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適性を見誤ったトレーナー(仮)
萌え 2020/02/25 01:30


・ポケモン剣盾に突っ込んでみた
・ゾル兄さん:ガラルの姿
・ポケモンのチョイスは完全に趣味
・一部、原作で絡みがない(はず)のキャラたちがいる
・ゾル兄さんのリアクションがとてもおとこのこ





 テオさんに勧誘されてホイホイとモデルになることを決めた俺は今、ナックルシティに住んでいる。ナックルシティは、当初俺がいたエンジンシティからワイルドエリアを挟んだ北にある。エンジンシティと同じくらいの中規模都市であり、縦に長い形をしたガラル地方のちょうど中心辺りにあるらしい。赤レンガ調のエンジンシティとはまた雰囲気が違い、堅牢な城のように見えるナックルシティジムを中心とした華やかな街だ。ただ、どちらも城塞都市のような造りをしているのは、レベルの高い危険なポケモンが闊歩するワイルドエリアと接しているからだという。

 都市間は列車で繋がっており、俺はテオさんと一緒にそれに乗ることができたので、ワイルドエリアを馬鹿正直に徒歩で突っ切らずに済んだ。列車の内装はなかなか現代的で、俺が知る電車と遜色なかったので、動力は電気なのだろうか。ただ、それは知っていて当たり前そうな知識だったので、今のところ誰にも聞けてはいない。

 俺はテオさんの家に居候という形でひとまず落ち着いている。ある程度の金が溜まったら一人暮らしをする予定だが、それはまだまだ先になりそうだ。というのも、流されるままにモデルを始めたツケを早速支払わされているからである。

「うーん……」

 宣材写真を撮る流れで、俺の色々な写真を撮りたいと言われミロカロスプロダクションの小スタジオに連れていかれた俺は、そこでテオさんにうんうんと唸られていた。原因が分かり切っている俺は、ただただ引き攣り笑顔を浮かべる。ド素人で申し訳ない、としか俺には言えない。

 モデルと一口に言っても何種類もあるが、俺の仕事はファッションモデル(スチールモデルともいうらしい)にするつもりだという。それは事務所に所属し、広告や雑誌をメインに働くモデルだ。もちろん、座っていれば勝手に仕事が入ってくるようなことはなく、まずはオーディションを受けて合格する必要がある。そのための写真を撮る段階で、俺は躓いていたのだ。

「ルイ君、素材は間違いなく良いんだ。良いんだけど……」

 デジタルカメラと思しきもののデータを何枚も見ながら、テオさんは眉を情けなく八の字にした。それからちらりと俺を窺う。

「もしかして、撮られるの、苦手?」

「そういうわけではないですけど、慣れてはないですね」

 俺はハンター世界では泣く子も黙るゾルディック一族の長兄である。ゾルディック家の人間だという名目で写真を撮られれば、それなりの値段で市場に出回るようなご身分だったので、当然ながら撮られ慣れているわけがない。むしろ家族の中では最も避けるのが俺である。それはゾルディック家の人間だと知られたくない以上に、勤めている中学校の数学教師とゾルディックの暗殺者が同一人物であると一致させないためだ。中学校では避けていてもどうしても写真を撮らなければならない瞬間が必ずあるので、そちらで撮られるのを妥協するなら、暗殺者サイドで撮られるのは何があっても避けなければならない。

「一から十まで全部指示したポーズはいいけど、自由にって言うと途端に……不自然に……」

 確かに、ポーズを細かく指定されればその通りにするので、一見するとそれなりの写真が撮れる。しかしあくまで“それなり”であるし、「○○をイメージして」など抽象的な指示が挟まれるとからきし駄目になる。正直な話、どうしていいのか分からなくなるのだ。ゾルディックの暗殺者としての俺が磨いてきたのは“見られない”技術であって、魅せる技術ではないので余計に慣れないのだろう。学校での授業とは違い、純粋に俺自身をガン見されるというのも腹の据わりが悪い。

