幼少期クラティ。ありがちなネタです








「あ」



ふと見やると窓の外に蜂蜜色の髪が見えた。
彼はいつもならもう少し遅い時間に出かけているが、今日はどうやら違うらしい。

早々に予定の狂ってしまったティファは、慌てて外に出た。




「クラウド!」
「!」
「お…おはよう」
「……おはよう」

ニブル山の方へ向かおうとするクラウドを呼び止めるように挨拶すれば、どこかぎこちなく返される。



「今日は…良い天気だねっ」
「…うん」
「えっと、クラウドはどこかに行くの?」
「あぁ…ちょっと、な」
「そうなんだ…じゃあ忙しいよね……」
「…まぁ」

お気に入りの水色のワンピースの裾をぎゅっと握って俯くティファ。怪訝に思ったクラウドが顔を覗き込もうとすると勢い良く上げられ瞳がかち合う。
それに驚いたのか何かを言おうとしていたティファの唇は、一度閉じられ言葉を飲み込むとにっこり笑って「そっか、頑張ってね」とだけ言って家に戻っていった。





「……何だったんだ?」

彼女と朝から話せたからなのか、それとも今からする事がバレたのかと思ってドキドキしているのか分からないが、もう一度だけティファの家を見てニブル山の方へと踵を返した。












***********











「ふぅ…」
ティファがキッチンのお皿を片付けてひと息つくと、窓の外はもう真っ赤な夕焼けに染まっていた。
友達が帰った途端に誕生日パーティーの装飾が酷く寂しげに吊されている様に見えて言いようのない寂寥感に襲われる。



クラウドにも、来て欲しかったな…


片付けられた机に顔を乗せてぼんやりと外を眺める。



忙しそうだったし仕方ないよね。

でも今日が私の誕生日だってことだけでも言えば良かった。


そうすれば、もしかしたら「おめでとう」って言ってくれたかもしれない。



後悔だけが次々に浮かぶが今更クラウドに言いに行く勇気も無い。今朝のあのやり取りにしても昨晩からクラウドを今日の誕生日パーティーに誘う計画を練って、来てもらえるパターン、断られたパターンなどシュミレーションを行った上で実行したものだ。そんなティファがいきなりまた会いに行くなんて出来るわけなかった。

彼女の中で彼という存在がどういった立ち位置なのかまだ明確になってはいないが、プレゼントが欲しいのでなく、ただ純粋に彼に祝ってもらえたら良かったのだ。
それだけに余計、後悔の念が強かった。



その時、窓枠の下端に朝と同じ色が掠めた。



クラウ、ド…?

特有のツンツンとした(チョコボ)頭が窓枠の下に一度消え、すぐにまた現れるとタッタッという音と共にどこかに行ってしまったようだ。

不思議に思って外のクラウドの居た窓の辺りに出る。


何だったんだろう…?

去ってしまったクラウドに寂しさを感じて、俯く。




すると一番に花が視界に入ってきた。

ちょうど先程クラウドが居た所、少しだけ歪ながらも様々な彩りの小さな花で作られた花輪と指輪、そして小さなカードがそっと置いてあった。




"誕生日おめでとう、ティファ"


差し出し人の名前は書かれていなかったが、恐らく彼であろう。確信を持ってティファは拙い字で書かれたカードをもう一度視線でなぞれば、ついさっきまでの沈んだ気分が浮上するのが自分でも分かった。





花輪を頭に乗せると柔らかな風に乗せられた花の香りが鼻腔をくすぐる。



明日、クラウドのお誕生日がいつだか聞かなきゃ



花で作られた指輪に小さな唇を寄せ、明日の事を考えて優しく微笑んだ。












*******
ティファはぴば第2弾!1日遅れですが。
いやぁ…何かありがちな話になってしまった(-"-;)
本当はクラウドくんのニブル山での奮闘記も書きたかったけど無理だった!てへっ←
何故クラウドがティファの誕生日を知っていたかと言うと、村の子が話していたのを聞いていたのです。クラウドはティファに関してのアンテナ半端ないですから^^
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