西くんは何でも出来る。わたしが学校の日はわたしよりも早く起きて朝からご飯を作ってくれたり(初めてそれを見た朝は何事かと思った)、わたしのいない間に部屋の掃除をしていてくれたり。も、勿論、わたしのクローゼットとか個人的な場所は手つかずだけれど。

西くんがわたしの部屋にやって来てから一週間以上が経った。わたしはたまに、彼に質問するのだけれど、やっぱり曖昧にはぐらかすだけで、何も教えてくれなかった。


「名前、ご飯食べよっ」
「あ、うん」


友達が手前の椅子を引き、座る。


(…)


男の子の、というか彼氏でもない他人である同居人の存在を友達に打ち明けることも出来るはずがない。西くんが来てから一週間。僚艦にも友達にも見つかることはなく安心してはいるけれど、一方でいつ見つかるか不安な気持ちもあったりする。


すると、向かい側に座る友達がわたしのお弁当をまじまじと見つめながら言った。


「名前って、最近学食じゃないんだねえ」
「えっ」
「だって毎日お弁当じゃん!」


ま、お弁当派のわたしにとっては名前と食べれるから嬉しいんだけどねー。そう言った友達の言葉に内心ひやりとする。何故ならわたしは本来あまり料理ができない。かく言う今日のお弁当も、西くんが作ってくれたものだ。


「えっと、」
「あ、ごめん!昼休みに電話しろって彼氏が言ってたから、ちょっと行ってくるね」
「あ、」


パタパタと走り去っていく友達の後ろ姿を見送りながら、ふぅと息をついた。


(…それにしても、西くん料理うまいなあ。よくしてたのかな)


今日帰ったら聞いてみよう。そんなことを思いながら、わたしは西くんが作ったほんのり甘い味付けの卵焼きを頬張った。







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -