※現代


(…痛い)
溜まりに溜まっていた快楽を発散した後に感じたのは痛覚だった。腕やら背中やら散々引っ掻かれ、それが蚯蚓腫れとなりスコールの皮膚へと浸蝕していく。汗で滲んだ肌が何となく気持ち悪くて、少し上体を起こして隣で眠るティーダを見遣る。自分とは違いぐっすりと眠る彼の寝顔はあどけなく、幼い。けれどその口から発せられる声には、非常に色香を感じさせるものがあることをスコールは身を以て体感していた。
そしてその色香をスコールの手でしか暴けないことも、理解している。
やはり同じように汗で張り付いた前髪を少し避けてやりながら、空気を吸うために半開きになった唇をそっと撫でてやる。
つき、と痛む腕と背中。何となく、喉も痛い。受け身なティーダとは違いそこまで喉が痛くなるような要因は考えられないが、寒くないようにエアコンをつけたまま致したのが原因だろうか、と余韻に浸る頭でそんなことを思った。
つき、つき。
じくじくと徐々に広がる喉の奥の痛みに、自分の喉をそっと撫でた。風邪でも引いただろうか。だとしたらティーダにも影響が出ていなければ良いのだが、そう考えて、もう一度ティーダを抱きしめ、ベッドの中で包まる。目を閉じ体温や鼓動に、ひどく安堵する己が居て。
またじくじくと広がっていく痛みと、その優しい温もりに。スコールは心の内が溶けていくのを感じた。





じくじく
(だんだん、しんしょく、されていく)





2011/01/03


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