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結果的に原作は始まっても探偵はいずこへ
萌え 2023/07/17 22:59


・ゾル兄さん結果論シリーズ
・成り行きで江戸川コナンがやっぱり誕生する話





 千葉県に著作権の都合上ネズミの王国がない代わりに、東都にはトロピカルランドなる遊園地がある。別に南国被れの王国ではないが、トロピカルなランドである。それがどうしたかというと、うちの新一が蘭ちゃんと今朝からデートに出かけた目的地なのだ。そのため、今朝から昼までカラッとした陽気だったというのに、夕方からぐずり出した空模様には思わず同情してしまう。せっかくのテーマパークデートなのだから、傘のことを気にせず遊びたかっただろうに。いや、ここは相合傘を狙えるチャンスか? ……新一にそんなことが出来るとはあまり思えない。普通に傘を二つ買って終わる未来が待っているのではなかろうか。

 そんな休日の夕暮れのことだった。無数の雨音の隙間から、ガシャンと小さな金属音がゾルディック生まれの鋭敏な耳に届く。俺が新聞から顔を上げて少し丁寧に周囲の気配を探ると、何者かの生命力(オーラ)が意識の網に引っかかった。殺気は感じられず、むしろ弱々しさが気になる。諸伏を狙う刺客とは思えずとも、そういう輩が餌として放り出してきた可能性も否めない。一応、諸伏が同居を始めてから俺は最優先が工藤一家、その次に諸伏を護るように優作さんから申し付けられている。この場面で諸伏の安全を確保するよう動くのは俺の仕事だ。俺一人なら既に現場に向かっているかもしれないが、もう少し慎重に対応する必要がある。

「ルイ、どうした?」

 俺は諸伏を片手で制し、本気で意識の網を広げた。念能力者としては精々中堅止まりで、探索特化型でもない俺の“円”はさほど広げられないが、その範囲外でも暗殺者として鍛えられた俺自身の感覚である程度は気配を追えるのだ。工藤邸の周辺を探った俺は、門前の気配以外に怪しい存在がいないことを確認した。

「門の辺りに人の気配がする」

 元々大らかな性格なのか、俺が突拍子のないことを言い出しても「そうなのか」でさらっと済ませるようになった諸伏に、念のため身を隠しておくように告げた俺は、傘を片手に玄関から外に出た。フェイタンのような仕込みのないただの傘でも、オーラを纏わせれば殺傷能力のある武器になる。正直、ナイフ以上の長物は普段使わないので手に馴染まないが、使えないわけでもない。外は雨であるし、まあ何かに使えればいいかくらいの軽い気持ちで手にしただけだ。

 夕暮れ時もそろそろ終わりを告げ、雨雲で月の光も閉ざされた頃。傘をさして何気ない仕草で俺は門の外を見に行った。

 ――土砂降りの雨の中、ずぶ濡れの子どもが門の前に蹲っていた件について。

(ひょわ……)

 動揺し過ぎて内心で変な声出たわ。少年の後頭部にぴょこんと生えてるヘタには滅茶苦茶見覚えがあるし、埋もれている大人用の衣服にも見覚えがある。もっと言えば、このシーンにも見覚えがある。何か役者が足りない気がするが、盛大に面倒臭いことが始まってることは確実に分かる。

 俺はだぼだぼの衣服ごと少年を抱え上げ、慌てて工藤邸に引っ込んだ。俺が引っ込むのとほぼ同時に、誰かがバシャバシャと足音を立てながら隣家に入っていくのが分かる――あっこれ阿笠博士じゃん。そうだよ足りない役者は阿笠博士だ。うっかり博士が見つける前にうちのおチビさんを回収してしまった。いやでも土砂降りの中に子どもを放置できないので仕方がない、よな? 阿笠博士相手なら後から状況を伝えても問題はないはずだ。多分。

 俺は後ろ手に玄関の鍵を閉めると、諸伏に隠れなくて大丈夫であると告げた。リビングの奥から姿を現した諸伏に、抱えている子どもを見せる。

「唯、うちの新一が子ども返りした」

「もう高校生なのに!?」

 ごめん言葉を盛大に間違ったわ。動揺、ここに極まれり。

 諸伏は目を白黒させながら駆け寄ってくると、俺の腕の中の子どもを見つめた。新一は相当消耗しているのか、俺に抱えられたままぐったりとしている。全く意識がないわけではないようで、紅葉のような手で俺の服を弱々しく掴んではいるが、それ以上の反応を見せない。濡れて白い額に貼り付いた黒い前髪を指で払ってやると、長い睫毛に縁どられた目元が露になった。目は伏せられているが、整った顔立ちであることは十分すぎるほど分かる。

