硝子のように透けるブラウンの瞳に私はどのように映され、どのように中枢部へと伝えられているのだろう。
情報として捉えられ機械というフィルターを通した私は、無機物のように存在しているのだろうか。



「トレス神父…」



貴方と同じ、領域

生まれながらに人間だった私にはどうしたって到達出来ない領域に、貴方の中の私はいとも簡単に隣り合い共生しているだなんて。

嗚呼、羨ましい。
ならばせめて少しだけでも近付けたら



「シスターエステル・ブランシェ、」
「お願いします、少しだけ、もう少しだけ…こうさせて下さい。」


「…肯定。」


抱き締めた人工皮膚に覆われた機械の体は思いの外、柔らかい。

それでも矢張り、私が貴方と同じになれないように貴方も私と同じにはなれなかった。触れる事が出来るのに同じ次元に存在していなかった。
そんな事分かっていたのに。



「ありがとう、ございます。」


途方もない隔たりを感じながら、今日も私は尼僧にあるまじき感情を抱くのだった。






電脳世界に嫉妬



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