しかった。暑苦しい上に体育会系ではない俺には辛い肉体労働である。体力がある***はともかく、インドア青年2号のリドルにも辛いと思われる。ささやかな同情と道連れという後ろ向きの喜びに浸りながら、今はスクワットに専念する。

 ……つらい。

 いや、スクワットが辛いのは当然だが、肉体的な辛さを言っているのではない。精神的に辛いのだ、目と耳に入ってくる情報が。俺の隣でひいひい言いながら必死に頑張っている三板はいい。こんなに辛いのは俺だけじゃないと思えるのでいい。一節切はさらにどうでもいい。見た目通りの体力の持ち主は、無言のまませっせと頑張っているだけだ。このまま続ければ、いずれ彼は某機動武将ホンダムのような進化を遂げるだろう。

 問題は鈴村班長と二胡である。

「はあ……班長。訓練している時の、班長って、色っぽいん、ですね……」

「え? そうかなあ……?」

 黙れ。頼むから今すぐ黙ってくれ。特に二胡、お前は口を閉じろ。嫌な予感で背筋がぞわぞわする。

 暖かい南国の地で場違いな悪寒に襲われつつ、俺は必死に膝を曲げ伸ばしする。笑顔で会話をする鈴村班長と二胡が正面に居るため、どうしても視界に入ってしまうのをどうにか耐える。つーかガタイのいい筋肉男2人が(スクワットのせいで)ハアハアしながら(スクワットのせいで)頬を染めて見つめ合うな。謎の魚怪類より彼らの方が名状しがたい恐怖の権化である。俺の精神を冒涜的な光景で嬲り殺しにする気満々である。メタ的に言うと、SANチェック入ってる。そして俺のSAN値が減らされている。このまま削られ続けて不定の狂気を発症したらどうしてくれる。

 気を逸らそうと話しかけようにも、一番近くに居る三板は体力的に限界が近い。話す余裕なんてとてもないだろう。かく言う俺も体力的にきついのだが、目の前の光景がおぞましすぎてちょっとよく分からない状態である。一節切は、そもそも上手く会話を繋げられる自信がないので除外する。つまり俺は、孤独な戦いを強いられているのだ。こんな言い方をするとマラソンのようだが、ゴールテープの先で待っているのはB……薔薇園のような気がしてならない。ゴールしたら負けである。

(***、リドル、助けてええええええ!!)

 助けは来ない。現実は非情である。





 方々で聞いた話によると、二胡有司(ゆうじ)はエリートだ。入団面接において最も優秀だった青年で、おまけに身長も高い抜群のイケメンである。人当たりも柔らかく、彼を嫌う人間などほとんどいないだろう。ホグワーツ始まって以来の秀才イケメン・リドルといい、どうして天は一人に二物も三物も与えるのか。そんな彼は恐らく将来の幹部候補生で、女性からも引く手数多なのだろう。それなのに何故、彼はこんな僻地の最前線(らしい)を志願したのだろうかと思う。

 だが、そんな疑問はすぐにどうでも良くなった。二胡は班長である鈴村まこみち(男)が好き過ぎるのだ。偶然廊下で「風呂で筋肉のマッサージをし合おうか」などと話している鈴村班長と二胡の姿を見てしまった俺は、即座に回れ右して気付かなかったことにした。鈴村班長はともかく、二胡は確実にソッチの人である。俺などは完全にびびって逃げ腰になっているのだが、あからさまに様子がおかしい2人(特に二胡)を見ても何の反応も示さない周囲も怖い。

 モーホなる海洋生物が存在するこの世界は、少なくともこの辺境の基地はホモの巣窟であった。つーか、海洋生物の名前があからさまにソッチ系である。この異世界、まさかBL的な何かを扱うゲームか漫画の世界ではないだろうな。

「帰りたい」

 昼食の時間。俺は食堂の片隅で頭を抱え、***とリドルに訴えた。他の隊員たちは少し離れた場所で食事をしているので、愚痴りたい放題である。

「俺はきっと標的にならないだろうと予想はしていても怖すぎる。帰りたい」

 別に世の中にそういう嗜好の人間が居てもいいとは思っているが、目の前で遠慮なくイチャイチャされると凄まじく居心地が悪い。少しは遠慮しろ。そして俺の見えないところで人生のゴールでも何でも迎えてくれ。

「どうやって?」

 リドルは昼食のカレーライスをスプーンで掬いながら、興味が薄そうな顔をする。

「僕たち、志願してここに配属されたことになってるよ。今更、本土に逃げ帰るのは難しくないかい?」

「そもそも、俺たちの家って本土にあるのか?」

 ここが異世界ということは全員承知しているので、それぞれがそつなく過ごしながら情報を集めていたのだ。リドルが口にした情報に、***が眉をひそめた。***に関しては、再びの異世界トリップで精神的に不安定になっていないか心配だったのだが、リドルと一緒だったためか落ち着いているようだ。

「立場的に自衛隊とか軍隊に当たる組織だから、日本国籍はあるだろうけど……家はどうだろう……」

 隊員に「俺の家ってどうなってるっけ?」などと馬鹿正直に聞くわけにもいかず、俺は頭を悩ませる。

「こっちに来る前に引き払っていてもおかしくないよね。宿舎の可能性もあるけど」

 リドルの言う通り、ここでは長期任務になりそうなので、本土の家を引き払っていても自然だろう。仮に隊員用の宿舎だったとしても、今帰ったところで住む場所がなくなっていてもおかしくない。