「綺麗な顔してるなぁ。もしかして新一君の親戚か兄弟?」

「いや、新一が今朝着て行った服着てるし、新一本人じゃないか?」

「……は???」

 俺がゾルディックの長兄になることがあるのだから、高校生が小学生になることくらいありえる……という理屈が通る訳もないが、諸伏よりは不思議現象に耐性はある。平然とした俺の平静ではない言葉に、諸伏は目を白黒させた。諸伏は恐らく否定しようと口を開きかけたが、新一がむずかるように顔をしかめたので気を取り直したらしい。

「この子の身元はともかく、早く拭いてあげよう。このままだと風邪引くよ」

 そう言って諸伏が踵を返そうとしたタイミングで、ぱちっと新一の目が開いた。青い双眸がやたら綺麗なので、血統書付きの黒猫に見える。全世界の人さらいが欲しがりそうな美少年は、ちっちゃな手で俺のシャツを握り締めた。

「ルイ、聞いてくれよ! なんか妙なことになっちまって……」

 俺は諸伏と顔を見合わせた。ほら見ろ、やっぱりうちの新一じゃねぇか。





 何はともあれ、濡れ鼠の子どもをそのままで話ができるはずもなく、新一は俺の手によって風呂場に連行されて丸洗いの刑となった。その時点で既に新一は幼児に見合わない実に嫌そうな顔になっていたが、諸伏が引っ張り出してきた小学生時代の服一式を見てホウ酸団子を差し出されたネズミの顔になった。様子を見るに、衣服も嫌そうだがブリーフが一番嫌そうだった。うん……新一がブリーフからボクサーパンツに移行した時期を見守った一人として、気持ちは分からんでもない。だが俺の原作知識から推測するに、そうなったのは新一の自業自得である。甘んじてブリーフを履くが良い。

 湯上りでほかほかの新一は、休業中の暗殺者と公安刑事という地獄のような組み合わせによる尋問で、トロピカルランドで何があったのかを一から十まで吐かされた。なお、リビングのソファでの座り位置は新一の隣が諸伏、正面が俺である。恐らく新一は分かっていないが、暗殺者としてやる側でも受ける側でも拷問訓練を履修済みの俺が本気で尋問したら相当ヤバいし、本職の公安刑事の諸伏が本気で尋問してもやはり相当ヤバい筈である。つまり、諸伏が淹れたコーヒーでほこほことあったまりながら、身振り手振りを交えて元気に白状する余裕のある新一に対して俺も諸伏もなかなか甘いのだが、そこはそれ。今回については本人が最初から自己申告するつもりだったからと思っていただきたい。ここで新一が下手に隠す素振りを見せようものなら、それこそ俺と諸伏は二人がかりで脅しに掛かっていただろう。

 話が終盤になると、諸伏が灰色の猫目を見開いた。

「黒尽くめで長い銀髪の男だって!?」

「唯さん知ってるのか!?」

「――ちょっとな」

 それ、俺もちょっと(いや結構)知ってる奴じゃないかな。ジンとかジンとか、あとジンとかいう奴。一目見たら忘れられないジンニキ、特徴ありすぎでは。もしかするとそれは“キャラクターデザイン”としてそれだけ優秀ということなのかもしれない。犯罪者が目立つのはどうかと思うが。

 新一が半眼で諸伏を見上げる。

「ふーん? ……例えば“前職”の関係者とか?」

 諸伏はにこっと笑った。肯定も否定もしない態度に、じーっと諸伏を観察していた新一はやがてむすっとした顔になる。それに「まあまあ」と割って入った俺は、一応その黒尽くめの銀髪男の容姿を詳しく尋ねた。

「へえ。上から下まで黒い服に、腰まで伸ばした銀髪でご機嫌に遊園地……忍ぶ気あんのか?」

「そればかりは……本人の趣味としか……」

 うっかり想像したのか、諸伏がそっと目を俺から逸らす。かつてアニメで遊園地を満喫するジンを見たことがある俺としては、3Dになってしまったジンの姿が気になって仕方がない。今日が第一話だと気付いていれば、遊園地にいるリアルジンを眺めに行ったし、余計なことに首を突っ込む新一をとっ捕まえていたのに。

 俺と諸伏がそれぞれの事情で微妙な顔になっているのに気付かず、新一は真面目な表情で考えこもうとした。

「確かに……あの格好で遊園地でジェットコースターに乗るなんて、秘密裏の取引にしては目立ち過ぎる」

「まって新一君なにそれおもしろい」

 とうとう辛抱堪らんといった様子で諸伏がストップをかけた。分かるその気持ち。現実にやられると面白過ぎる。

「乗ってたのか? ジェットコースターに? 黒尽くめで?」

「乗ってたぜ。銀髪の野郎といかついサングラスの野郎が」

 諸伏は顔を覆って膝から崩れ落ちた。相当面白かったらしい。確かにあの絵面はあまりにもシュールである。もし某所のスプラッシュ何とかのように、滝落ちする時に記念撮影されるシステムだったら、俺は絶対に写真を焼き増ししてもらうだろう。そしてそれを公安に横流しする。

