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乙女マチと頭のネジ飛んだシャル
萌え 2012/10/29 23:31


・ハンター世界のどこかの室内
・マチとシャルナークの会話(兄さん不在)
・マチ→兄さん←シャル
・シャルナークが赤裸々に残念
・シャルナークが兄さんにいろいろやってる
・マチ被害者





 やや埃っぽいソファで横になったまま携帯を操作しているシャルナークは、ごろんとだらしなく寝返りを打って、顔をマチに向けた。

「マチってさ、×××のこと好きだよね」

 言葉こそ疑問形であるが、発音は断定。シャルナークの眼差しは確信に満ちていた。素っ気なくとんでもない発言をする彼に、マチは思わず盛大に顔を引き攣らせた。

「は、はあっ!? あんた、いきなり何を言い出すんだい!?」

「クールなマチらしくないその反応が答えを物語ってるよねぇ」

 派手な反応をするマチに大して、シャルナークは大きなため息を吐いた。珍しくどこか物憂げに見える彼の様子に、文句を言おうとしたマチは言葉を慎む。シャルナークが何の脈絡もない話題をふるのは今に始まったことではないが、仕事とは関係ないだろう内容でこのような雰囲気を醸し出すのはあまりない。他人の事情に深入りする性質ではないマチも、同じ団員の好か昔なじみの情からか、やや彼を案じた。

「やっぱりそうだよなぁ……どうしよう。オレ、さすがにマチ相手は気が引けるな……」

 だがウジウジと悩む相手を忍耐強く待ち続けるほど優しくはないマチは、眉間にしわを寄せてシャルナークを焚き付けた。

「グダグダしてないでさっさと言いな」

「――うん。黙ってる方がもっと気分悪いし、言っとくね」

 するとシャルナークはあっさりと悩むのをやめ、上半身を起こした。

「オレも×××が割りと本気で欲しくなっちゃったんだよね」

「…………は?」

 それはマチにとって意味不明なセリフだった。欲しいとはどういう意味で言われているのだろうか。だが、前置きとしてマチの気持ちを抉り出したのだ、推測は難しくない。

 マチが理解しそこねたと思ったのか(正確には無意識に理解を拒んだという方が正しい)、シャルナークはわざわざ言い直した。

「オレ、×××相手ならバイになれるみたい」

 マチは今度こそ言葉を失った。

 彼女が知る限り、シャルナークは異性愛者である。甘いマスクとすらりと伸びた高い身長、豊富な知識から生まれる巧みな話術を存分に使い、多くの女性を落としてきたことはマチもよく知っている。その彼が同性を相手にしたことなど1度もないし、そんな素振りも見せたことがない。それが一体どういうことなのか。

「あ、×××は普通に女の子が好きだからその点は大丈夫。何やっても“俺は女の子が好きなんだー”って騒いでたし」

 さらりと告げられたセリフに、マチはぴたりと静止した。“何やっても”とは、つまりシャルナークは×××に何をしたのか。想像するととんでもない事実に行き当たりそうだとマチの勘が告げる。彼女の勘はよく当たるが、今回ばかりは当たって欲しくない。

「さすがにオレもマチには多少遠慮するからさ、一緒にしようとかは言わないけど。……実行したら×××の反応が面白そうなんだよねぇ。あーでも、×××がマチにべたべたし過ぎるのもつまんないし」

 だから、“何”を“一緒に”しようというのか。マチの背筋にぞわぞわと嫌なものが這った。

「何はともあれ、頑張って×××を落としてね。他人に取られるのは好きじゃないけど、団員だったらオレも我慢できそうだし。本命でも共有できるかも」

「……………………そもそも、何であんたはそんな話をしたんだい」

 マチは半眼でシャルナークを睨みながら尋ねた。すると彼はあっけらかんと答えた。

「だってさあ、もしマチが×××を落とした時になってオレとのことを知ったら、さすがに気にするじゃん。だったら今のうちに申告しておこうかなと思って」

「タイミングの問題かい!?」

 その答えに、マチは思わず近くに転がっていた椅子をシャルナークに投げつけた。





 こんなシャルは嫌だ。主にマチと兄さんが。そしてあらぬことをマチに知られてしまった兄さん涙目。



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