「自分、今日も可愛えなあ」

名字名前は悩んでいた。ミス四天宝寺としてこの学校にその名を轟かせる彼女こそ名字名前。成績優秀、才色兼備。そんな彼女には悩みがある。連日続く告白を始めとして、交友関係や進路等々。しかしそんな悩みをクソ以下と思える程に、近頃ずば抜けて彼女の頭痛を酷くしている存在がいた。クラスメイトの白石蔵之助である。

「謙也今すぐ白石くんをどうにかして」
「む、無理や俺が殺される」

幼なじみの忍足謙也に助けを求めるも意味を成さない。名前の口から思わず溜息が零れる。机に肘を着き溜息を零す、そんな些細な仕草でさえ様になり、男子生徒を虜にしてしまう。男子生徒は彼女へのアプローチとしてまず彼女の身なりを褒める。それは別に構わない。しかし

「なあなあ名字さんタイツ引き裂いてもええ?」
「謙也ヘルプ」
「し、白石いい加減にせんとキレるで!名前が!」
「名字さんになら打たれても本望や」
「白石くん気持ち悪い」

名前と同じく文武両道で才色兼備、そして四天宝寺テニス部部長白石蔵之助の豹変振りには流石の謙也も引いていた。勿論名前も引いていた。そして名前も白石の存在には手を焼いていたのだ。

「名字さん今日も綺麗やなあ」
「ありがとう」
「てことでタイツ破いてもええ?」
「だから何でタイツやねん!」
「じゃあ制服なら構わんの?」
「んなわけあるか!」

そーゆう問題ちゃうやろ!という謙也の鋭いツッコミを耳にしながら名前は再び溜息を吐いた。

彼女を褒める身なりの対象の一つとして脚がある。白くスラッとした程良く細長い名前の脚。何故か白石は彼女の脚を一際よく褒めるのだ。

「ごめん謙也。私ちょっと」
「ん?名字さん何処行くん?」
「白石くんには関係ないわ」

そう言って席から立ち上がりのろのろと歩き出す名前。

「ちょ、なあ!名字さん何処行ったん!謙也!」
「あーはいはい」
「け!ん!や!」
「白石…何や三年になってからうるさなったな」










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