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あね兄さんとフェイタン
萌え 2012/09/13 21:22


・どう見てもBL
・クロロに女体化させられた兄さん
・ちっこい女の子になった兄さん
・つるぺた兄さんが期待はずれでがっかりなクロロ
・トキメキという名の嗜虐心を刺激されるフェイタン
・どこかの廃墟
・フェイ兄





 クロロ=ルシルフルが珍しく分かりやすい落胆の色を顔に浮かべていた。一体何事かと少し興味を惹かれたフェイタンは、ふと彼の影に小柄な人物がいることに気付いた。その気配自体は感じていたのだが、何故か危機感といったものが全く刺激されず、存在を今の今まで無視していたという方が正しい。フェイタンは無造作に腰掛けていた瓦礫から立ち上がると、音もなくクロロの脇に立った。クロロはそんなフェイタンに何も言わないので、フェイタンの行動は特に問題がないようだ。……多少問題があったところで我を通すのがフェイタンなのだが。

 クロロの背後に隠れるようにひっついていたのは、細っこい少女だった。短い黒髪と同色の目が乗っている顔はどこかで見覚えがある。どこで見たのかとフェイタンが物思いに耽ろうとしたその時、相手の少女もフェイタンに気付き目を見開いた。

「ひぃえっ!」

 もともとその少女は色気を欠片も感じない相手だったが、それを助長するかのように情けない悲鳴を上げた。彼女の左目の下にぽつんとある泣きぼくろも影が薄く、やはり色気を醸し出す要素とならない。そんな誰かをフェイタンは知っていた。だが次の瞬間、フェイタンの疑問はあっさりと氷解する。

 少女は自分の顔の前で忙しなく両手をばたつかせ、半分泣きそうな表情でフェイタンに言い募った。

「あああああ待ってストップお待ちになって下さいフェイタンさん! 俺は怪しくも有害でもうざくもないから思い留まって!」

 思い留まるも何も、この少女はフェイタンが何をすると思ったのか。反射的にそう考えたフェイタンは、彼女のオーバーアクションで少女が似ている誰かを思い出した。

 ――あの男。ある日クロロに目を付けられた稀有な念能力者。そして時折フェイタンの玩具になっている獲物。それに彼女は似ていた。まるで男が女になったかのようだった。

(……団長との組み合わせ。まさか、本当に女になたわけじゃないか)

 フェイタンは思わず首を横に振りそうになったが、少女の影の薄い地味な容姿に情けないリアクション、そしてフェイタンの名前を知っていたりそもそもクロロにくっついているという状況。浮かんだ素っ頓狂な考えが合っているような気がしてきた。

「……まさかお前、ワラジムシか?」

「俺は甲殻類じゃなくて人類なんですけど言いたいことは合ってると思います」

 思わず気安く呼ぶなとなじる前に彼女に確認すると、彼女はあっさりとフェイタンの言葉を認めた。まじまじと少女の顔を見つめるフェイタンに、クロロがやはりどこか落胆したような声色で告げる。

「興味本位で盗った念能力を興味本位でこいつに使ったらこうなった」

「興味本位なら自分に使えよ何してんのマジで」

「身長はまだしも、こんなまな板になるのは予想外だった」

「お前の顔がまな板になれよ」

 しれっと告げるクロロに、その黒いコートを片手で掴んだ彼――彼女がじとりとした目を向ける。一見すると彼女がクロロに縋っているように見えなくもないが、実際は縋るような手で容赦なくコートを掴みぐしゃぐしゃにしている。彼女らしい地味過ぎる嫌がらせだった。

 フェイタンはクロロに文句を言う彼女の顎を掴み、自分の近くへ引き摺り寄せた。「ぐえ」と散々な悲鳴を上げた彼女は、フェイタンの力に抗えるわけもなくあっさりと彼の前に引っ張り出される。

 彼女はフェイタンよりも背が低かった。女性並みの身長しかないフェイタンを見上げる相手はそう多くない。恐怖に顔を引き攣らせた彼女は、上目遣いでフェイタンの様子を窺っている。非力な小動物を思わせるその様子に、フェイタンは自身の嗜虐心がぞくぞくとくすぐられるのを感じた。女の体にされた“彼”を嬲るのも面白そうだ。いつもとは感覚に違いが生じているかもしれない。それを探して虐め抜くのはきっと楽しいだろう。

 フェイタンは我慢をしない性質だ。彼女を玩具にすることを即決した彼は、目の前の小柄な体を片手で俵担ぎにした。「ぎゃあああ!」と見かけに似合わない悲鳴を上げる彼女に、うるさいと言わんばかりにその尻を無遠慮に叩いて黙らせる。

「団長。いらないならこいつ借りるよ」

「ああ、好きにしろ」

 女体化した“彼”の姿が期待とかけ離れていたためショックを受けていたらしい。クロロは深い溜息をついた。

「好きにすんな! あ、嘘ですごめんなさい言うこと聞くから痛いのとかきついのとかつらいのとかやめてくださいお願いします」

 クロロの素っ気ない返事に彼女が騒ぎ出すが、担ぐ腕にやや力を込めると、すぐに態度を翻す。フェイタンは彼女を担いだまま、手頃な場所に移動を始めた。





 こいつらの普段の生活が酷いことになってそうな文章ですすいません。ノリで書きました。普段の生活とかこの後のフェイタンとあね兄さんは妄想補完でお願いします。手頃な場所とかどういう意味っていうかまあその妄想で補完してください。



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