 悩みはそれだけではない。

「それに、馬鹿でかい海洋生物って、どうやって戦うんだ……」

 モーホは、最低でも人間並みの大きさを誇る生き物らしい。ナマコやカメ、タコなどの種族が一般的だとか。そんな巨大生物が一斉に押し寄せたら悪夢である。

「ゴム弾だった」

「は?」

 端的に返された***の言葉に、俺は思わず目を丸くする。

「部隊に支給された武器をチェックしたら、銃火器は全部ゴム弾だった。ことごとく非殺傷武器だ」

「魚怪類を殺すつもりはないってことか?」

 そうでもなければ、弾薬を全てゴムにする筈がないだろう。ますます訳が分からなくなった俺を見て、リドルが口を挟んだ。

「そうらしいね。まあ、海洋生物との戦いが特殊になった理由が理由だし」

 リドルの説明によると、この世界の日本には海から魚怪類がやって来て、とんでもないことに人間相手に交配して産卵させるようとするため、女性や子どもは皆、内陸部に避難しているらしい。沿岸部に男が残されているのは、魚怪類の侵入を防ぐためと、男なら女性と違い、尻に産卵されるだけで済むからだとか。ここまで聞いた俺は話の途中だが絶望した。ホモホモしいのは基地だけではなく海もだった。モーホなだけに。

 そして魚怪類には、カイザー・モーホと呼ばれる人型の王がいるらしい。カイザーが人型なのは、人間とモーホのハーフだからだとか。そのカイザー(男)がある日、浜辺を歩いていた鈴村班長(男)に一目惚れしてしまった。カイザーは鈴村班長に告白したが即行で断られ、それがショックで鈴村班長にモーホを差し向けるようになったらしい。こうして、対モーホの素敵な餌になった鈴村班長を、南の孤島に隔離することでモーホを日本本土から引き離すこの部隊――第二次魚介類侵攻抑止部隊・桝川駐屯兵団が誕生したのである。

「アホか。そんなもん話し合いで解決しろよ」

 言葉が通じるカイザーがいるなら、彼と交渉してどうにかすればいいじゃないと思う俺はおかしいだろうか。俺は世界のホモホモしさに怯えながらそう口にした。

「策もないのに下手に殺して恨みを買うと面倒そうだ。島国って大変だよね」

 イギリス人(島国)のリドルが遠い目をする。関わりたくないというオーラが全身から出ていた。

「モーホにこっちを殺す気はないのか?」

「殺された例はないらしいよ」

 ***の質問に答えたリドルは、ただしと付け加えた。

「その代わり、尻に卵を産み付けられるらしいけどね」

「帰りたい」

 この世界の海洋生物は頭がおかしい。俺は一層震え上がった。どんなに頭を抱えても現実は変わらない。

「それにしても、この世界の日本政府は馬鹿正直で甘っちょろいんだね」

「何で?」

 リドルの物騒な発言に、俺は頭を抱えたままちらりと彼を見た。

「僕だったら、裏取引でもして鈴村をカイザーに引き渡すよ」

「……それ、絶対他の奴に言うなよ。暗殺されても知らねえぞ」

 特に二胡とか松虫班長(鈴村班長の幼馴染らしい)とか。彼らが怒る姿は見たくない、あらゆる意味で。

「たかが人間一人の犠牲で領海を守れるなら安い物じゃない。上手く取引すれば海洋生物を軍事利用できるし」

「お前の発想は腹黒すぎる」

「常識だよ」

 ツッこむ***に対して、リドルはさらりと返した。少しだけ鈴村班長が可哀想になった俺は、リドルに反論してみた。

「たった一人の人権にも配慮してくれる政府だってことじゃないか」

「たった一人のために使われた予算はいくらだろうね?」

 返す言葉もない。この基地を整えるのに一体どれだけ経費が掛かったのか。

「一体どこから不満が噴出するのか楽しみだよ」

 リドルは楽しそうににやにやと悪い笑みを浮かべている。魚怪類以外ではこの島に脅威はないので、そのくらいの刺激がないと彼にとっては退屈なのかもしれない。

「そうか?」

 だが、リドルの言葉に***が疑問を投げかけた。

「そうはならないんじゃないか?」

「俺もそう思う」

 俺も***の考えに賛成だったため頷く。食堂の様子を見回した俺は、考えながら言った。

「何と言うか……誰もそこまで細かいこと、考えてないような気がするんだよなあ」

 クトゥルフ神話が跋扈する世界で、神話生物と戦う自衛隊を見たことがあるのだが、その時に自衛隊から感じられた殺気や気迫、緊張感、危機感がこの基地からは全く感じられない。一言で言ってしまうと、ゆるいのだ。

 俺に倣って周囲を見回したリドルも同じ考えに至ったらしい。彼は心の底からがっかりしたような溜息をつくと、退屈そうに頬杖をついた。

「つまらない。帰りたい」

「俺も帰りたい」

「そのうち帰れるんだろ?」

 意外にも、最も前向きな言葉を吐いたのは***だった。彼がそう言うのだから、俺もBL時空に怯えてばかりいられない。俺は頷くと、顔を上げた。……上げた先で鈴村班長と二胡が乳繰り合っているのが見えたので、すぐさま頭を抱えた。



* * *



彼らは尻に産卵される恐怖と戦いながら日本を守っているのです(公式)
槍玉にあげた二胡は分かりやすいBLキャラだと思います。班長も大概ですけどね!
あとミニゲームのスクワットは完全に(以下自主規制)
自分は一体何をやっているんだろう……きっと疲れているのよ……


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