特攻隊弓士プロット+α



2010/10/29 18:17
1945/05
■5月中旬■
「お前は変わらんな」
「あんたは変わったよ」
「そうか。そうだろうな……」
ちびりちびりと酒を傾けるアーチャーとそれを眺める士郎。
実家にいた頃はほんのわずか遊んでくれる以外はずっと勉強していた姿しかしらない士郎にとって、新鮮に見える。
そして話しているうちに、いつかの失望感が消えていることに気付く。
「もう遅いから帰るよ」
「寝ていけばいいだろう」
「どこでだよ」
「このベッドが見えないのか?」
寝台は一つしかない、大きさは十分だが仮にも上官である男と一緒のベッドを使うのは気が引けるし、何より士郎の嫌な過去を思い出させる。
「あんたと同じ寝台なんざ、死んでも御免だ」
「昔は泣いてすがりついて来ていたのに、可愛くない奴だ」
聞き捨てならない言葉を追求する士郎にアーチャーはあっさりと答える。
「お前が夜泣きをしていただろう?煩いから黙らせてやろうと思ってお前の部屋に行くと
一緒に寝てくれ一人は嫌だ、と駄々をこねていた。仕方なく添い寝をしてやれば、翌朝には私が勝手に布団を取ったと大泣きだ」
「あれは……お前が厠帰りに寝ぼけてって、お義母さんが」
「お前のちっぽけな自尊心を壊さぬように言っただけだろう。第一、お前と私の部屋では二間も違う、寝ぼけたからと言って間違えるはずが無い」
酔ったアーチャーの馬鹿力に首元を緩められ、ベルトを抜き取られ、抱き人形のようにベッドに押しこまれる士郎。
殆ど眠れないまま朝を迎える羽目になる。


<新古>


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テーマ「人外ファンタジー」
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