▼土井トモ(素敵な死に方、の続き)
包帯を首に幾重にも巻き付けた彼女の肌は驚くほど白く、透き通りそうなほど薄い。
細く開いた唇は死んでいるかのように色を失っているものの、そこから漏れる僅かな呼吸が確かに彼女の命を紡いでいた。
しかし、それはあまりに心許ない。
水面に浮かぶ葦の如く。
冷たすぎる頬に少しでも温かさを灯してやったら、もしかするとこの世に繋ぎ留めることが出来るかもしれないと寄せてはみたが彼女は私を、生きることを拒絶するかのように冷たいままだった。
私は彼女に取り返しのつかないことをしてしまった。
彼女の為と思っていたことが彼女をここまで追いやった。それどころか多分、始めから彼女の為ですらなかった。
私は臆病で狡い人間だから、傷付くのが怖くて隠して蓋をしてしまう。理由を付けて自らを正当化する。遠ざける。
それはじわじわと確実に彼女を苦しめ、傷付けていた。
結局は私は自分を守りたかっただけなのだ。
それでも、もし君が名前を呼んでくれたなら私は…―
そこまで考えて、言い訳じみた自分の思考に一層嫌気が差す。
ならば何故それを彼女に伝えなかった、と
「トモミさん…」
遅過ぎる懺悔を聞いてくれるのを願って彼女の手を握ることしか出来ないのが、酷く歯痒かった。
彼女はまだ、目覚めない。
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この土井先生は偽者だ…←
でも、こういう部分があったら超たぎる