竜を象った兜を取れば、さらさらと柔らかい金色の髪が零れる。

そうして現れた、初めて見るカインの素顔。

「わ…」
「……何だ。」



正直、驚いた。
普段は寡黙でめったに笑わないし(と言っても見えるのは口元だけだったけど)、そもそも感情を余り表に出す人じゃなかったから…失礼かもしれないけど、もっと険しい表情の怖い顔かも、なんて思ってたのに。



「…綺麗」

優しい色合いの髪に繊細な顔立ち。
そして柔らかな光を宿した瞳には、"怖い"というイメージのひと欠片も見当たらない。

良い意味で予想を裏切られ、思わず呟いてしまった。



「…あまり見るな。」
「え、ぁ…ごめんね」

照れたようにカインが顔を逸らして初めて自分が彼の顔を思いっきり見つめていた事に気が付き、何だか自分も恥ずかしくなって俯く。



「……。」
「………。」

そして当然訪れる、気まずい沈黙。

持て余したそれを埋めるように、カインが私の抱える兜に手を伸ばす。


また、被っちゃうのかな…



そう思うと自然に力が入った。


「……。」
「………。」
「……ティファ、離せ」
「………。」


結構な力で奪い返そうとするカイン。
いつの間にか伸ばした腕が二本になっている。



返さなきゃいけないのは分かってる。
でも、でもその前にこれだけは伝えたいの

「…ティファ、いいかげんに」
「あのね!」

本当は言うのがちょっと恥ずかしいけど、言わなきゃカインは再びこの状況になるのを恐れて兜を取ってくれなくなるかもしれない。

だから、俯いた顔を上げてちゃんと言わなきゃ…―







「あのね!私カインの顔も、髪も、好き!」
「……。」
「だ、だから…また、見せてくれる?」



最初吃驚した顔をしていた彼の顔が徐々に赤くなっていくのを見て、つられて私も更に熱を帯びていくのが分かる。


あれ、もしかして私とんでもないこと言っちゃったんじゃない?
なんて思ったけど、


「……分かっ、た」

確かにそう言った彼の言葉に不思議とどうでも良くなって、兜を差し出しはにかんだ。



竜騎士の約束

拙い約束だけれど、言って良かった。
そう思えたの








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ついにやってしまったカイン×ティファ。…だが後悔はしていない←
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