※色々おかしいです。ごめんなさい!
近くに潜むイミテーションもあらかた片付け、この長距離の移動と絶え間なく続く戦いによって疲弊しきった身体を休ませるべく、ささやかではあるが各々の時間を過ごそうと再びイミテーションが出現し囲まれるのを防ぐ為に離れた場所で休憩をとっていた。
ティファもその一人であったが今のところ後衛にまわり、さほど疲れていなかった彼女は体力の消耗が激しい仲間へポーションを渡しにあちこちを歩き回っていた。
その最中、前衛の仲間の背中を見つけ駆け寄れば、おおよそこの空間には不釣り合いに思われる鮮やかな色を認めて呟く。
「…綺麗」
「!」
「あ、ごめん。驚かせた?」
野薔薇(正確には野薔薇でないが、)の持ち主―フリオニールはティファが居ることに気付くと纏う防具を面白いぐらいに音を立てて、手に持っていたものを慌てて隠した。
しかし彼女の瞳からあの赤が離れるはずもなく
「何で隠すの?」
「いや…その、女々しいだろう。花なんか持ってて。」
顔を僅かに染め上げて瞳を右往左往させる彼に、優しく微笑む。
「そんなことない、素敵だよ。…ねぇ、私この世界に来てそんなに綺麗な花見たの初めてなの。だからもっとよく見せて?」
「あ、あぁ…」
まだ恥ずかしげなフリオニールは、おずおずと一輪の薔薇を手渡す。
手折られても尚、しゃんと伸びている茎をそっと持ち、生き生きとした赤を示す花びらを散らさぬように優しく触れる。
儚くも圧倒的な存在感を持つそれを見ていると、何だか励まされた気がした。
「フリオニールは、」
「えっ」
「のばらの咲く世界が夢なんだよね?」
「…そうだが…」
何故知っているんだ?
そう言いたげな目にティファは、
「聞いちゃった。」
ふふ、と笑ってみせる。
「私ね、すごくその夢に…何か…感じる所があるの…」
薔薇をフリオニールに返すと、ぽつりと言った。
「元の世界のこと…よく覚えてないけど、貴方と同じような事を言っていた人が居た気がするの。」
「俺と?」
「うん…」
ティファは大きな石段に腰掛け、神々しく降り注ぐ光を眺めながら、一つひとつ心の中のものを引っ張り出して紡ぐ。
元の世界の記憶を殆ど持たないティファにとって、それが一体誰なのか、なんの記憶であったのかも分からないが古い宝物のように大切で懐かしいものだった。
思い出せない事が、悔しくなるぐらいに
「きっと私にとって大切な人だった。」
「……。」
「私の憧れで、大好きな人…」
ぼんやりと頭に浮かぶ、自分を呼ぶ声。
笑うと揺れる栗色の髪が眩しくて、心が温まったのを覚えている。
ちぐはぐで曖昧な思い出ではあるものの、それだけでも充分過ぎるぐらい元の世界に居た頃の自身の"彼女"への想いで溢れた。
だから直感で悟る。大切な人だったのだと
だが、同時に脳裏にちらつくのは悲劇。
祈りを捧げる姿、銀色の鋭い光、そして…眠るように目を閉じた"彼女"の顔。
輪郭ですら思い出せない筈なのに喉からこみ上げる感情に涙が出そうになるのは、もう戻らないことを知っていたからかもしれない。
ティファの瞳は此処でないどこかを映し、その顔は悲しくも切なかった。
(…あぁ、彼女も俺と同じなのか)
それを何となく感じ取ったフリオニールは形にならない想いを口にはせず、ただ美しい横顔を見つめるだけだった。
「…ごめん、なんか暗くなっちゃった。」
「いや、いいんだ…ティファこそ大丈夫か?」
「うん、話したらスッキリした。ありがと!」
座ったまま爪先から指先までぐっと伸ばすと彼女の言った事に嘘はないようで、先程とは違って清々しい表情をしていた。
それにフリオニールは心の中で安堵する。
暫く穏やかな時間が流れ、どこからともなくライトニングがティファを呼ぶ声が聞こえると「さっきの話皆には内緒ね。」と言って立ち上がった。
「ティファ」
「ん、何?」
「また話したくなったら…いつでも聞くから、言ってくれ。」
「うん…フリオニールもね」
「あぁ」
ふわりと花が綻ぶように微笑むと、この場を去った。
この戦いが終わって彼女が大切な人が居なくなってしまった世界に帰ることになっても、どうか彼女には笑っていて欲しい。
生きる世界の違う俺には願う事しか出来ないが、切にそう思った。
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いやぁ…本当に色々ツッコミ所満載だぜ。でも良いんだ。私は楽しかったから←
ティファが言ってるのはエアリスの事です。お花いっぱい計画。実はこれフリティの皮を被ったエアティ文だったり…嫌いな方いたらごめんなさい!
私が一粒で二度美味しくなれば良いと思ってやっちまいました。あんま美味くないけど。
なんかもう最近じゃ妄想しすぎてZの世界にフリオがやって来ます。うふふ…その設定でも書きたい^^