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リドハリ子幼馴染文章その2
萌え 2012/09/05 22:44


・ハリ子とリドルがマグル界で幼馴染設定(同い年)続き
・リドルの性格が悪い
・ハリーがリドルを怖がっている
・かろうじてリドハリ子かもしれない
・組み分けシーン





「グリフィンドール!!」

 古臭い帽子が高らかに告げた寮の名前に、トムは内心で舌打ちした。自分の同胞であり、ひいては自分の物であると感じていた少女が、恐らく自分が属するである寮と最も遠い場所へ駆けていく。衝撃で僅かに目を見開いた表情になったトムは、ふと視線を感じて顔を取り繕う。視線の主はダンブルドアという校長職に付いている老人だった。トムはあの老人が嫌いだ。遥かな高みからこちらを見下すあの視線には吐き気がする。

 少女が――ハリーがグリフィンドールの席に温かく迎えられる。ひょろりと背が伸びた双子らしき男が、馴れ馴れしく彼女の細い肩に手を置いている光景に苛立つ。だがトムは必死にその感情を皮膚の下に隠した。見目麗しい自身が既に周囲の注目を浴びていることは自覚している。そんな中で負の感情を覗かせるのは、他人に取り入るためには得策ではない。ようやく2桁の齢に手を掛けた身でありながら、トムは世の中を上手く渡る術を察していたのだ。かつて、抱いた悪感情を相手にぶつけ、力尽くで捻じ伏せるだけだった子どもはもういない。

 程なくしてトムもまた、組み分け帽子によって組み分けされた。スリザリンだった。事前にホグワーツ特急内で、他の生徒から収拾した情報をもとに行った推測通りだ。ハリーが別の寮に配属されることもまた推測してはいたが、よりにもよってスリザリンと仲が悪いグリフィンドールということには不満を覚える。賢いトムはホグワーツ特急内で察していたが、魔法族と言えどもここは学び舎であり、所詮は愚鈍な子どもの集まりだ。賢い者は一部しか居らず、特に下級生はいともたやすく付和雷同する。トムとハリーが仲睦まじければ、恐らく双方の周囲が煩くなるだろう。何と煩わしく忌々しいことか。マグルのスクールでも感じていた周囲の稚拙さを、密やかに憧れすら抱いていた魔法学校でも感じる羽目になるとは。トムは幼い顔にうつくしい笑顔を張り付かせてスリザリンの上級生に媚びながら、内心でぎりりと歯噛みした。

 トムの視線の先は、2つの寮席を挟んだ向こう側にあった。トムが座るスリザリン席から最も離れた場所に座っているハリーだ。彼女は寮生に囲まれてはにかんでいた。トムが傍に居ない癖に、とても幸せそうな笑顔すら浮かべて見せていた。そんな幼馴染の様子を見つめていると、トムは自身の浮かべている表情とは真逆のどす黒いものが、腹の底でふつふつと煮え滾るのを感じた。気に入らない。トムがわざわざ“仲良くしてやっている”というのに、何故それよりも嬉しそうにしているのか。トムのように幼馴染を見つめるどころか、振り返りすらしないとは。あの細い首を締めてやれば態度も多少はマシになるだろうか。

 物騒な考えを脳裏に過ぎらせたトムは、隣に座っていたドラコという少年に声をかけられて我に返った。彼と大したことのない受け答えをしながら、トムは冷静さを取り戻す。思えば、マグルのスクールに通っていた頃の彼女は、あの豚にしか見えない従兄のいじめに遭っていた。声が大きいその子どもにつられて周囲のクラスメイトもハリーに優しくなかった。そんな彼女だから、あのように温かく迎え入れられて舞い上がっているだけなのだ。何もハリーは、トムよりもグリフィンドールの連中が良いと評価しているわけではない。そう納得すると、トムはようやくハリーから視線を外した。

 つまらない夕餉の時間を終えれば、後は寮ごとに寝床へ移動することになる。幸運にも道中でハリーの傍に近寄れたトムは、花弁が開くような微笑みを浮かべてみせた。そして優しげに口を開く。こうすれば、大抵の人間が自分に好印象を持つとトムは知っている。

「ハリー」

 トムは自然な仕草でハリーの手を取った。トムの手はまだ幼くて小さいが、ハリーの他はさらに小さい。指と指を絡めると、細い指などトムでも簡単に拘束できた。少女が動揺してトムを見上げるのも構わず、トムは提案した。

「途中まで一緒に行こう。急に離れるなんて寂しいよ」

「……うん」

 ハリーは逡巡したようだが、大して間を置かずに頷いた。それは咲き誇る花のようなトムとは対照的に、まるで萎れかけた花のような様子だった。

 何故か彼女がたまに自分に対して怯えていることなど、トムはとっくに察していた。理由は分からないが、だからといってどんな理由があろうと彼女を手放すつもりはトムには欠片もない。それにハリーは、最終的にトムの言うことを聞くのだ。問題はない。

 手を繋いでから一呼吸ほどおき、ようやくぎこちない笑みを浮かべはじめた幼馴染に、トムは愛想良く話しかけた。自分やハリーの周りに居る生徒などどうでも良かった。

「違う寮でも、授業で合同になることもあるらしいんだ。それに食事の場所も同じだし、自由時間もある。寂しいけれど、完全には引き離されなくて良かった」

「うん」

「明日の朝食の時間にまた会おうね」

「……うん」

 ハリーはただただ従順にトムの言葉に頷く。素直な幼馴染の、何と可愛らしいことか! どうか可愛い彼女は無鉄砲なグリフィンドールに毒されないで欲しい、とトムは強く願った。

 やがてスリザリンとグリフィンドールで道程が分かれる。トムは自然と離れかけた手をぎゅっと握り直し、戸惑うハリーを見つめた。

「明日の朝、7時半に寮の前まで迎えに行くから。約束、だよ」

 返事などわざわざ訊かなくても分かりきっていたが、トムは彼女が答えるまで立ち止まってじっと待つ。ハリーは握り締められた手に1度視線を落としてから、こくりと頷いた。

 ほら、やっぱり彼女は僕の言うことをちゃんと聞くんだ。





 すっげえ性格悪いイケメンリドルですよねこれ。この設定のリドルがハリーに問いかけるときは断定系が多いです。ハリーを自分の所有物扱いなので、決定権は自分にあると思っています。ハリーが自分の言うことを聞くのは当然と思ってますし、良い子にして言うことを聞いてるハリーは可愛いと思ってます。そして言うことを聞かないハリーは可愛くないとも思ってます。
 いじめられっ子のハリーもハリーで(一応)優しく扱ってくれるリドルに物申しにくかったり。でもグリフィンドールに入ることで反抗期が始まるんですね分かります。グリフィンドールは悪意も善意もストレートそうなので、裏表が激しいリドルが苦手な設定のハリーには向いてる寮かも。
 リドハリ子が読みたいねむい。



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