※CCラストあたり、R15くらい


ふぅ、と息を一つ吐いて、俺は夜空を仰ぐ。満天の星空を綺麗だと眺める心のゆとりは、最初こそあったが今はだんだん薄れてきているのが自分でもよく解る。魔晄中毒になり、廃人同然になったクラウドを連れてもう何日が過ぎたのだろう。とりあえず水を飲ませなければ、と思い、移動する時に使っていたバイクに寄り掛からせていたクラウドの身体を担ぎ、森の茂みへと連れて行く。幸いなことに森の中は静かで、人はおろか獣の気配も感じない。今宵はゆっくり眠れそうだ。風呂になんか入れないから、互いに体臭がきつい。だがクラウドだけは綺麗にしてやりたくて俺は水の気配を探りながら、担いだ状態で森の奥へと迷うことなく足を運ぶ。薄暗くともソルジャーの目はよく見えた。足を躓かないように注意しながら、ざく、ざく、と土と枝を踏み締める。そのうち開けた空間に出て、小さな泉が見つかった。久しぶりの新鮮な水に、俺は思わず目を輝かせた。いくらなんでも身体が汚いままだと精神にも影響を及ぼす。何よりクラウドの身体が汚れるのは俺のプライドが許さなかった。最後まで守り抜くと決めたからには、クラウドだけは綺麗な姿を保たせてあげたかった。
「まずは服脱ぐか」
クラウドの着ている埃臭い制服を順に脱がしていき、その辺に投げ捨てながら俺も服を脱いでいく。横抱きにして泉の中に入れば、さすがに冷たい。ひやりとしたが、だんだん水温が身体に馴染んできて温くなるのを感じる。
暫く水に浸かってから縁にクラウドを座らせ、手で水を掬い軽く髪の毛を洗ってやる。本来ならシャンプーを使って洗ってやりたいがあいにくそんなものはない。けれども軽く水で洗ってやるだけでもクラウドの金糸は輝きを帯びて綺麗だった。だんだん綺麗になっていくクラウドの姿を見ながら、俺は一人微笑を浮かべる。いつもなら子供扱いするなとかくすぐったそうに笑うのだが、今は静かに開いた蒼碧の目がぼんやりと下を向いているだけ。それでも久しぶりの清めに気持ち良さそうに僅かに目が細められて、俺は更に心の奥が奮え上がる。クラウドは、ちゃんと生きている。俺の言葉に、ちゃんと反応してくれている。愛しくて、そっと口づけた。
「クラウド…」
柔らかな唇から離れ、相変わらず濁ったガラス玉のような蒼碧を見つめながら、俺の下肢がずくりと疼く。水に濡れた金糸は色っぽくて、鋭利な顎のラインに伝う雫が色気を増していた。ここ何日も、戦闘が立て続けにあって興奮状態ではあったものの、クラウドの姿を視界に入れないでそれなりに処理はしてきた。それでもこんな風に静かなところで互いに全裸だなんて、久しぶりのことで。これは、不可抗力だ。自身に言い訳をしながら、白い首筋をそっと噛んでみる。冷たいが確かに感じる体温に、俺の下肢がまた反応を示す。桃色の胸の突起を指で押したり摘んだりすれば、そこはぷくりと存在を主張し始める。嗚呼、これ以上は駄目だ。クラウドの身体に負担になるようなことはしちゃいけない。けれども、理性とは反対に身体はだんだん熱を帯びていく。我慢仕切れなくて、僅かに勃ち上がった自身の先端をクラウドの入口に当てがった。本来ならこのナカに挿入れて目茶苦茶にしたい。思う存分クラウドのナカを汚してやりたい。黒い欲望が渦巻く中、俺はそのままの状態で竿を扱き始める。二・三度扱けば直ぐに先走りが漏れる。いやらしい水音が聴覚を犯し、クラウドの何
も映さない無感情な蒼碧が弱者をいたぶるする支配者のような気分になって嗜虐心がそそられた。
「クラウドッ…ぅ!」
とっととイきたくて、クラウドの首筋に顔を埋めて匂いを吸い込みながら、少しばかり狭い入口に埋めるように押し付けて強く扱けば、直ぐに弾けて白濁が漏れた。どくどくと溢れるそれは少しばかり濃厚で、臭いも当然きつい。自然と眉を寄せながら、ぎゅ、とクラウドを抱きしめる。沸き上がる罪悪感に、胸が痛んだ。
「ごめん…ごめんな、クラウド…」
早く、帰ろう。帰る場所なんかないけれど、でもクラウドと一緒にいれるなら、俺にとってはそこが家だ。けれども今の俺は、ただのケダモノだ。溜まっていたとはいえ、動けないクラウドにこんなことをしてしまった。ごめん。ごめんな、クラウド。お前は、こんな俺でも、愛してくれるか?



絶対、諦めない。絶対、守る。でも、時々沸き上がる黒い欲望の炎。
あと何日逃げればミッドガルへたどり着くだろう。
あと何日目を背ければ、俺は赦してもらえるのだろう。
ケダモノで、ただの人殺しのこの俺に、清く正しい路なんて、あるわけないのに。




ケダモノ




2010/09/03


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