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ゼロ魔兄さん別視点
萌え 2014/11/09 19:43


・ギーシュとの決闘シーンをキュルケ視点で
・キュルケって誰だっけ?→ルイズの知人のえろい褐色美女
・イケメンフィルターこわい





 見た目だけならば学院一可憐であると言っても過言ではない同級生が、キュルケの目の前で宙を舞う。ストロベリーブロンドの少女を横抱きにしたまま、流れるような体捌きでゴーレムたちの攻撃をかわしているのは、少女が呼び出した異国の若い青年だ。美しい少女と並んでも見劣りしない恵まれた容姿の彼は、冷たい作りの面差しに反して、たった今使い魔契約を交わした主人を扱う腕は優しい。ギーシュのゴーレムが女騎士ならば、彼もまた姫君に仕える眉目秀麗な騎士だ。

 彼は強靭な肉体には見えない長身痩躯でありながら、ドットといえどメイジであるギーシュのゴーレムを完全に圧倒している。ハンデと称して主人を両手で抱えたままでありながら、青年は7体のゴーレムを相手に余力を残して遊んでいた。現に、ネズミと戯れる猫のようにギーシュの背後へ軽やかに降り立った彼は、そのすぐ後にはゴーレムたち全てを破壊し終えている。手を一切使わず、連続して放たれた蹴り技のみで、ギーシュの全力である7体のゴーレムを殲滅したのだ。当然、それすら本気を出しているようには見えない。何しろ彼は、腰に佩いたナイフには触れもしなかったのだから。

 あっさりとギーシュを下し、歓声が湧く。だがキュルケは、取り巻きの男子生徒たちと決闘の感想を共有する気分ではなかった。彼女の目には、彼が本性の片鱗を見せた時からあの青年しか映っていなかったのだ。

 涼やかな切れ長の青い双眸。通った鼻筋。優しいばかりでなく、時折攻撃的な言葉も紡ぐ薄い唇。白いが弱々しさは感じさせない肌に、男にしては美しい黒と銀の長い髪。すらりと背が高く細身に見えるが、ゴーレムを難なく砕ける力があるので、着痩せしているのだろう。露出が少ないストイックな服の下には、逞しい肉体が隠れているに違いない。あの力強い腕に優しく、そして情熱的に抱き締められて愛を囁かれたい。

(素敵……)

 キュルケは、ルイと名乗っていた青年に抱き締められる想像をして、うっとりとした。彼のキュルケへの態度や食堂での女子生徒への対応を思い出すと、彼は少なくとも女性には全て一線を引いた対応をしていたのが分かる。親切ではあるが、決して他人に踏み込まないし踏み込ませない。自身を薔薇と称するギーシュとは対極の性格だろう。だからこそキュルケには分かる。彼はとても一途だ。もし彼に恋の火を灯したら、情熱的に求められる筈だ。

 キュルケの友人であるタバサが本を好むように、ルイズがクックベリーパイを好むように、彼女は燃え上がるような恋を好む。キュルケにとって恋は趣味でありライフワークである。常に体を恋による微熱に浮かされていたいと願うのである。

(恋よ。これは恋! あたしは恋をしたんだわ!)

 恋の炎がキュルケの胸の内で燃え上がった。

(彼は絶対にあたしのものにしてみせる! あたしは微熱のキュルケですもの!)

 ルイズを見下ろして優しく笑う青年を見つめながら、キュルケは早速彼を恋に落とす算段をつけ始めた。元々、キュルケは大半の男が好む美貌を持っている。そして、どのように振舞えば男を手玉に取れるのかも、身をもってよく知っている。ルイズも追随を許さない絶世の美少女であるが、致命的な欠点として、男心を全く理解していなかった。それはキュルケにとって幸運である。

(まあ、ヴァリエールが男慣れしていたところで、あたしが彼を掻っ攫うのは変わらないけどね)

 めくるめく恋の世界に浸るキュルケの隣で、友人である青髪の小柄な少女タバサは、持参していた分厚い本に目を落としていた。彼女の悪癖で、また自分の周囲がにぎやかになる可能性を予感しながら。



* * *



こうして兄さんはキュルケに原作のようなお色気アタックをされるのでした。
せっかくの美女なのに相手が悪くて兄さんの胃痛がマッハ。



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