「それ以外は本当に良いんだよ! 見た目は僕が探していたタイプど真ん中だし、どんなスケジュールでもこなせる体力がありそうし、誰とでも仲良くなってくれるし、勤務態度も真面目だし。なにより、只者じゃない雰囲気がある。それなのに……」

「……すみません」

 俺もここまで自分が駄目だと思わなかった。モデルを舐めてた。雑誌や広告を堂々と飾る彼らが、ド素人な俺が太刀打ちできる程度の努力でモデルをやっているわけがないのだ。俺にはないスキルを必死に磨いているからこそ、彼らはあんなにキラキラとしているのだろう。

 だが、俺をエンジンシティから引っ張ってきたテオさんは、そこで俺を見捨てるのではなくニッコリとした。ド素人をスカウトすると決めた時点で、最初から上手くいかないことは百も承知だったのかもしれない。

「君に足りないのは表現力だ。これからモデルとして大成するには、必要不可欠だよ。表現力を磨くレッスン、たくさんしようね」

 とは言われたものの、レッスンとてただで受けられるものではない。テオさんが衣食住含めてかなりの部分で面倒を見てくれる時点で相当破格の扱いだが、当然ながら何から何までとはならない。結局は自分自身の向上心と、それをきちんと育てられる環境に近付けるための課金が必要になる。俺も一度頷いた以上、大成できるかどうかは別として、テオさんが納得できるくらいの努力はするべきだろう。

 そんなわけで、まともな宣材写真を撮る以前の段階で蹴躓いた俺は、自分の表現力を磨くためのレッスン代と日々の生活費を稼ぐために、めいっぱいのアルバイトに励んでいる。アルバイトをするにあたって、テオさんに拾われたことは非常に大きい。住所不定無職の俺に住所が出来たし、実入りが良くて後ろ暗くない仕事を紹介してもらえるからだ。

 今の俺の一番のアルバイト先は、ナックルシティにある高級ブティックのドアマンだ。そこでは厳格な服装指定があるため、前髪は整髪料でオールバックに整え、後ろ髪は丁寧に三つ編み(リボンを使ってうなじで結うこともある)、シックなダークスーツに白い手袋を嵌めた姿で、上品に微笑んでお客様を店内にご案内している。ちなみに、ミミッキュとヒトモシはボールに収まった状態で、ベルトから吊り下げるタイプのボールホルダー装備で俺と一緒にいる。この世界は何をするにもポケモンと一緒なのが当たり前なので、ドアマンがボールを装備していても不自然ではないようだ。

 このアルバイトはテオさんから紹介されたのだが、非常に金払いが良くて助かる。加えて今のところ、文盲でもどうにかなっていることも。なお、商品の配置や人名は死ぬ気で覚えた。札を見ても分からないので、一度聞いたらその場で完全に覚えるかメモを取るしかないのだ。ただ、道を聞かれたらほぼ確実に詰むので(地理は頭に入れても、地名や店名などはどうしても穴ができるため、目的地や目印の説明が難しい)、それだけは頼まれないことを切に願う毎日である。その代わり、用心棒的な仕事ならいくらでもするので勘弁して欲しい。出会い頭でイワークやらサイドンやらをキメて来なければ概ね何でも対応できる……はずだ。いや、物量で攻められるよりも、フェアリータイプだとかいう謎を極めた方向性で突っ込まれる方が危ないかもしれない。フェアリーって何だよ。妖精は童話の中で充分……あ、うちのお嬢さん(ミミッキュ)もフェアリータイプ持ちだった。

 ドアマンのアルバイトはモデルの人間が多いらしく、彼らの顔が総じていい理由を思い知った。モデルがやっているなら顔もスタイルもいいに決まっている。そしてモデルが多いが故に、業界の噂もよく流れてくる。現在26歳の俺は、モデルの中では年長の方らしい。テオさんには年齢不詳で行こうと言われているのだが、彼はどこを目指しているのだろうか。まあ、テオさんは与り知らぬことだが、念能力者な上に仕事柄、常にオーラを身に纏っている俺は老化が非能力者と比べてかなり遅いはずなので、案外年齢不詳設定はぴったりだったりする。

