「いけいけどんどーん!!」
「きゃあああぁぁ!」


今日も今日とて体育委員長、七松小平太の声が学園内に響く。
それを聞いて今日も平和だとのんびり日向ぼっこをする者も居れば、いつもと違ってやけに聞き覚えのあるくのたまの悲鳴が付属していることに気付いて何事だと様子を見に来る者も数人居た。
鍛錬の合間に珍しく木陰でうたた寝をしているところを起こされた食満留三郎は、その後者であった。


声のした方へ向かってみれば最早屍と化し地に伏す体育委員の面々。
彼等もどうやらあの暴君の被害者であるらしい。

「せ…先輩…」
「おぉ金吾、生きてたか!」

傍らに倒れていた屍一体、もとい一年は組の金吾がか細い声と共に奇跡の復活を遂げる。
この状況を正しく説明できる唯一の者として丁重に介抱していると、切羽詰まった顔で留三郎に懇願した。


「七松先輩を止めて下さい…!」
「は?」
「じゃないと、と、トモミちゃんが!」
「お、おい…落ち着け。」
「落ち着いてなんかいられませんよ!」

先輩である留三郎の胸ぐらを掴んで鼻息荒く迫る金吾の目はやや血走り気味で、今の状態の上にこの興奮具合では頭の血管が切れてしまうのではと危惧した留三郎は何とか宥めようとしたが、次の言葉を聞いてそれどころではなくなった。



「トモミちゃんが七松先輩のお嫁さんにされちゃうんです!」

「な、何イィ!?」










事の発端は半刻前。
例の如く体育委員長の急な呼び出しに委員達は嫌な予感を募らせながら仁王立ちで待ち構える小平太の下に集まった。

「先輩、今日は一体何を…?」

恐る恐る聞く四年の滝夜叉丸は、昨日実施された裏裏裏裏裏裏山までのマラソンが響いてるらしく心なしかげっそりとした面持ちだ。
他の委員達も何をやらされるのかと、手の平にじっとりとした汗を握って待つ。


だが告げられた言葉は予想外のものだった。












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長いので短めに切ってちょこちょこ進めます。
スーパー小平太タイムの始まりです!
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