※アルビオン女王エステルとその護衛トレスという設定です!









ガゥン、

喜ばしくない事だが、余りにも聞き慣れてしまった音に頭が痛くなる。


「損害評価報告を…」
「ちょっとトレスったら!街中で撃ってはいけないと言ったでしょう!?」
「否定。卿の身に害が及ぶ場合にのみ、発砲許可が出ている。」
「それはそうだけど…!」

顔の横を弾丸が掠め、そこから意識を手放した男が情けなく壁にもたれ掛かっていた。
この男は先程エステルに声を掛けお茶に誘っていたのだが、暫くして少しの間席を外していたトレスがその現場を目撃し発砲され、今に至る。



「まったく…ここまでしなくても良いのに」

周りに人が居なかったのでまだ良かったが、もし居たら今頃此処には人だかりが出来てお忍びで来た彼女もすぐにアルビオン女王だとバレてしまっていただろう。
街に来る事自体快く思っていなかったのでワザとやっているのか知らないが彼は一々大袈裟だ、と愚痴を零す。


「否定。俺の役目は卿を護衛する事だ。可能な限り危険要因は即排除するようプログラムされている。」
「そ、それも分かっているけど…」

だがそれでバレてしまっては困るのだ。
何故なら今回のお忍びの本当の目的はトレスと街で買い物することで、早々に帰るなどしたくはなかった。
血ではなく皮下循環剤が通う彼には理解不能かもしれないが、こういった時間はとても貴重なもので大事にすべきだとエステルは考えていた。

彼があらゆる最先端の技術を搭載しているなら、そこの所を理解できる"乙女心理解装置"なんてものがあっても可笑しくはない、むしろ付けて欲しいと最近切に願っている。多分、一生無理だろうが。




「…それを覚悟で挑んでいるのだけどね。」
「?」
「まぁ兎に角行きましょう。トレス!」
「肯定」


お詫びのつもりで男の傍らに、先程その香りが気に入って買った紅茶の茶葉の缶詰めを置いてその場を離れた。


ごめんなさい、まだ彼とのデートが始まったばかりなの。
そう心の中で謝って







*****
日記から移したもの。
書いててタメ口なエステルが新鮮だった。トレス君は鈍感ですが無自覚できゅんとする事言います。そして無自覚でエステルに恋してます。そんなトレエスが好きだ(^q^)
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