 そんなある日であった。俺はアルバイト中にお客様という名の神々しさに溢れた花園に出会った。

(お……おお……なんという……)

 来店されたお姉さま(というには少々お年を召されているが)のお姿を拝見した俺は、思わず標準装備の上品な微笑み(仮)のまま、内心で言葉を失いそうになる。

(なんという……神に約束された豊穣の大地……)

 物理的な包容力がヤバい。胸部の戦闘力が滅多にお目に掛かれないレベルだ。

 来店されたお客様は二名。一人は、まだ十代半ばに見える少女だ。Tシャツにジーンズという地味な服装に包まれた体は発展途上だが、しっかりと鍛えられたしなやかな筋肉が目に付くので華奢とは言い切れない。銀のボブへアと同色の猫目、褐色の肌のコントラストが何とも魅力的な優良健康少女である。体幹がしっかりした立ち姿なので、何らかのスポーツか武術をやっているのだろう。幼さが残る顔立ちながら、ピンと伸びる大人びた背筋が美しい。そしてもう一人は、俺が言葉を失った原因である。腰を越える長さの真っ白なロングヘアに白い肌、凍った湖のような澄んだ目が美しい熟女だ。彼女は真っ白なニットワンピースを着ているのだが、それがぴったりと体に張り付いているので魅惑のボディラインが丸わかりである。いわゆるぽっちゃり系なのだが、その凹凸がエグイ。出るとこが出まくった豊満すぎるワガママボディなのだ。思わず両手でお支えしたくなるようなメロンなのだが、やったら間違いなくクビになるので絶対に申し出ない。

 どうやら、豊穣の熟女に健康少女が連れられてきたらしく、熟女は少女にお洒落な服を着せたがっているようだ。一方の少女は恥じらうような戸惑うような、そんな顔をしていた。

「せっかくナックルシティに来たんだから、見て回らなきゃ損だよ。あたしゃ、あんたが着飾ったところを見てみたいけれどねぇ」

「そんな……武の道にお洒落など不要です。メロンさんにお気を遣っていただいたのは嬉しいですが……」

(名前までメロンかよ!!!)

 俺は神の采配に内心でグッジョブポーズを挙げ、店内を見て回る二人組にガラス張りのドア越しで心からの温かい微笑みを向けた。内心を知られなければ温かいだけである。知られたら多分通報される。

「まぁー素直なもんだねぇ! あたしの息子なんて反抗期真っ盛りだってのに」

(しかも人妻要素追加)

 メロンさんのえっちな要素がストップ高なのだが。薄い本が分厚くなるしかない。口調や様子から肝っ玉母さん要素もありそうなのはプラスなのかマイナスなのか。何にせよ息子さんごめんなさい。死んでもこの思考は外に出さないので許してください。

 そんな、実の息子からしたらクソ過ぎる思考に罰が当たったのだろうか。俺の暗殺者としての鋭敏な感覚が殺気を感じ取った。この世界に来てからは全く感じなかった久しいそれに、自分の瞳孔が一気に開くのが分かる。殺気は複数あり、どうやら俺がいる場所とはちょうど反対側の店の裏手から感じられた。それが無遠慮に店内に入り込むのを察した俺は、その気配たちが店外を回り込んで店の正面に来る気配がないことを確かめると、するりと店内に身を滑り込ませた。

 店内に入った時点で、覆面を被った男がレジ係の店員に銃を突き付けていた。数人いた客やスタッフは突然の出来事に瞠目して硬直し、震えている。ただ、メロンさんと少女の二人は鋭い目で強盗犯を睨みつけていた。彼女たちは後ろ手にモンスターボールを持っていたが、店員が銃を突きつけられていたので、ポケモンを出しあぐねているようだ。随分と気丈な様子なので、二人ともポケモントレーナーなのかもしれない。

