※ライトとクラウドが双子で以下略設定。10章グラン=パルス着いたくらい(ちなみにクラウドさんの衣装はAC仕様です)。




「さて、新たに召喚獣を手に入れたは良いが…」
新たな召喚獣アレキサンダーを手に入れ、パーティの結束が強まった所でクラウドはふむ、と顎に手を当て思考した。
「新たに食べ物でも調達してくるか」
何か凄い提案を云いそうな雰囲気だっただけに、サッズは思い切りすっこけた。このパーティの唯一の常識人で年長者だ。クラウドの不思議発言は今に始まったことではないが、いよいよ佳境に向かっているというのに今頃腹ごしらえか!と叫びたい気持ちでいっぱいだった。スノウはそんなクラウドに同調するように賛成、と大きく頷く。
「あの、僕なら大丈夫です…ほんとに」
「ホープ、子供が無理をするな。軍隊の基本は団体行動だ、一人が足を引っ張れば皆に迷惑がかかる。だから今は、飯を食って力をつけて休め。お前の魔法は、誰もが頼りにしているからな」
穏やかにそう云えば、ホープは顔を僅かに赤らめて、小さく頷いた。物分かりの良いホープのことだ、ほんとうは解っているのだろう。ライトはそんな少年を見てそっと胸を撫で下ろした。たまには良いことを言うではないか、と。双子の兄の背をじっと見つめた。
「とりあえず、俺とスノウとで食料を調達してくる。皆は此処で待っていてくれ。サッズ、皆を頼む」
「おう、気をつけてな」
行ってらっしゃーい、とヴァニラの元気な声を聞きながら二人は出発した。


* * * *


数十分後。
クラウド達が戻ってきた。
ファングとヴァニラとライト以外のメンバー(要はホープとサッズ)が顔を思いっきりしかめた。スノウが抱えて持ってきた南国のようなフルーツは良い。普通に食欲をそそられる。しかしクラウドが持ってきたのは、グラン=パルスの空を飛んでいる怪鳥の類、要するにモンスターだ。皮膚は爬虫類のように硬い鱗に覆われ、原色を使った色とりどりな羽を毟ったとしても美味そうな肉にはとてもじゃないが見えない。ずっと隣に居たスノウは何も突っ込まなかったのだろうか。サッズとホープの視線に気づいたスノウは、諦めたようにふるふると首を振った。
(この鳥持って帰る前は、カラメルプリンをデザートに持ってこうとしたんだぜ…?)
口パクでスノウはそう告げる。嗚呼、と悲しくなくとも涙が自然に出た。
「なぁ、これをウチらが食うのか?」
「グラン=パルスに住んでたけどモンスター食べるなんて発想なかったね〜」
「ヴァニラさん、突っ込む所そこじゃないと思います…」
ファングは呆れ、ヴァニラは呑気に笑っている。そんな中、ライトがふとブレイズエッジを取り出し、クラウドの側へ近付いた。
「何処から食うんだ?」
(ええええ!?)
とサッズとホープはライトを同時に見た。スノウも諦めたように遠くを見つめている。クラウドはライトに淡々と答えた。
「首周りは比較的柔らかい。とりあえず炙って羽を毟ってからそれぞれ取り分けよう」
クラウドは、ふとサッズを見つめる。ぎくりとしたサッズは、何だか嫌な予感がした。
「サッズ」
「断る!」
「まだ何も云ってないぞ」
「大方予想はつく!ていうか兄ちゃんも姉ちゃんも正気か!?そのモンスターは毒攻撃をしてくるやつだぞ!?そんなのを胃袋に入れたら、」
「その時はヴァニラとホープのエスナに頼れば良い」
さらりと、クラウドの代わりにライトが答える。本気で食べるつもりらしい。サッズにはこの双子がモンスターよりも恐ろしい物に見えて仕様がなかった。
「サッズ、ブリュンヒルデの炎でこいつを調度良く炙ってくれ。後の調理は俺がやる」
ずい、と真顔でクラウドが脚を持ち上げ差し出す。もう断った所で話は聞いてもらえないのは解った。サッズは涙ながらに従った。諦めたらそこで試合終了だよ、というフレーズが頭に過ぎったが、時には諦めも肝心だと、サッズは強く思った。


* * * *


「軍に居た頃は、餓えないように何でも食えと言われてその通り何でも口にした。人肉に思考がいってしまったらそれまでだ」
「そうじゃないだけ、マシに思った方が良い」
双子が何か云っている。だが聞いているのはエスナをかけているホープだけで、それ以外の全員は泡を噴いて失神していた。
ホープは思った。猛毒を含むモンスターの鶏肉を平気な顔で食べているこの双子の兄妹だけは、絶対に敵に回してはいけない、と。







※ちなみにホープが鶏肉を口にしなかったのは全力でお腹の調子が悪いといって拒否をしたから。





2010/07/20


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