▼鉢→トモ
「ふぎゃっ」
自分で言うのもなんだけど、色気もへったくれもない声が部屋に響いた。
でも、だって、しょうがないでしょ?
「あらら、トモミちゃん顔真っ赤。」
くすくすと妖しく笑う鉢屋先輩は壁に縫い付けるように、私を追い詰めた。
抗いたいのは山々だが先程解かれた腰紐の所為で、そちらよりも重力に従って落ちそうになる袴を押さえる方に回ってしまう。
そうしてその両腕さえも捕らえられてしまって、いよいよ危険な状況になってきた
脇腹から胸にかけて無遠慮に這う先輩の手付きは、いやらしく勿体を付けるようで。
「トモミは誰にもやらないよ。」
「せ、せんぱ い」
「だから奪ってあげる。」
細められた瞳に狂気を見た気がした。
(誰かのものになるなんて、許さない)