愛情たっぷりに磨き上げられたユリコちゃんは見せつけんばかりに砲身を鈍く光らせる。


横でそれを先輩が満足気にうっとりとした表情で眺めているものだから、一番の恋人である筈の私は所詮先輩の"好きなものコレクション"の一部に過ぎないのではないか、いやむしろ私の順位はユリコちゃんよりずっと下なんじゃないだろうか、そんな思いに駆られる。

でなくば私とのデートが裏山へ彼女と一緒にデートなどとふざけたことにはならなかっただろうに。(現に今、私は放置されているし)


そう考えると自分ばかりが先輩を好きでいるのが馬鹿らしくなってきて、嫌いになろうかしらなんて案も浮かんだけれどそれこそ馬鹿らしい。
嫌いになれるはずがない、こんなにも好きなのだから。




「トモミ?」

私の思惑を知ってか知らずか、いつも以上に良い笑顔の先輩。
そうさせたのが彼女なのだと思うと何だか複雑で、それでもやっぱり先輩が笑顔なのは嬉しくて。



「三木ヱ門先輩」
「ん?」
「好きです」


悔しいから不意打ちで愛を囁いて抱き付いたら顔を赤くして慌て始めた愛しい人。

次第に落ち着き先程までユリコちゃんを磨いていた手が私の背中に回されれば、それは確かな熱を孕んで。


「私、も…好きだ」


耳朶を打つ言葉は私に向けられたもの。
今この瞬間、きっと先輩は私だけのもの。

私達を傍らでじっと眺めていることしかできない彼女を見て、ほくそ笑んだ。







あなたには、譲らない







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もはやトモ三木…
ありがちネタかもしれないですが書けて満足してます^^
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