「それで私、男の子になりたいって思ってたの。」
もう子供の頃の話だけど。
誰の誕生日でもないのにパーティーを開いて、そのどんちゃん騒ぎに疲れて寝てしまった隣のベッドのユフィを起こさないよう小声でティファが言った。
ベッドランプを灯して私と2人で寄り合えば、何だか内緒話をしてるみたいで楽しい。
内緒話って女の子の大好物よね。
「ふぅん。ティファが男の子…それって、良いかも、ね。」
「そうかなぁ?どうして?」
ぼんやりとしていて、お世辞にも綺麗とは言えないけど温かな灯りが覗き込む顔を照らした。
明暗をはっきりさせるその様が女の子であるティファにまろみを持たせ、影を作る長い睫毛に乗せた甘美が美しさを引き出していることを恐らくこの子は知らない。
「もしティファが男の子だったら、私、絶対恋人になりたいもの。」
「えっ…」
だから私も世間一般で言う、可愛らしい仕草で言ってみた。
それにちょっと恥ずかしげに頬を染める彼女は最高に美味しいお菓子のようで、あぁ、食べちゃいたい!
味見でほっぺたに唇を寄せれば、予想通りの甘さに酔いそうよ。
「もうっ、エアリスってばからかわないでよ。」
「ごめんごめん。だって、ティファが可愛すぎるんだもん。」
「そ、そんなことないよ。それにエアリスの方が…とっても、可愛いし。」
だめ、ほんとに
何でこの子はこんなに可愛いの?
「ティファ〜っ!!」
思わず暗がりのベッドへとティファを抱き締めて倒れ込んだ。
そうすれば(同じシャンプーを使ってる筈なのに何故か彼女は良い香りがする)髪からは花の香が薫る。私の好きな、香り。
「きゃっ…ちょっと、エアリス!ユフィが起きちゃう!」
「ティファも声、大きいよ?」
「あっ」
慌てて口元を押さえて耳を澄ませば聞こえるユフィの寝息に、2人で目を見合わせてクスクス笑う。
こんなこと男の子だったら、きっと出来なかった。
ううん、他にもいっぱい。
きらきら、ふわふわしてて、甘酸っぱい。
これだから女の子はやめられないわ。
「ね、ティファ、私ホントはね…ティファが女の子でも、男の子でも好きよ。」
「私も。」
「ふふっ、じゃあ今日はユフィに秘密で、2人一緒のベッドで寝ちゃう?」
「うん。」
仲良く体を沈ませたベッドが幸せの分だけ更に沈む。それにシーツを被せれば、私達だけの秘密の花園の出来上がり。
その中で彼女に届くように、ありったけの愛を込めて言霊を囁いた。
「ティファ、だぁい好き。」
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女の子同士は可愛くてしゃーないです。
ユフィも参加させたかったけどごめんね!兎に角ティファをひたすら愛でるエアリスが書きたかっただけ!