※成長+病んでる











先生って職業は厄介だわ。
生徒には平等に優しく厳しく、何でもかんでも平等平等。
人が一生のうちに誰かに注げる愛情の量はたかが知れてるんだから、そんなにいっぱいの生徒に等しく振り分けたら私の分なんて雀の涙程度になってしまうんじゃないかしら。


だからもし一瞬でも土井先生の意識を私だけに向けさせることが出来たなら、
それはきっと、私が死ぬ時。








「馬鹿なことを考えるんじゃない。」


頭を振る先生は至って冷静な大人の対応として呆れているようだけれど、私が自ら首筋に宛てた苦無を払い落とす準備はしてあるみたい。

そうよね、だって本気だもの



「私にとっては、馬鹿な事じゃないんですよ。」


少しだけ力を込めれば薄皮一枚、切れる感触がした。

もっと強くしたら真っ赤な血が先生にかかってしまうかもしれない。
赤の似合わない貴方だから、私は少し遠ざかる。それににじり寄る先生。

何だかいつもと逆で新鮮ね、などと冷静でいられる自分がそれだけ思い詰めているのだと今更ながらに確認した。



「土井先生にとって私はいつまでたっても生徒なんです。故に、いつまでたっても等しく愛情を注ぐ一人でしかいられない。」


それがどれだけ幸せなことで、どれだけ残酷なことか私は知っている。
だからこんな駄々をこねる子供のような行動に出てまでも、それをぶち壊そうと思ったのだ。

いや、それだけではない。


こっちの都合も考えずにただひたすらに恋しい、恋しいと言う身勝手な感情。
それに叶わぬ現実との折り合いをつける為、幾度となく自らの心に言い聞かせ続けてきたけれど
私は多分疲れてしまったのだと思う。


「私達は必要な時に心を捨てなければなりません。だから私は同じように捨てようとしました。貴方への…慕情を」


時に淡雪のように冷たく儚い、時に春の息吹きのように温かく力強い想いは一度でも身に刻まれてしまったら最後、消えるものではなかった。

それは忌まわしき烙印にも似て。



「知らなければ幸せだったんでしょうね。」

「トモミさん」

「でも、知らなければきっと不幸だった。」


後悔などしていなかった。
得たものは決して良いものばかりではなかったけれど、遅かれ早かれ死ぬことになるのならその為に死んでやろうじゃないの、と思える程の恋に出会えたのだから悪いものでも無い。


皮膚の下を廻る血液が、打ち震える。



「せんせい」

わたし、しあわせだったんですよ
あなたが愛してくれなくても、一人、しあわせでした

「土井半助せんせい」

惨めに幸せな私の我が儘に付き合わせてしまって本当にごめんなさい。
勿論両親には上手く言ってありますので、私が帰らなくとも心配はしないはずです。住んでいた長屋ももう出ましたし何もしなくて大丈夫ですよ。ただ私の死を見届けて欲しいだけで。
死体はこのまま放っておいても良いですから。でも、醜いでしょうからあまり見て欲しくはないのです。一応、死化粧はしておいたんですけど。

あぁそうそう最後に、これだけ



「ありがとう。」


大好きでした。ありがとう。







素敵な死に方(仮)



赤に染まった私が貴方の瞳の中で微笑んだ















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中2思考万歳\(^O^)/
あくまで(仮)です。
だから死ネタではないです。
続きは…upしようかどうか考え中!
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