更新履歴・日記



ルク兄さんとアニス
萌え 2012/10/09 21:41


・ルク兄さんとアニスでアニス視点
・序盤のケセドニア(=砂漠のど真ん中の街)
・兄アニというかルク兄+アニスというかルク兄←アニス?





 アニス・タトリンの目の前に、流星のように好物件の男が現れた。その名はルーク・フォン・ファブレ。顔良し・地位あり・お金持ちと3拍子揃っているだけではなく、ジェイド・カーティス大佐と口で渡り合えるくらいに頭が良い。おまけに性格まで良いときた。彼は誰に対しても(大佐やティア・グランツ響長に対しては時々微妙だが)穏やかで優しく、子どもが好きなのか特にイオンやアニスには親切に接してくれる。未来の金蔓という視点を抜きにしても好感を持てる人物だ。強いて欠点を挙げるとすれば、マルクト人の男性と比べると低めの身長や、それほど高くはない戦闘能力だろうか。しかしそれについても、身長はまだ17歳の彼には伸びる余地が残されているし、戦闘能力も職業軍人には及ばないというだけで、一般人よりは遥かに高い。つまり彼は明らかに“ 買い”なのだ。



 砂漠の中に佇む街ケセドニアで朝を迎えたアニスは、身支度を終えると主であり護衛対象である導師イオンを伴って宿の外へ出た。すると、他のメンバーは既に揃っていたらしく、全員がアニス達の方に振り向いた。アニスはぱあっと顔を輝かせ、お目当ての青年に両手を広げて突進した。

「ルーク様ぁ、おはようございますぅ!」

 勿論、ルークである。早朝からの熱いタックルに、彼は苦笑しながらも慣れた様子で応える。全身で飛びついたアニスを、彼はややたたらを踏みながらも受け止めた。アニスが青年の痩躯に腕を回すと、見かけは細くともそれなりに筋肉がついているのを感じ取れる。

「おはよう、アニス。イオンもおはよう」

「おはようございます、ルーク。それに皆さん」

 ルークがアニスとイオンに口を開くと、アニスの所業をまぶしそうに見てたイオンは、彼女の背後でぺこりと頭を下げた。

 ルークとイオンが貴族と導師にしては規格外なまでにおおらかであることは、アニスもよく分かっていた。アニスとて、飛びつく相手は選んでいる。今、アニスの周りにいる男(あるいは大人)達は、彼女が甘えるように飛びついてもそれを許してくれる者ばかりだ。見るからに触れただけで刎頚物の相手に擦り寄ることは、さすがにアニスもしない。

 アニスがべったりとルークに抱きついていたその時、不意にガングローブに包まれた指先がアニスの顔を通り過ぎた。その指はアニスが纏っている日除け兼砂除けの外套のフードを摘むと、それを目深に彼女の頭に被せた。

「ほら、ちゃんと被ってないと火傷するぞ」

 次いでフードの上からぽんぽんと頭を撫でられ、アニスはその優しい感触にうっとりとした。

 彼はアニス(とイオン)を明らかに子ども扱いしている。仕事や戦闘が絡まない間の彼は、これでもかとこちらを甘やかす。それはアニスに両親を思い出させたが、ルークの甘やかしは彼らと違って“代償”を想起させなかった。見返りが必要ない兄のような優しさは、生きるために大人にならざるを得なかったアニスをとろりと溶かした。

(ルーク様、年下趣味になってくれないかなぁ)

 ルークがアニスを子ども扱い――まるで妹のように気安く接してくれるせいで、アニスはルークを恋の相手というよりも兄のように見てしまう。だが、将来の玉の輿の相手として見ることに不足があるわけではない。彼がその気になってくれれば、アニスも笑顔で応じる自信があった。

(やっぱりここは、アニスちゃんが若い魅力でルーク様を落とさないとね!)

 アニスは内心でそう決意を新たにすると、ぐっと拳を握った。

 まずはティアの立派な胸より、アニスのささやかな胸に魅力を感じるように目覚めてもらわねばなるまい。アニスはルークに頭を撫でられながら、ぎゅむぎゅむと薄い体を青年に押し付けた。





 アニスちゃんテコ入れというより、単純に書きたくなったので書きました。基本的にちびっ子とお兄さんの戯れが好きなんです。



ガイ「……随分、アニス達を可愛がるんですね」
ルク兄「いやだってさ、公爵家に子どもなんて居ないだろ。だから余計にイオンとアニスを猫可愛がりしちゃって。あまり褒められたことじゃないとは分かってるんだけどな」
ガイ「……ルーク様が子ども好きだなんて、初めて知りましたよ」
ルク兄「まあ、言ってないし」
ガイ「……そうですね」
ルク兄(なんか怖いんだけどこの使用人!)



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