 肩を震わせてどうにか笑いの波をやり過ごした諸伏は、全ての事情を聞き終えてから目を細めた。普段優し気な諸伏は、目を細めると元の猫目が手伝って鋭い目つきになるので印象が変わる。

「ところで新一君。怪しい人間をどうして一人で追いかけたのかな?」

 お説教タイムである。普段怒らない人間を怒らせるとすごく怖いアレだ。不穏な気配を感じ取った新一が、子猫の様に毛を逆立たせたように見えた。しかし子猫が怒れる諸伏ママに敵う筈もなく、五秒後にはソファの上で正座させられていた。俺の背後に隠れる間もなかった。

「助かったのは偶然だ。本当だったらそのまま死んでいたんだぞ!」

 灰色の双眸が新一を捉える。明らかに心配を掛けていたことを実感したのか、新一は肩をすぼめて「……ごめん」と謝った。しょんぼりする新一に追い打ちを掛けたくはないが、言わなければならないこともあるので俺は口を開いた。

「それに、助かったと決まったわけでもないしな」

「……なんでだよ。そりゃ、小さくなっちまったけど」

「毒殺したはずの新一の死体が見つからないと知られたらどうなると思う?」

 新一がハッと息をのむ。そう、工藤新一殺人未遂事件はまだ完全に終わっていない。諸伏も頷いた。

「奴らならこの家に調べに来るだろうな」

「……唯は新一を連れてすぐにでもここを離れた方がいいな。少なくとも、ほとぼりが冷めるまでは」

 いつほとぼりが冷めるのかは分かったものではないが、やむをえまい。

「ルイはどうするんだよ」

「俺はここに残るよ。何年も専属の家事手伝いをしているから、いない方がおかしい。新一たちはできれば優作さん達のところに逃げて欲しいけど……」

 何しろ公式チート様である。何なら全部丸投げしたい。しかしそうもいかないのだ。諸伏も俺と同じ意見のようで、首を横に振った。

「アメリカに避難するのは難しいぞ。新一君のパスポートが使えないし、このタイミングで優作さん達が動けば必ず組織の目に付く。むしろ安易に優作さん達と接触する方が危険だ」

「そうだよな。かと言って“そっち”に保護してもらうのも……唯には悪いが、今の新一は出来る限り知られたくないからちょっとな」

 そもそも、人間をまるっと隠せるほど公安の伝手が使えるのなら、公安刑事の諸伏はここにいない。さらには別の問題もある。諸伏は分かっているようだが、新一は首を傾げているので説明が必要か。新一は頭が良い割に、自分自身のことに無頓着な面もあるからだろう。

「あのな。今の新一は“若返りの薬”を飲んだようなモンだぞ。例えそれが偶然の結果だとしても、情報が漏れたらどんな大金積んででも欲しがる奴が出てくるし、なんだったらお前を“バラして”でも研究したい奴も出てくる筈だ」

「……そうだな。初動を間違えば逃げ場がなくなる。しっかり根回しをした上で保護しないと、この国が新一君の不利益になるかもしれない。新一君の身柄を確保するために、家族や友人を押さえられる可能性だってある」

 国という規模で話をされてさすがに堪えたのか、あるいは周囲の人間を引き合いに出されたからか、新一が真っ青になった。あどけない顔でそんな表情をされるととても痛々しくて見ていられない。しかしながら、この世界のジャンルがラブコメ推理漫画(仮)ということを差っ引いて考えると、なかなか大ごとになるので仕方がないのだ。諸伏も俺と似たようなことを考えたのか、ふと表情を緩めて新一の丸い頭を撫でた。

「大丈夫。新一君はオレたちが守るよ」

 諸伏の凄いところは、こういうことを言ってもあまり新一が反発しないところである。現に、すっかり萎れた新一は素直に頷いている。俺が似たようなことを言った場合、二回に一回くらいは「守られなくても俺はできる!」とか何とか言い返してくるのだ。……人徳の差か?

 ドツボにハマりそうな気配を察した俺は、思考を切り替えて諸伏と新一を見た。

「……優作さんに判断を仰ぐ。何にせよ唯、すぐに荷物をまとめてくれ。いつでも出られるようにした方が良い。新一も唯と一緒に出るつもりで準備するんだ。うっかり名前が書いてある物を持ち出すなよ?」

 子どもの持ち物といえば名前が書いてあるのがざらなので、そこから身バレしないようにして欲しい。

 ひとまず優作さんと状況を共有して今後の方針くらいは立てておこうと結論が出たタイミングで、工藤邸の固定電話が鳴り出した。どうやら蘭ちゃんからの電話のようだ。俺は息をひそめた二人に目配せをしてから受話器を上げた。

