※大分昔の作品なので色々とアレですが…それでも良い方はどうぞ!








「れ……の…」


彼女のものともワインのものともつかない、悩ましげな香りを抱えた彼女がゆっくりとした動きで俺に縋り付いた。(誘ってんのか?)
いつになく積極的な彼女に興奮しつつ(ワイン万歳!)なるべく平静を装って優しく抱きしめた。


「ど、どうしたんだよ、と。(ヤベ、どもった)」
「あの、ね…」
「ん?(可愛い可愛い可愛い)」
「…やっぱり、なんでもない、や」


そんな訳ないだろう。




大きな瞳に今にも零れそうなほど涙を溜めながら(可愛い)その艶のある小さな唇を噛み締め(キスしてぇ)、折れそうな程細い肩を微かに震わせて(押し倒してぇ)何もないとは言わせない。
そもそも普段我を忘れる程飲まない彼女がこの状態なのだ、何かあるに決まっている。
正直そんなのお構いなしに彼女を頂いてしまいたいのが本音だが、愛しているが故にそれも出来ない。



理性と本能に挟まれながら目の前で俯く額にキスを贈る。


「…嘘は駄目だぞ、と」
「そんなこと…」
「じゃあなんでそんな顔してんだよ」
「こ、これは…ちょっと酔っちゃっただけだもん。」


畜生…可愛い。

だもん、てお前…!


「正直に言わないと…」
「……言わないと?」

「キスするぞ、と」








何故か、彼女が泣き出した。


…そんなに嫌だったのだろうか。(俺も泣きそうだぞ、と)



「…いや、その…悪い………泣かせるつもりは…(むしろ泣きたい)」
「ぃ………と…」
「…何?」
「いっつも、そんなこと言うの…?」
「…はい?」


俺の胸に収まってた顔を上げて涙で膨らんだ瞳で俺を睨んだ。(…あー泣き顔も可愛い)


「いつも…他の女の人にもそゆ、こと言うんでしょ…?」




「レノの、浮気者」






それだけ言って、また俯いた。




 他の女 浮気

2つの単語に漸く合点がいった俺は思わず口元に弧を描いた。



「……嫉妬、したのか?」
「ちっ…違うよ!」




耳元で囁けば只でさえ赤い顔が更に赤くなって返ってきた。そんな顔で言われたら否定も無意味なもんだが。

「違くないぞ、と」
「怒ってるの!」
「じゃあ、何で泣いてんだよ、と」
「だ、だって、レノが浮気なんてするから…!」
「おいおい…俺がそんな事すると思うのかよ?」
「……うん。」
「(ガーン…)ま、まぁ、誰に聞いたか知らねぇけど、そんなことするはずないだろ、と」
「………。」

返答を得られない彼女を覗き込めば、今にも泣き出しそうに呟いたのを確かに聞き取った。


「…本当?」



あぁ、本当に、何故この生き物はこんなにも愛らしいのか。




「ティファ」



緩慢な動作で顔をあげる彼女。
さぁ、どんな言葉をかけてやろうか。
どうすれば分かってもらえるのだろうか。
この内で滾る熱を。


「ティファ以外の女に、興味あるワケないだろ。」
「…嘘だもん。」

嘘だったら、良かったのかもしれない。
一人の女にこんなにも惚れ込まなければ、俺は苦労しなかったはずだ。(現にここまで来るのに余りにも多くの邪魔と障害があった)

それでも惚れてしまった。
しかも全くもって面倒な事に彼女以外、触れたいとも欲しいとも思わなくなった。

知らぬ間に俺は、ティファしか愛せなくなってしまったのだ。



「嘘じゃないぞ、と」
「嘘」
「じゃあ」


「証明してやるぞ、と」



太古の昔から引き継がれてきたそれは、確かに俺が人間であることを示すように身体中を脈々とめぐる。
自分にもまだこんな感情が残っていたのかと思う程の純粋で情熱的な想いを、灯したのはティファだ。

否定する方が難しいと思うのだが、彼女が不安でいるなら俺は出来得る限りの手段を使って示そう。








You don't yet know my love.



まずは手始めにキスを贈ろうか。

夜はまだ、始まったばかり







*******
なんだコレ…恥ずかしくて涙が出てきた…今と昔を比べて全然成長してないな!あっはっは←
ちなみにレノはここまでこぎ着けるのに本当に苦労しました。
チョコボ頭に殺されそうになるわ、相棒とぎくしゃくするわ、社長にやたら遠征の任務に行かされるわ、元タークスのガンマンに射撃されるわ、銀髪の変態による星痕症候群にかかるわ(え)…本当に大変でしたがその甲斐あってティファの心ゲーット!
レノは飄々としてるけど実はめちゃくちゃティファを想ってれば良い^^
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