更新履歴・日記



(兄さん24歳)
萌え 2012/09/19 20:08


・ぴくしぶのゾル兄さんイラストに萌えた
・ルイ先生の名物はチョーク投げ
・勤め先は中学校
・×××はルイ先生の偽名=現代日本の実名





 学校には授業参観という名のイベントが存在する。普段は家にいる家族が学校にやって来るということで、生徒は大抵緊張している。そして保護者に授業を参観される教師もその大多数が緊張している。無論、俺も大多数の教師に含まれる。授業参観は、普段の子ども達の授業風景を保護者に見せるべきだと俺は考えているので、この日だけ行う特別なカリキュラムを考えているわけではない。だが普段通りにやるとしても、人の目があると思うと非常に緊張する。たとえ初めての経験でなくてもだ。……親の目がある今日はさすがに居眠りする生徒も居ないと思うので、俺の睡眠学習妨害用のチョークが空を飛ぶことはないだろう、と信じたい。

 数度目の授業参観日であるこの日もそうだった。俺の担当である数学の授業前、10分の休み時間中に俺は教室で授業準備をしていた。……というのは半分嘘である。普段通りの授業の準備が10分もかかるはずがなく、持ってきた少ない荷物と出席簿を教卓に乗せた俺は、保護者が教室の後列に集まりつつある教室で(保護者には俺が教室に入る段階で軽く挨拶をしている)、そわそわする気持ちを紛らわすように近くの生徒達との会話に興じていた。俺の若さがあってか、それとももともと人懐っこい生徒が多いのか、生徒達はよく俺に話しかけてくれる。そのため、彼らと話している時間はとても楽しい。

 そんな時、俺はふと一部の女子生徒がこそこそと騒いでいることに気付いた。

「ねえ、あれって誰のお兄さんかな?」

「髪の毛さらっさらでキレイ」

「イケメン過ぎて誰のお兄さんか全然分からないんだけど」

「でもあの人無表情でちょっと怖くない?」

「言えてるー」

 どうやら彼女達は、誰かの保護者について話しているらしい。一体どんなイケメンだろうかと彼女達の視線の方向を見ると、思いがけず見慣れた青年が居たため顔が引き攣った。

 保護者の密集地帯である教室の後方にさらっと立っている、噂の謎のイケメンは、どう見ても俺の実弟イルミだった。彼はゆるいTシャツにゆるいジャージという超軽装備のため、お上品なスーツに身を包んでいる保護者達の中において浮きまくっている。ちなみに、女子生徒にさらさらと褒められた長い黒髪は、いつものように結わずに背中に流していた。鬱陶しく見えないのはさすが世界が嫉妬するア●エンスクオリティか。そんなイルミははたと俺と目が合うと、嬉しそうに(実兄目線であり、普通の人間にとっては無表情のままである)片手をひょいと挙げた。

「や」

(や、じゃねえよ)

 俺に対して気安い男の姿に、教室(主に生徒達)がざわりとする。やるならやるでせめて絶してからやれとイルミに言いたい。俺は視線だけで彼を教室の外へ誘うと、生徒達の興味津々な眼差しを振り切って廊下に出た。おい一部の男子、窓からこっち見んな。

 俺は廊下でイルミに向き直ると、何と言おうか考えながらもとりあえず呼びかけた。

「……イル」

「何、兄さん」

「兄さんって言った! あの人、×××先生のこと兄さんって言ったぞ!」

「マジで? えーでも似てないじゃん!」

 おい黙れ窓からこっち見てるそこの男子。あとその片割れも窓から乗り出すな。ついでに口を慎め。何がイルミの堪忍袋の緒をぶった切るか分からないから、迂闊な発言はやめとけ。ちなみに俺とイルミが似てないのは、普段浮かべている表情の落差だと思うぞ。顔のパーツは似ているはずだ。

 俺は意図的に男子群をスルーすると、半眼でイルミに告げた。

「今日は教師の身内が授業参観する日じゃありません。というかそんな日はない」

「保護者の授業参観日なんでしょ?」

「いやお前は俺の“保護”者じゃないだろ」

「兄さんはオレが嫌いなの?」

(兄弟愛が重い)

“ああ言えばこう言う”の精神で返される答えに頭が痛くなる。ここはイルミに怒るよりむしろ、キキョウママという名の保護者がやって来なかったことに安堵するべきなのだろうか。……我が家のパパとママが教室にやって来る姿を想像しただけでぞっとした。授業参観に来る暗殺者夫婦って何なの。あ、それを言ったら先生やってる暗殺者って何なのという話になるか。俺のことだよ!





 短くてすいませんでも書くの楽しいです先生やってるゾル兄さん。
 指先で正確にチョーク投げするルイ先生萌える。さすが投擲マスターランク。漫画で投げてた相手に笑いましたあれ絶対チョークに周してるよね。あと生徒みんな可愛かった←



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