※原作もDdFFも全く関係ありません!











音も無く降り積もる雪。


宙をたゆたう薄く白い息は手を伸ばせばその先から霧散していった。



「寒いな。」
「うん。」


村のはずれのだだっ広い雪原で年甲斐もなく仰向けに並んで寝転び、灰色の雲の何処からともなく舞い落ちる雪を2人して眺める。

こうしていると雪は何処から来て何処へ消えてゆくのか、まだ何ものにも染まっていない純粋な想像力だけで語り合った子供の頃を思い出す。


お世辞にも豊かとは言えない生活であったが、まろみを帯びた陽射しの中でやってくる明日に疑問も持たず、ただただ変わらぬ日々を信じていたあの頃。



「今年も一緒に居られたね。」
「…そうだな。」
「でもきっと…来年、は  」



出掛かった言葉をティファは飲み込んだ。
口に出してしまえば、今にも"迎え"が来てしまいそうで恐ろしかったから。

今まで何人もの若い女の村人を連れて行ってしまったあの漆黒の馬車は、死神や悪魔さながらに自分をカインから引き離してしまうのだと。
そうして、帰って来た者はいなかった。





「いっそ、このまま時が止まってしまえば良いのに。」

―離れ離れになるかもしれない明日なんて来なければ良い―


何度そう願ったか分からない。
けれど結局"その日"が延びただけで周りの友達は、一人、また一人と居なくなっていった。
逆らうことも出来ず、一筋の涙を残して故郷離れていく姿をティファは誰一人として忘れたことはない。いずれ彼女もそうなるのだ。




「…ティファ」


ティファはカインの呼ぶ声が好きだった。

彼女は気付いていないが、その優しく響く低い音はいつだって彼女の為に発せられるからだろう。
それは今も例外なく。




「明日はやってくる。」
「うん。」
「陽は昇り、沈む。これは抗いようのないことだ。」


きゅ、と雪が鳴いた。


残酷なまでに美しく日々は巡る。
例え明日という日が誰かにとって幸福となろうとも絶望となろうとも、生きとし生けるもの全てに等しくやってくるのだ。



「…分かってる。」

寒さからか、それとも別のものからか震える唇で肯定するが掠れて無音に消え入る。

だが彼には切なさを含んだ声が確かに届き、温度を奪われた彼女の指先を僅かな体温を纏った手で包み込んだ。


「それと同じように、俺は明日もお前の傍に居られる。」



ティファの薄い唇が、また小さく震えた。


「ずっと、傍に居る。」
「…うん。」
「だから心配するな。」


幼子をあやすように彼女の耳から語り掛け、じわりと染み込む。



いつもそうだった。

ティファの母が病で亡くなった時。
森で迷子になって帰れなくなった時。
初めて友達が連れて行かれてしまった時。
いつだって傍に居てくれたのはカインだった。




「ねぇ、カイン。」


ゆっくりと寝返りを打ち、向き合ったカインの顔に手を伸ばす。

太陽に愛された筈の彼の肌は今横たわっている雪に溶け込んでしまうのではないかと思う程白く、しかし、触れればそこにあった。
冷え切ってはいるが、確かな感触。


カインは此処に存在している。
傍に、居てくれている。

"ずっと"が不可能だとしても。
いつかやってくるその日までは



「ありがとう。」


凍えそうな孤独が融解するのを感じながら、儚すぎる幸せを噛み締めてティファは微笑んだ。






my one and only


寂しくても、恐ろしくても、
貴方とならきっと














********
恒例の後書きと言う名の解説&反省。

ティファとカインは同じ村に住んでいて、幼なじみです。しかしカインは諸事情により村はずれにある森の中の小屋に住んでますので、ティファ以外との村人の交流があまりありません。

そしてある年を境に行われるようになった国を挙げての"魔女狩り"の名の下、何故か彼等の村の若い娘達ばかりが次々と連れて行かれ(ここら辺は謎)、遂にティファも連れて行かれちゃいます。勿論今まで帰ってきた者は居ません。
そこでカインはティファを連れ戻す為、村を飛び出して行く。

…という話から始まるゲームがやりたい←
反省はしていない←←
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