※現パロ、二人は大学生



真夜中に携帯の着信が鳴った。こんな時間に誰だと思ってバイブにしていない状態で就寝した数時間前の自分を呪いながら寝ぼけ眼で携帯を開く。着信はスコールからのメールだった。


『今から帰る』


今からかよ、と内心ツッコミながらまた携帯を放り出して寝転がると、あまりに時間帯を考えない内容に辟易して眉間に皺を刻んだ。昨日飲み会だとは聞いてたから別にいちいち断りなんか入れなくて良いのに。つーか寝てる最中にそんなことされても逆に腹立つだけだっつーの。なんてもやもやしたものを抱えながら目を閉じてるとインターホンが鳴った。
ガチャンガチャガチャとむやみやたらに鳴らされた音がこれまた不快で起きて乱暴にチェーンを外して鍵を開けた。
「…鍵、持ってんだろ?」
いちいちそんな慌てて人を起こすんじゃねーよと思いながら厭味も兼ねて言ってやる。シャツの胸元を肌蹴させながらわずかに頬を紅潮させたスコールが、いつもよりも鋭い目を少しだけ蕩けさせて微笑を浮かべた。何だかその態が妙にぞわっときて(いろんな意味で)とりあえず酔っ払ってるのは見て取れたので踵を返し部屋に戻ろうとすれば。玄関に入ってきたスコールが俺を後ろから抱きしめる。バタン、とドアの閉まる音。
「ただいま」
いつもより甘い声で、耳元から聞こえたそれは、やはりぞわっときた。ぎゅう、とスコールの腕の力が強まる。こっちは眠いんだから、いい加減離してほしい。
「つか、離せよスコール。俺ちょう眠いの、早くベッドにインしたいの」
「なら俺とインすればいい」
「嫌だっつーの、酔っ払いは自分の家帰れよ、こんな時に律儀に俺のアパート来るなよな、時間帯考えろ!」
「いやだ」
ぎゅうぅ。…何だこいつ。いつもと逆だな、これ。俺がスコールにしがみついてそれをスコールが適当に追い払う、的な図が常なのに。ちょっとだけ、スコールの気持ち解った気がする。でもとりあえずこの場はどうにか睡眠を優先させたい。俺だって常日頃サークルで疲れてるんだ。睡眠は大事なんだから、さっさと寝かせてくれよ!
「ティーダ」
また、耳元で囁かれた。やめろよ、変な気起こしそうになる。確かにたまにそういうこともスルけど、今はそんな気分じゃないんだ、だから、
「ティーダ…」
そんな声で俺を呼ぶなよ、熱い掌で身体をまさぐるなよ。長い指が、ダイレクトにハーフパンツの中に手を入れたり、胸元を引っ掻くようにかり、と爪に力を入れてくる。
「…俺が居なくて、寂しかったか?」
「…は?」
どこをどうしたらそういう風になるんだ?会話の流れが全く解らない。でもスコールは俺のことなんか無視して話を続ける。
「俺は、お前が居ないと寂しい」
「…ッ」
直接、スコールの熱い指が俺の性器に触れる。びくりと強張る身体。睡眠を欲していた身体は途端に性欲へとシフトチェンジしようとする。
「そこにお前が居ないと、世界は無色で、つまらないんだ」
独り言のような呟きとは正反対にスコールの指先は的確だった。眠いのもあった所為か身体が敏感だ。膝が笑って崩れ落ちそうになるのを堪える。
「だから」
ぐい、と。後ろから抱きしめられていた筈が、正面から抱き込まれ、無理矢理唇を重ねられた。
「…ッ、…!」
声が出ない。ぜんぶ、スコールの口の中にすいこまれてく。
「傍に、いてくれ…」
は、と互いに息継ぎをしながら紡がれたスコールの言葉は、途方もない願いに聞こえた。何でこんなべろべろになるまで呑んでたんだよ、とか。ならずっと傍に居れば良いだけだろ、とか。とにかく寝せろよ、とか。
いろいろいいたいことあったけど、切なげに細められた青灰の目は俺の心臓を一気にわしづかみするには十分なもので。
しょーがないから、俺からも唇を重ねてやって、ずっと傍に居るから、なんて柄にもないこといってやった。



そこに在る



「…昨日」
「何スか?」
「帰ってきてからの記憶が全くないんだが、俺はお前に何かしたのか?(心なしか怒っているような…)」
「別に。なああぁぁんもねぇっスよ!!」
(…何かしたんだな、俺……)





2010/09/21


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