あれから暫くして、子供は外で遊ばせるのが一番というトモミの持論の元、3人は近くの公園へ来ていた。
とは言っても本当に小さな公園で砂場とすべり台とブランコがちょこんとあるだけだったが、こーすけは流石性格も似ているだけあって小さい頃の喜八郎と同様、終始砂場で穴を掘っていた。
「……。」
それはもう、黙々と。
加えていい年した男(喜八郎)も、その隣で同じように掘り続けていたものだから、周りの子供は若干引いていた。
「…あの、こーすけ君は何をしてるのかな?」
「きーにぃちゃんにおしえてもらった、たこつぼほってるの。」
「(お前か)」
「おや、トモミすごい顔だねぇ」
こーすけは満足のいく程度まで穴を掘ると、今度は穴を整え始めた。勿論その整え方も喜八郎直伝だ。
蛸壺掘り等と子供らしからぬ遊びだが、ぺたぺたと小さな手で一生懸命作るその姿はやはり可愛らしく、何だか微笑ましくなる。
自分にも子供が出来たら、きっとこんな風に何でも可愛く見えてしまうのだろう。とトモミは一人考えていた。
「可愛いですね、お子さんですか?」
「へっ?」
その声に自分の世界から一気に引き戻された。聞こえた方に顔を向ければ、こーすけより小さな男の子が砂山を作っているのをにこにこしながら見ている女の人が居た。恐らくその子の母親だろう。
トモミは先程の言葉にフリーズして咄嗟に答えられないでいた。
「そーです。私とトモミの子供でこーすけって言います。ね。」
「うん。」
「は!?」
「そう、随分お若いご夫婦なのねぇ。」
そこにすかさず喜八郎とこーすけが割って入る。
トモミは、はっとして我に帰るが時既に遅し。どうやらこの人には家族だとインプットされてしまったようだ。
「ちっ…違います!」
「おやまぁトモミったら照れちゃって。」「ちゃってー」
「うふふ、仲が良いのね。」
「こーすけはお父さんもお母さんも大好きだもの。ね。」
「うん。」
「あらあら。」
「……。」
否定してみるも予想通りの展開に。
(っていうか2人とも何でこんな意味の無い嘘つくのよ…)
トモミは心の中で本日三度目の溜め息をついた。
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まだ続く…