「はい、ルイです。蘭ちゃん、どうしたんだ?」

『夜分にすみません。ルイさん、新一は帰ってきましたか?』

 俺は蘭ちゃんと連絡先を交換していない。というのも、ヤキモチ焼きの新一がぶすくれるからである。それに今までは知らなくても特に困らなかったので、何だかんだでここまで過ごしてきた。だからこそ工藤邸の固定電話に連絡が来たのだろう。

『遊園地で分かれたっきり、連絡も取れなくて……』

(……戻ってないことにした方が、後で帳尻合わせ出来るな)

 不安で揺れる蘭ちゃんの声色をよそに、俺はそんな打算的なことを考えていた。

 組織の視点で言えば、工藤新一は遊園地で死亡したことになる。もし俺が「戻ってきたけどすぐに家を飛び出していった」と言い訳した場合、死んだ人間が一度帰宅したことになるので辻褄が合わない。組織の人間が新一の周囲にどう接触するか分からない以上、新一の足取りは遊園地に行った以降を下手に設定しない方が良いだろう。

「こっちにも帰ってきていないんだ。新一のことだから、また何か興味のあることを見付けてすっ飛んでいったんだろうけれど」

『……もう、新一ってば。またルイさん達に迷惑かけて』

 怒ったような口調になった蘭ちゃんは、だが少しだけほっとしたような声色になった。新一なら大丈夫、といった返答を得られてひとまずは安心したのだろう。だが彼女は家族以外では新一と一番親しい間柄と言っても過言ではないし、日常生活においては新一よりもマメなので、あまり新一が姿をくらませていると再び心配して動き出すだろう。彼女の心配が再燃する前に、誤魔化す方法を考えておかねばなるまい。俺は内心でため息をつきながら話をまとめ、どうにか穏便に受話器を置いた。

(原作だったら新一が奔放というか……迂闊というか……蘭ちゃんと結構連絡取ってた気がするけど)

 日本全国が知ってる修学旅行で蘭姉ちゃんとイチャイチャ事件があるくらいだが、現状でそんなことをさせられるはずもない(そもそも高校生に戻るための解毒薬が得られるかも分からない)。行きたいとか言い出したらさすがに尻叩きの刑である。それ以前に、まだ存在しない蝶ネクタイ型変声機を使って蘭姉ちゃんと電話で定期連絡、などという真似は絶対に阻止だ。

(遊園地以降の新一の足取りをロストさせつつ、周囲にあまり違和感を抱かせない方法……)

 俺と諸伏が首を突っ込んでいるせいで、何やら原作より面倒臭いことになっている気がする。少なくとも、原作の様に成り行き任せで組織の人間との接触を神回避するなんてことは期待できないだろう。仮に接触した場合、諸伏がいるせいで新一が単独で鉢合わせるよりも悲惨なことになりかねない。これから無理矢理原作の様に話を持っていこうとしても、既に役者が……

(ってウッワァー!! このままだと眠りの小五郎が消滅するんじゃねぇか!?)

 消滅確定である。何しろ、名探偵毛利小五郎は江戸川コナンがいてこそ成り立つ人物であり、コナンが蘭ちゃんと同居しないのならそこで終了だ。少年探偵団だって誕生しないし、怪盗キッド……はアレはアレで別漫画の主人公だから元気にやってるか。そういえば灰原哀ちゃんはどうなるんだ? もう駄目だ何がどうなるのかさっぱり分からない。

 半泣きになりそうな声を堪えながらなんとか唯と新一を夜逃げ準備に追いやった俺は、もう完全に自分の手に負えない事態に震え上がった。

(助けて、優作えも〜ん!)

 困った時の公式チート。俺は泣きの一手でスマホに手を伸ばすのだった。





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これでゾル兄さん結果論シリーズはラストになります。警察学校組が全員生存しているので、原作より背負い込んでない降谷さんのスペックが落ちますが、公式チート優作さんが序盤からバックに付いている上に諸伏+日本警察の救世主がセットでいるのでお釣りがくると思います。普段の事件は捜査一課に頼れる兄貴の班長がいるし、劇場版時空でも爆処コンビがいるので難易度下がりそう。

ゾル兄さんは原作のコナンが如何にして組織の追跡を神回避したのか分からないので、景光さんと意見出し合いながら警戒した結果ドシリアスに。

蘭姉ちゃんは原作と違って工藤邸まで来ません。原作と違ってゾル兄さんが家にいることを知っているから行く前に電話で確認します。結果的に蘭姉ちゃん家に預かられるルートが消滅しました。既にお手伝いさんが二人もいるからしょうがない。

今後、工藤邸を調べに来た組織の下っ端(+志保ちゃん)を恐怖に陥れる、ホラーゲームの追跡者と化したゾル兄さんとか誕生するかもしれない。



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