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ゾル兄さんとルークとイルミ
萌え 2012/10/04 00:01


・ゾル兄さんinTOAにイルミが後からトリップしてきたら
・カイツール軍港手前でイルミと鉢合わせ
・ルークがゾル兄さん大好き
・パーティが限りなく空気
・(兄フィルターで)嬉々としてゾル兄さんに話しかけるイルミ
・ゾル兄さんに会えたのが嬉しくて周囲をスルーするイルミ





 俺としてはルークを無視しているつもりはないのだが、イルミは完全にルーク(というか俺以外の周囲)を無視している。彼に興味が全く無い上に、それほど重要な存在ではないと思っているのだろう。話しかけられても返事どころか視線一つ向けやしない。だがそういう扱いに耐えられる神経をルークは持ち合わせていない。案の定、ルークは眉を吊り上げてイルミを睨み付けた。

「っおい、無視すんなよ!」

 さすがに叫ばれると無視しかねたのか、イルミは鉄壁の無表情のままルークに目を向けた。兄視点では、そちらに視線を向けることすら億劫そうに見える。

「――煩い。オレと兄さんが話してるんだから邪魔しないでくれる」

「ルイは俺の護衛で、俺はルイの雇い主だ! 俺だって関係ある!」

 能面のような顔を向けられたルークは一瞬びびったものの、威勢良くイルミに噛み付く。護衛対象ながらあっぱれである。無鉄砲さ故の行動とはいえ、あからさまに不気味なイルミに対してそれができる一般人はそう多くない。

 するとルークの言葉に反応したイルミが、ほんのかすかに目を見開いた。

「……護衛? 兄さんが?」

 う、わ。何だか雲行きが怪しくなった気がする。イルミは一度俺に視線を戻すと、確認するように再びルークを見た。

「…………君の?」

「なんだよ」

 無表情ながら、疑わしいような反応をされていると感じたのだろう。ルークはイルミにぶっきらぼうな言葉を投げたが、またしてもイルミはそれを無視した。無視して彼は俺に話しかける。

「兄さん。どうして護衛任務なんて受けたの。ウチではそんな面倒な仕事、請け負ってないでしょ」

 完全に俺を咎める口調だった。確かにゾルディック家の家業は暗殺であって、護衛ではない。場合によっては請け負うこともあるかもしれないが、その可能性は高くないだろう。だが今のイルミからは、それ以外の何かを責められているように思える。

「だからっ、無視するなよ!」

「君って本当にガキだね。鬱陶しいな」

 またむっとして叫ぶルークに、イルミは少し眉をひそめた。相変わらず平坦な口調だが、彼にしては分かりやすく苛立った声色だった。

「でも君みたいな子ども、兄さんが放っとかないタイプだ。本当に邪魔」

 その言葉に、俺は咄嗟にイルミの動きを観察した。誰かに対して邪魔と言い放ったイルミは、呆気無く人を殺すことがある。俺の護衛対象であるルークもその餌食になるかもしれない。イルミが家族の仕事の邪魔をするのは考えがたいが、本業の暗殺ではない故に、その反感から手を掛ける可能性もゼロではない。

「万が一兄さんが絆されたらどうしてくれるの」

(……そっちか)

 続けられたイルミのセリフに、俺は納得した。イルミは、俺がルークに絆されて暗殺者をやめたがるとか、そういうことを恐れて嫌がっているのだ。俺はただでさえ暗殺者と教師という二足の草鞋を履いているので、イルミは余計に不安なのだろう。だがそんなことを知る由もないルークは、イルミからじわじわと発せられる気味の悪い空気(一種の殺気)に気圧されて後ずさった。

「な、なに言ってんだよ……」

「オレ達は」

「イルミ。それ以上は“家族内指令(インナーミッション)”と見做すぞ」

 イルミの言葉が「暗殺者なんだから」と続けられそうだったことと、これ以上放置するとルークが危険だったため、俺はイルミの視線からルークを隠す位置に立って口を挟んだ。“家族内指令”とはゾルディック家特有の行動で、家族間で意見が食い違った場合、あえて意見を統合せずに各々が自分のやり方を全力で通すことを指す。つまりは真剣勝負である。これは滅多なことでは口にしない言葉だ。

「これは俺の仕事だ。口出しするならそれ相応の対応をする」

「……兄さん。まさか、オレと戦う気? そんなに大事なの?」

 根本的に荒事を好まない俺が、訓練以外で家族と真剣勝負することはほぼない。ましてや、“家族内指令”を口にするのは皆無に等しい。だからイルミは驚いているのだろう。(無表情だが)動揺したイルミは、少し間を開けてからぽつりと言った。

「――早く終わらせて」

 イルミは殺気をしまうと、ルークから視線を外した。極力興味をなくそうとしているらしい。

 話が一旦終わったことを感じ取ったのか、俺の背後に居るルークのさらに後方にいたアニスが、ひそひそと俺に話しかけてきた。

「こ、こっわー。ルイさん、あの人本当に弟なの?」

 あの怖い子は本当に俺の弟なんです。





イルミ「兄さんの相手役に、オレより赤毛の奴が人気なのが許せないからテコ入れをしてみたよ。これで逆転できるよね」
ゾル兄「イル、ちゃんと企画の文章を読んでみなさい。CP投票だから。兄弟愛投票じゃないから」
イルミ「大して変わらないから大丈夫だよ。大切なのはオレが1番かどうかだから」
ゾル兄「変わるから。大切なのはそこじゃない」



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