 レジ係の青年が、震える手でレジを開けようとしている。青年の足元では、強盗犯の手持ちらしいニャー……ニャー、ス? 俺が知っているニャースにしては顔面周りがモシャッとしていて、こう……なんというかワイルドなバーバリアン系のお顔立ちのニャース(仮)がピョンピョンと跳ねていた。ポケモンを犯罪に同道させるとはとんだクソ強盗である。トレーナーが悪いと、ポケモンは自分が悪いことをしている認識すら持てないだろう。

 俺は店の奥から更に誰か――恐らく強盗犯の仲間がやってくる気配を捉え、敢えて自分の気配を分かりやすく晒した。

「――申し訳ございませんが」

 そして、ゆっくりと強盗犯と青年の元へ歩み寄りながら声を掛ける。

「店内への武器の持ち込みとスタッフへの暴力行為はご遠慮いただいております」

「なんだテメエ! 止まれ!」

 強盗犯の荒げた声で、青年が細く悲鳴を上げる。

「ただちに武器を手放して投降してください」

「黙れ、殺すぞ!」

 俺に銃口が向き、店内に取り残された客が怯えた声を上げる。俺と強盗犯の距離は約3m。一見するとこちらに向けられた銃は俺が知るものと大差なさそうなので、間違いなく有効射程内だ。俺はそれを知りながら、意味深に視線を店の奥に向けた。すると、それにつられた強盗犯が一瞬、俺が見た方を確認する。その一瞬で充分だった。

 キルアの神速(カンムル)には遠く及ばないものの、稲妻のように踏み込み、一気に強盗犯との距離をゼロにする。懐に入り込み、伸ばした左腕で銃を握る男の右肘を確保、銃口を床に下げさせた。次いで踏み込みの勢いを加えて繰り出した右の掌底で強盗犯の顎を打ち据え、脳を揺らして行動不能に追い込む。素早く奪い取った拳銃の構造は幸いにも分かりやすかったため、セーフティを掛けてレジテーブルに置いた。

「――拘束」

 さらには踏み込みと同時に呟いた俺の指示を正確に聞き取り、ミミッキュが動いた。強盗犯の視線を逸らした一瞬の隙に俺はボールを横へ投げ、ミミッキュを陳列棚に隠す位置に出していたのだ。もちろん、ボールの開閉音はするものの、そちらを見る頃には俺の指示を受けたミミッキュは動き出しており捉えられない。死角から滑り寄った影が大きな手を形成し、ニャースの体を一気に床へ抑え込んだ。これはミミッキュが元から覚えていた“かげうち”という技の応用である。“かげうち”は先制攻撃に優れた技で、自分の影を伸ばして相手の背後に回り込み攻撃するものだ。その攻撃を抑え込む動きに変えたり、周囲の影を利用してフェイントを掛けたりできるよう練習したのがこの成果である。ただ、攻撃する一瞬だけ影を出せば良い本来の技と違い、影を出し続ける必要がある拘束の方が疲れるようなので、早めに決着をつけてやらなければならない。

 なお余談だが、俺のミミッキュは被っている布を(本人と交渉して)定期的に洗濯しているので、とても清潔である。最初は渋られまくったが、「俺と一緒におめかししよう」と言ったらあっさりOKが出た。可愛すぎか。俺はミミッキュのために、生まれて初めてフローラルな香りがする柔軟剤を買った。お陰様でフローラルなうちのお嬢さんは、高級ブティックに出しても煙たがられない素敵なレディである。ちなみに、布を洗濯中のミミッキュは、俺の懐にすっぽり収まった状態で絶対に出で来ない。俺の懐に入れなかったら、布団に包まって出てこない。そんなところも滅茶苦茶可愛い。

 ミミッキュの可愛さはともかく、今は強盗である。一人沈めたタイミングで、きっちり計算通りにもう一人が店の奥から来たので、昏倒させた強盗犯Aを床に素早く寝かせる動きのまま姿勢を低くし、強盗犯Bの視界から消える。強盗犯Bが状況を掴み切れずに戸惑っているところを、低い姿勢から接近しつつ伸び上がり、掌底で顎を打ち上げる。声すら出すことなく意識を失った強盗犯Bの手から拳銃をもぎ取った俺は、やはりセーフティを掛けてレジテーブルに置いた。周囲の気配を探るに、強盗犯は二人だけのようだ。店の裏口にも何やら気配があるが、殺気はないので店の誰かか、もしくはポケモンかもしれない。少なくとも、俺が急いでそちらに向かう必要はないだろう。

 俺は強盗犯Bの手首を自分の髪紐で後ろ手に縛り、Aの方はネクタイを使って同じようにすると、未だにミミッキュに抑え込まれてジタバタとしているニャース(仮)の傍でしゃがみ込んだ。さすがに強盗を黙らせる間は真顔になっていたので、できる限り優しい顔を作る。

「さて。君のトレーナーは悪いことをしたから捕まえたんだけど、君も大人しくしてもらえないかな? 誰かを脅してお金を奪い取るのはやってはいけないことだ」

 ポケモンは総じて賢い。個体差や種族差はあれど、こちらの言葉を理解してくれる。そのため、問答無用で傷付けるのではなく、話しかけてみようと思ったのだ。そう思ったのは、ミミッキュをはじめとした人と暮らすポケモンたちが、皆仲良くしているからだ。

「大人しくしてくれるなら、これ以上何もしない。君だって、悪いことがしたいわけじゃないだろう?」

 そう言うと、ニャース(仮)はしょんぼりとした様子で大人しくなった。ミミッキュの拘束を外してやると、気絶している強盗犯Aにぴったりと張り付いて動かなくなる。トレーナーはどうあれ、ニャース(仮)は彼のことが好きらしい。強引に黙らせた俺の罪悪感が刺激される光景だ。

 だがいつまでもそうしているわけにもいかず、俺は立ち上がった。レジテーブルの裏に設置してある通報ボタンを押しつつ、店内の客に呼びかける。

「お騒がせして申し訳ございません、お客様方」

 にこりとして店内を見渡す。……待って。この状況でスマホロトムをこっそりレジに向けてる奴がいるんだけど。スマホロトムは手から離れて浮かぶことができるので、服に紛れてこちらにレンズならぬ顔を向けているようだ。この状況でスマホって現代っ子過ぎるわ。心臓に剛毛でも生えてるのだろうか。写真か動画かちょっと気になるが、警察を呼んだので証拠として提出してもらうかもしれない。

「ただいま、警察に通報致しました。警察が到着するまで、二階のレストスペースでお寛ぎください」

 犯人は秒殺したが、被害者である客をすぐに帰宅させていいか判断がつかないため、とりあえず警察が来るまで店内で待ってもらうことにする。細かい対応はこの後、店長に報告がてら仰ぐのが良いだろう。俺はレジ係の青年の背に手をやって支えながら、他のスタッフが客を誘導するのを見守った。ミミッキュは褒めて褒めてとばかりに俺にすり寄ってきたので、空いていた手で撫でまくった。

 その時、あの優良健康美少女が誘導から外れ、俺の方へ駆け寄ってきた。何だろうかと目を遣ると、間近までやって来た彼女は、銀の猫目をキラキラとさせて俺を見上げた。傍で見ると、彼女の睫毛がマッチ棒が乗りそうなくらい長いことが分かる。

「すごい……!」

 メロンさんと店内の服を見ているときは借りてきた猫のようだった彼女は、褐色の肌を上気させている。まるで恋する乙女のような表情で、控えめに言ってとても可愛い。彼女は自分の胸の前で両手を握り締めると、憧憬の眼差しでで俺に尋ねた。

「あの! 今の技、わたしにもできますか!?」

 え、そっち?



+ + +



出会い頭イワーク:そもそも店頭にイワーク突っ込ませるほどガラル地方は修羅の国ではない。
素直なサイトウ:両親の厳しい教えに忠実という意味で。メロンさんちは親子喧嘩しょっちゅうしてそう。
メロンとサイトウがナックルシティにいる理由:もうすぐガラルリーグがあるとか多分そんな理由。



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